皆さんこんにちは。
相続コンサルタントの久保田です。
当センターでは、相続した不動産を売却したいとのご相談をお受けすることも多く、ご相談者様のご状況や、相続不動産のご状況に沿ったご売却方法を、グループ会社でご提案しています。
一般的な不動産売却では、売主様のご自宅を売却するケースが多く、売主様がその不動産のことを一番よく知っているのですが、相続不動産は売主様もその不動産のことをよく知らないケースが多々あります。
相続不動産では、ご両親が住んでいたご実家を売却するケースが多いのですが、ご実家とはいえ、独立した以降長期間ご実家に住んでおらず、ご実家の詳しい状況や近隣の方とのご関係性がわからないこともあります。
不動産の売却では、売主様には民法で定められた契約不適合責任や、買主様への引渡し条件の達成といった義務を負うことになります。
通常の不動産売却にもいえることですが、相続不動産ではわからないことが多い分、売却後に買主様と揉めてしまわないように、できる限りその不動産の調査をしておくことが大切なポイントになります。
今回は、相続不動産の売却で、問題になりやすいブロック塀といった構築物の説明をしてみようかと思います。

なぜブロック塀が問題になるか
まず、例としてブロック塀を挙げましたが、構築物とは、以下のようなものを指します。
・ブロック塀
・万年塀
・フェンス
・門扉
・アスファルト舗装
・擁壁 等
土地に定着している建物以外を構築物としてイメージしていただけるとわかりやすいと思います。
構築物が問題になりやすい最大の理由は、土地や建物のように登記簿がなく、所有者が不明瞭なことがあります。
土地や建物は法務局に備え付けられた登記簿を確認することで、所有者や所有権以外の権利が明確になりますが、登記簿のない構築物は、所有者が誰なのか、所有権以外に何かしらの権利があるものなのかが明確に分かる資料がないために、所有権を争いやすくなっています。
特に隣地との境界線上にあるブロック塀は揉めやすい代表例で、一般的に考えれば、それぞれの土地をできる限り広く利用できるために、双方が費用負担をして境界線上にブロック塀を造ったとも考えられるのですが、現実にはどちらか一方が費用負担をしてブロック塀を構築したケースもあります。
ブロック塀を構築した際の見積書、請求書、領収書等の誰が費用負担をしたか分かる資料があれば所有者を特定しやすいのですが、問題になりやすいブロック塀はいつ構築されたかわからないものも多く、もちろんブロック塀を構築した際の資料が残っていないことがほとんどです。
また、そのようなブロック塀が、建築基準法に適合していないケースが多いことも、揉めてしまう理由の一つになります。
現在の建築基準法では、代表的なものとして、地盤面から高さが1.2mを超える場合、原則として長さ3.4m以下ごとに控壁を設けるなどの基準が定められています。
※上記の他にも様々な基準があります。
古いブロック塀では、1.2m超の高さのものも多く、控え壁がないものも多々あり、一方は安全性や権利関係をクリアにするために既存ブロック塀を解体・自身の敷地内に新たなブロック塀を構築したいと思っていても、もう一方の協力が得られないと、既存ブロック塀の解体が難しくなってしまいます。
話がそれてしまいますが、平成30年6月18日に発生した大阪府北部地震の際に、小学生が倒壊したブロック塀の下敷きになり死亡する事故が発生しました。
先日も茨城県南部を震源地とする地震が深夜に発生しましたが、日本に住む限り地震等の災害リスクはついて回り、人命に関わる事故が発生することも他人事ではありません。
過去の費用負担も十分に理解できますが、危険な構築物の権利をお持ちの場合は、事故が発生しないうちに対処していただきたいと考えています。
構築物の所有者を調べる方法
上記の通り、基本的に構築物の所有者を特定する資料が残っていない場合は、所有者を特定することが困難になります。
構築当時の当事者がご健在であればその方に構築当時の状況をヒアリングできますが、相続不動産では、ご両親にヒアリングすることもできません。
そのため、まずはお隣の方をはじめ、近隣の方にヒアリングしてみてください。
実際の当事者でなくても、当時の状況をご存知の方がいらっしゃるかもしれません。
また、資料が残されている可能性は低いのですが、擁壁の場合は役所で建築確認概要書や台帳記載事項証明書を確認できることがあります。
2mを超える擁壁は、各自治体のがけ条例に係ることが多く、検査済証が発行されていない場合は、安全性を確認できない擁壁との判断になり、建物の建築に制限がかかることがあります。
古い擁壁では、検査済証が発行されていないものも多いのですが、役所で建築確認概要書や台帳記載事項証明書を確認できる場合は、施主氏名が記載されていますので、そこから擁壁の所有者を特定できるケースもあります。
それでも構築物の所有者がわからない場合は
近隣の方へのヒアリングや役所での調査でも構築物の所有者がわからない場合は、その構築物に接している土地や建物の所有者と協議して、構築物の所有権を確認する書面を取り交わします。
よほどのイレギュラーがない限り、売買や相続等で土地建物の所有者が変更された際に、附属する構築物も所有者が変更されている可能性が高いと考えられます。
そのため、古い構築物の所有者がわからない場合は、双方で協議の上、所有権が一方なのか双方なのか(上で例に挙げた境界線上のブロック塀の場合は、双方の共有として確認することが多いと思います。)を確認して書面に残し、その後はこの構築物の所有者が明確になるようにしておくことをお勧めします。
構築物で揉めないように・・・
上記のように、古い構築物は所有者がわからないことが大きな理由となり、相続不動産を売却する際に揉めてしまうことがあります。
相続が発生した後は、近隣の方へのヒアリングを行って所有者を特定することになり、相続人にとって大きな負担となってしまいます。
そのため、当時の事情を知っている方は、メモ書きで当時どのような状況や費用負担で構築したかを残していただくことで、構築物の所有者を特定するヒントになります。
ただ、共有の可能性があり、所有者がわかる資料がない場合は、もう一方の意見を聞いてからの協議となりますので、一方的に決めつけてしまわないように注意が必要です。
また、隣接地の所有者から構築物の所有権のヒアリングを受けた場合のことを考えると、その構築物の安全を理解することも大切です。
万が一構築物が原因で第三者に被害が発生した際は、基本的にその構築物の所有者や占有者が責任を負うことになります。
構築当時の費用負担は大切ですが、それ以上に現在の安全性を重視していただきたいと考えています。
ブロック塀や万年塀が倒壊してしまい、人命に関わる事故でなくても隣の建物や自動車を傷つけてしまった場合は、損害賠償請求を受けることもあるでしょう。
安全性が確保されていない擁壁では、地震や大雨で擁壁が崩壊して土砂崩れを起こす可能性もあります。
既存構築物を解体して再構築する際には高額な費用がかかりますので、ブロック塀が割れて傾いている、擁壁が剥がれたり膨らんだりしているような、目に見える劣化がなければご自身で積極的に解体・再構築を行う方は多くないと思いますが、隣接地の所有者から構築物の所有権や解体・再構築のご相談があった際は、良いタイミングと考えていただき、協力していただいたほうが、どなたにとってもメリットになると思います。
相続不動産を売却する際に、所有者不明の構築物がネックになってしまうことがありましたら一度当センターにご相談ください。
相続不動産の売却だけでなく、相続手続きや相続税申告も含めてワンストップでお手伝いいたします。




