皆さんこんにちは。
相続コンサルタントの久保田です。
先日、公益財団法人 不動産流通推進センターの『全国不動産コンサルティングフォーラム2026』に参加してきました。
宅地建物取引士の上位資格に位置付けられる「公認不動産コンサルティングマスター」という資格を持ち、不動産コンサルティングを行う方々が全国から参加し、各団体の1年の活動報告の中から、国土交通省から表彰された受賞者がプレゼンテーションを行ったり、特別講演があったりと、少なからず不動産が係る相続の観点からもとても勉強になるフォーラムでした。
私は今回初めて参加したのですが、今回のフォーラムでは空き家対策を中心としたお話しが多く、全国的にも空き家問題の解決に力を入れていることを再確認する良い機会になりました。
日々の相続のご相談の中でも、空き家の将来についてのご相談も多く、決して他人事ではなく、私たちの身の回りに潜む問題として対策していく必要がある問題だと考えています。
そこで、今回のコラムでは、空き家問題の現状をまとめてみようと思います。

全国の空き家の現状
令和6年9月25日総務省公表の『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果』によると、全国の空き家は900万2千戸と前回調査時(2018年)の848万9千戸と比較して、5年間で50万戸以上も空き家が増えたことがわかります。
令和5年時点で、全国の空き家戸数は総住宅数の13.8%を占めることになり、人口減少が進む中で令和8年現在はより空き家戸数が増加していることが伺えます。
参照:総務省統計局 令和5年住宅・土地統計調査結果
この空き家件数には、「賃貸用の空き家」や「売却用の空き家」といった一時的な空き家も含まれるため、空き家問題に該当し得る空き家に限定した件数でいうと、385万6千戸となり、総住宅数の5.9%となります。
385万6千戸の中には、転勤や入院のため長期不在となっている空き家も含まれるため、全てが空き家問題には直結しないかと思われますが、10年前と比べると日々の生活の中で「この家はずっと人が住んでいる気配がない」「老朽化が進んで危険では?」と感じてしまう建物を見る機会が増えたように思います。
上記のグラフが示すように、年々空き家が増えていることを事実として受け入れ、私たち一人ひとりが空き家問題の当事者となる可能性があることを認識していくことが、空き家問題解決の第一歩だと考えます。
空き家問題のアメとムチ
国や地方自治体も空き家問題を改善していくために様々な対策を講じており、空き家を再活用しやすくするような空き家所有者にとってメリットとなる制度がある一方で、令和5年12月13日に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」では、周囲に著しい悪影響を与える空き家を「特定空家」と位置付け、特定空家に指定されると固定資産税の住宅用地特例が受けられなくなるようになり、特定空家所有者にペナルティを課すことになりました。
固定資産税の住宅用地特例は、住宅が建っている土地の固定資産税評価を1/6に軽減してもらえるため、住宅が建っていれば空き家でもこの特例を受けられていましたが、この特例を受けられなくなった特定空家では、年間の固定資産税額が従来の4倍~6倍ほど(細かい計算は割愛します。)まで増加することになるので、特定空家の解体や、土地ごと売却を促す力が働くことになります。
これまでも以下のような空き家所有者にとってのメリットとなる制度はありましたが、ペナルティを課すようになったことからも、国や地方自治体の空き家問題解決への本気度が見えてきます。
空き家の固定資産税について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご一読ください。
空き家問題解決に利用できる制度
- 地方自治体ごとの空き家バンク
空き家バンクに空き家情報を登録して、買主や借主を探すポータルサイトです。
- リフォーム費用の補助金
- 解体費用の補助金
※地方自治体によっては、空き家バンクがない場合や、各種補助金の有無・要件が異なりますのでご注意ください。
また、別の観点では、売買代金800万円以下の不動産を売却する場合の仲介手数料の上限を33万円(税込)まで引き上げる法改正もありました。
国土交通省が令和6年6月に公表した『不動産業による空き家対策推進プログラム
~地域価値を共創する不動産業を目指して~』によると、全1,747市区町村の内、247自治体に宅地建物取引業者(不動産業者)が1店舗も無いこととされています。
不動産売買の仲介手数料は、宅地建物取引業法で以下の上限額が定められていますが、実は売買価格が高くても安くても同じような作業を行う必要があり、場合によっては売買価格が安い地域の方が役所での調査が難しくなり、不動産業者が得られる仲介手数料の金額に対しての労力が見合わなくなってしまうことがありました。
| 不動産売買取引の仲介手数料の上限額 | |
| 売買価格 | 仲介手数料率(税込) |
| 200万円以下 | 5.5% |
| 200万円超~400万円以下 | 4.4% |
| 400万円超 | 3.3% |
不動産価格の安い地域では、人口減少(都心部への流出等)→不動産需要の低下→不動産価格の下落→不動産仲介業の業績悪化→不動産仲介業者の廃業→転入者の住宅確保が困難→人口減少…といった負のスパイラルに陥っていることもあるかもしれません。
そうなると必然的に空き家戸数も増加することになるので、仲介手数料の上限緩和によって不動産仲介業の業績悪化を食い止めて、空き家増加を抑制する狙いがあります。
空き家を売る方や買う方からすると仲介手数料の負担が増加してしまいますが、地域の不動産流通を活性化させる大きな視点で考えると、プラスに働く法改正かと考えています。
今後空き家をどうしていくか
年々空き家が増えていく中で、空き家所有者皆さんがただ空き家を放置しているわけではないと思います。
実際に、長年空き家となっている建物を相続した方からのご相談も多く、空き家をなんとかしたいけどどう対応すればいいかがわからないことも空き家が増加する要因の一つだと思います。
空き家の方針としては、①ご自身で使う、②第三者に貸す、③売却する、のいずれかになりますが、冒頭の『全国不動産コンサルティングフォーラム2026』では、②や③のヒントになるようなリフォーム・リノベーションのプレゼンテーションを伺うことができました。
空き家をリフォーム・リノベーションによって魅力的な不動産に再生して、借り手や買い手を見つけやすくすることで空き家問題の改善に繋がるかと思いますが、リフォームやリノベーションはコストがかかるものなので、どなたでも簡単にできるものでもないと思います。
そこで、地方自治体ごとの補助金や空き家バンクを利用しながら、空き家の活用を目指すことが、今後の空き家問題解決の中心になるかと思います。
また、空き家を他人事と考えず、相続対策の一環として将来お子様が利用する可能性が低い不動産をご自身で売却したり、リフォーム・リノベーションを実施して貸し出すことも空き家問題の予防になると思います。
既に空き家になっている不動産や、空き家になる可能性が高い不動産をお持ちの方は、お一人だけで考えず、お子様にも相談していただきながら、将来の不動産の方針をお考えいただくことをお勧めします。
私たち、さいたま幸せ相続相談センターは、さいたま市・埼玉県に特化した相続サポートを行っています。相続した不動産の処分・有効活用についてお悩みの方はぜひ一度お問い合わせください。





