皆さんこんにちは。相続スタッフの成田です。

2026年9月1日の日本経済新聞の記事によると、国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが上昇し、一時3%の大台を付けたと報道されています。

これは1996年以来、およそ30年ぶりの高水準です。

長く低金利が続いてきた日本ですが、いよいよ「長期金利3%」が現実味を帯びてきました。

では、長期金利が3%を超えるようになると、私たちの暮らしにはどのような影響があるのでしょうか。

今回は、住宅ローンや企業、自治体、国の財政、そして不動産や相続への影響について考えてみます。

住宅ローンの負担が大きくなる

私たちの生活に身近な影響の一つが、住宅ローンです。

住宅金融支援機構の全期間固定型住宅ローン「フラット35」は、2026年8月現在、返済期間21年以上35年以下・融資率9割以下の場合、最も多い金利が年3.29%となっています。

2024年8月には1.85%だったため、わずか2年間で1%以上上昇したことになります。

金利が上昇すると、同じ金額を借りても毎月の返済額や最終的な総返済額は大きくなります。

その結果、「これまでなら5,000万円の住宅を購入できたけれど、現在の金利では4,000万円台までに抑えよう」と考える人が増える可能性もあります。

住宅購入者の予算が下がれば、不動産の売れ行きや価格にも影響する可能性があります。

企業の経営にも影響が

金利上昇は、企業にも大きく関係します。

企業は事業を行うため、銀行から融資を受けたり、社債を発行したりして資金を調達しています。

市場金利が上昇したからといって、すでに借りているすべてのお金の金利がすぐに上昇するわけではありません。

しかし、低金利の時期に借りた資金が満期を迎え、高い金利で借り換えることになれば、徐々に企業の利息負担が増えていきます。

利息として支払う金額が増えれば、新しい設備への投資や事業拡大、人材採用などに使える資金が減ってしまいます。

特に多額の借入金を抱えている企業にとっては、金利上昇が今後の経営方針を左右する可能性もあります。

道路や学校などのインフラ整備にも影響する?

金利上昇の影響を受けるのは、個人や企業だけではありません。

自治体も、学校や病院、道路、橋、上下水道、ごみ処理施設などを整備するために「地方債」を発行して資金を調達することがあります。

長期金利が上昇すれば、こうした資金調達にかかるコストも増える可能性があります。

現在は建築資材や人件費も上昇しています。

そこに金利負担の増加まで加われば、自治体によっては、老朽化した施設の建て替えやインフラ整備について「時期を延期する」「規模を縮小する」といった判断を迫られる可能性も考えられます。

国の利払い費も増加する

さらに大きな影響が予想されるのが、国の財政です。

日本の普通国債残高は1,000兆円を超えています。

国債にも利息があるため、金利が上昇すれば、国が支払う利息も増えていきます。

ただし、市場金利が上昇したからといって、すでに発行されている固定金利の国債の利息がすぐに増えるわけではありません。

影響が大きくなるのは、国債が満期を迎えて借り換えるときです。

低金利の時代に発行した国債を、より高い金利の国債に借り換えていくことで、徐々に国全体の利払い費が増えていきます。

そのため、金利上昇が長期間続けば、将来的な財政負担も大きくなることが予想されます。

預金などにはメリットも

ここまで見ると、金利上昇にはデメリットばかりのように感じるかもしれません。

しかし、お金を預ける側にとってはメリットもあります。

預金金利や個人向け国債などの利回りが上昇すれば、これまでよりも利息を受け取りやすくなります。

日本では長い間、「銀行にお金を預けてもほとんど増えない」という状態が続いてきました。

しかし、金利の高い時代になれば、預貯金や債券などを含めた資産の持ち方について、改めて考える必要が出てくるでしょう。

金利上昇は不動産や相続にも関係する

そして、相続を考えるうえでも金利の動きは無関係ではありません。

特に影響を受ける可能性があるのが不動産です。

住宅ローンや不動産投資ローンの金利が上昇すると、不動産を購入できる人の予算が下がったり、投資用不動産の収益性が低下したりすることがあります。その結果、不動産市場や価格に影響が及ぶ可能性があります。

相続財産に自宅や賃貸アパート、マンション、土地などが含まれているケースは少なくありません。

「相続した不動産をそのまま所有するのか」
「売却して現金化するのか」
「賃貸物件として活用するのか」

こうした判断をする際には、物件そのものの価値だけではなく、金利や不動産市場の動向についても考える必要があります。

また、相続対策として不動産を購入したり、借入れを利用して賃貸住宅を建築したりする場合にも、以前と同じような低金利を前提とした計画では想定どおりにならない可能性があります。

まとめ

長期金利が3%に近づいていることは、単に「国債の金利が上がった」というだけの話ではありません。

住宅ローン、企業の借入れ、自治体のインフラ整備、国の財政、預貯金、そして不動産など、私たちの生活のさまざまな場面に影響する可能性があります。

長く続いた低金利の時代から金利が上昇した時代へと変化するなかで、資産の持ち方や不動産の活用方法についても、これまでとは違った視点が必要になってくるかもしれません。

相続財産に不動産が含まれている場合や、相続対策として不動産の購入・活用を検討している場合には、税金だけではなく、金利や不動産市場の変化も踏まえながら考えていくことをおすすめします。


※参照 日本経済新聞 2026年9月1日