皆さんこんにちは。
相続コンサルタントの久保田です。
 
今までのコラムでは、相続対策としてご健在なうちにできることをご紹介していましたが、相続発生後にも対応しなければならない事がたくさんあります。
その多くは期限が定められており、中には期限を過ぎてしまうとペナルティが発生してしまうものもあります。
事前に内容を知っていることで迷わずにお手続きを進められるようになると思いますので、今回は相続発生後にどのような対応が必要かを時系列に沿ってご説明していきたいと思います。
 
 

相続発生~3ヶ月以内にやること

 
1.死亡届・火葬許可(7日以内)
 
2.年金・保険等・金融機関の手続き
 金融機関に相続の発生を伝えると被相続人様名義の口座が凍結されてしまいます。
 光熱費などが口座からの引き落としになっている場合凍結後の引き落としもできなくなりますので、同時に
 引き落とし口座の変更も行っていただくことになります。
 口座の解約には法的に有効な遺言書や遺産分割協議書が必要になりますので、金融機関へ連絡するタイミン
 グは注意が必要です。
 
3.遺言書の確認
 被相続人様が残した遺言があるかを確認します。
 公正証書遺言が見つかった場合は、家庭裁判所での『検認手続き』が必要になります。
 この検認手続前に開封してしまっても遺言書自体が無効になるわけではありませんが、遺言書の偽造などを
 疑われてしまいトラブルに発展することもありますので、勝手に開封せず必ず検認手続きを行ってくださ
 い。
 
 被相続人様の出生から亡くなるまでの全ての戸籍を取得して、どなたが相続人になるかを確認します。
 相続人が誰なのか、何人いるのかはこの先の相続手続き全てに関わる内容なので、間違いが無いようにしっ
 かりとした調査が必要になります。
 
 被相続人様の財産として、何が・どれだけあるのかを確認します。
 プラスの財産:預貯金、不動産、有価証券、自動車、貴金属、骨董品等
 マイナスの財産:借入、未払金等
 こちらもこの先の手続きに関わることはもちろん、調査が漏れてしまった場合はペナルティや相続人様間で
 のトラブルに発展する可能性もありますので、しっかりとした調査が必要です。
 
6.相続放棄・限定承認(3ヶ月以内)
 主に被相続人様の財産がマイナスになる場合は相続放棄や限定承認の検討が必要になります。
 相続放棄・限定承認を行う場合は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に手続きをする必要がありますの
 で、被相続人様の財産がマイナスになりそうであれば相続財産の調査とともに、なるべく早くご対応を始め
 ていただくことをお勧めいたします。
 

4ヶ月以内にやること

 
7.所得税の準確定申告
 亡くなった方全てに必要なお手続きではありませんが、被相続人様が生前確定申告を行っていたり高額な医
 療費を支払っていたなどの場合は準確定申告が必要になります。
 通常の確定申告と同様に期限を過ぎてしまった場合はペナルティがあるので、忘れずに申告を行うようご注
 意ください。
 

10ヶ月以内にやること

 
 法的に有効な遺言書が無い場合は、相続人様全員で遺産分割協議を行う必要があります。
 遺産分割協議では、相続財産を誰が・どれだけ相続するかを決めていきますので、この段階でトラブルにな
 る可能性が高いと思います。
 できる限り揉めることが無いよう、法的に有効な遺言書を作成していただくことをお勧めしていますが、遺
 言書が無い場合は相続人様全員がご納得できる遺産分割を検討していく必要があります。
 また、条件を満たせば一度決まった遺産分割協議をやり直すこともできますが、その場合は当初の遺産分割
 協議によって取得した財産の譲渡・交換・贈与とみなされてしまい、所得税や贈与税が発生することになり
 ますので、後から揉めてしまうことがないように一度の遺産分割協議で確定することをお勧めします。
 
9.相続税申告・納税(10ヶ月以内)
 被相続人様の財産が基礎控除額を超えている場合、相続発生後のお手続きで一つの大きな山となるのが相続
 税申告かと思います。
 こちらも期限を過ぎてしまうとペナルティがありますので注意が必要です。
 相続税申告では『相続人の調査』や『相続財産の調査』の結果を基にして相続税申告書類を作成することに
 なりますので、相続税申告をご自身で行うか・税理士に依頼するかはできるだけ早めにご判断いただくこと
 をお勧めいたします。
 

1年以内にやること

 
10.遺留分侵害額請求(基本的に1年以内)
 遺言などによって、遺留分(直系尊属や直系卑属に対して法律で保証された最低限の相続分)が侵害されて
 いた場合は遺留分侵害額請求を行う権利が発生します。
 遺留分侵害額請求ができる期限は民法1048条によって下記の2通りのいずれかと定められていますので、遺
 留分侵害額請求を行う場合は期限にも注意が必要です。
 ①相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間
 ②相続開始の時から十年
 

期限の定め無し

 
11.相続登記(名義変更)
 相続(遺贈)登記をしないことによる罰則はありませんが、ニュースでも取り上げられる事がある所有者不
 明不動産問題や第三者に対抗するためにも取得した不動産には相続(遺贈)登記をお勧めします。
 相続登記では法的に遺言書や遺産分割協議書を含めて相続税申告の必要書類と重複するものも多いので、特
 段のご事情がなければ相続税申告完了後に相続登記を行っていただくことをお勧めしています。
 
 
 
 

まとめ

 
大まかに相続発生後に対応しなければならない項目をまとめてみましたが、改めて一連の流れを見てみるとやる事は多いように感じました。
それぞれの項目ごとに時間かかるので、特に相続税申告が必要な場合はお早めにお手続きを始めていただくと余裕を持ったお手続きができると思います。
一方で、なかなか感情面の整理ができず、お手続きが進められないといったお話もよく伺います。
 
当センターでは、相続に関わる幅広いサービスを取り揃えており、ワンストップで相続のお手続きをご依頼いただけることも一つの強みだと考えております。
一括でご依頼いただくことで費用を抑えられるメリットもありますが、費用以上にそれぞれのお手続きを別々にご依頼する場合と比較して、都度同じ内容を1から説明するお手間を削減できることが一番のメリットだと考えています。
具体的にどんな相続お手続きをすればいいかわからないといった場合でも、詳しくお話を伺わせていただき必要なお手続きをご提案できますので、相続についてお悩みの際はお気軽にご相談ください。
 
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