こんにちは。相続コンサルタントで承継寄付診断士1級の馬渕です。今日は、誰もができる「寄付」の形の一つとして近年注目されている「遺贈寄付」についてご紹介してみたいと思います。
私自身もソーシャルグッドな活動にも興味があり、寄付などを通じて社会に貢献したいという気持ちがあったこともあり、相続に関わる専門家として、遺贈寄付についても興味をもっています。
昨今では、自分の応援したい価値観を持った企業やNPO団体等へ直接応援する形で消費活動を行う方は非常に増えているように感じています。また、社会課題の解決のために、クラウドファンディング等といった少額の寄付の形もより身近になってきています。
このような背景もあり、最後にご自身が築き上げてきた資産の一部を寄付という形で、社会の役に立てることはできないか?と考える方も増えてきています。
「終活」を意識し始めたときに、遺贈寄付という選択肢があることを是非多くの方に知ってもらえたらと思います。
この記事では、予備知識のない方に向けて、「遺贈寄付」の基本的な仕組みから、いくつかの気を付けるポイント、そして具体的な手続きの進め方を解説します。

そもそも「遺贈寄付」とは?
承継寄付とは、ご自身が亡くなった際、遺言書を通じて遺産(不動産や預貯金など)の一部または全部を、特定のNPO法人、自治体、福祉施設、母校などに寄付をすることです。
遺贈の相手は、法定相続人に限られません。
今回は、遺言書を通じて遺産を寄付する「遺贈寄付」について詳しく解説します。
「遺贈寄付」をおすすめしたい理由
遺贈寄付を多くの方に知っていただきたい理由の一つに、生前に行う通常の寄付とは異なり、「亡くなった後の残余財産から寄付する仕組み」となっていることが大きなポイントとなります。つまり、亡くなる瞬間までご自身のご資産は手元に残ります。
寄付をしたいというお気持ちをお持ちの方でも、当然ご自身の生活の余力の中で寄付を行って頂く必要があります。「これから長生きして老後資金や介護費用が足りなくなったらどうしよう」「予期せぬ出費がかさむかもしれないし、寄付したいけど自分の生活がどうなるか」といった不安を抱えずに済むのが最大のメリットと言えます。
人生の最後の瞬間に残った財産の一部を寄付することができるのです。
また、寄付は資産家がするものと思われがちなのですが、決してそんなことはありません。
残った資産の一部、例えば10万円などの少額からでも自由に行うことができます。
「社会に貢献したい」と思った方の誰もが気軽に寄付をできるのが遺贈寄付という選択であると言えます。
また、すべての財産を寄付する必要はなくご資産の大半は子供や家族に相続させ、資産の一部分だけを寄付という形も当然選択できます。ご家族に理解を得ることも、大事なポイントです。
お子様のいない方、おひとり様の方にもおすすめの理由
お子様のいないご夫婦やおひとりさまにとっては、遺贈寄付は社会貢献だけでなく、実利的な解決策ともなり得ます。
お子様のいない方の場合、法定相続人は配偶者と親、親が亡くなっている場合には兄弟姉妹や姪・甥となります。疎遠な兄弟姉妹や甥姪に財産を引き継がれるケースも増えており、それであれば「苦労して築き上げてきた資産の使い道は自分の意思で決めたい」というニーズがあります。
さいたま幸せ相続相談センターでも、実際にお子様のいらっしゃらない方から遺贈寄付のご相談を受けることが増えてきております。動物保護の団体や生前にお世話になったNPOや病院等の施設や大学等への寄付など寄付先も多岐にわたります。ご夫婦が互いに遺言書を作成し合うケースも増えています。
法律上、兄弟姉妹や甥姪には遺留分の定めがありませんので、遺言書で特定の団体に遺贈するとすれば、遺言者の希望通り寄付をすることが可能です。
遺贈寄付をする際に気を付けるべきポイント4点
ここまでで、遺贈寄付を検討してみたいと思ってくださった方もいらっしゃることかと思います。実際に遺贈寄付で思いを形にするにあたっては、いくつかの必要な手続きや税務面・法務面での注意点があるのも事実ですので、それらのしくみについても知っておくことが成功のカギとなります。
専門的な知識が求められる領域にもなりますので、相続・遺贈寄付に詳しい専門家にご相談頂くと安心です。
不動産や現物での受け取りが難しい場合がある
現金と異なり、不動産や有価証券などの現物資産には維持管理コスト(固定資産税や管理費)、建物の解体費用、残存する権利関係のリスク等さまざまな課題が生じます。そのため、受け取る側のNPO法人や団体等が現物での寄付受入を断ったり、相続発生後に受取を辞退・放棄せざるを得なくなったりするケースが少なくありません。
良かれと思っての寄付であっても、思いが承継されないことは非常に残念なことです。
このようなケースを避けるために、事前に寄付先の団体等へ協議を行うことは必須と言えます。また、場合によっては亡くなった後に専門家が不動産等を売却・現金化し、諸経費や税金を清算した後の残余現金を寄付する「清算型遺贈」を選択することも可能です。
寄付先が無くなった?信頼できる寄付先を選定する
遺贈寄付は、遺言書を作成してから実際に実行されるまでの間に長ければ数年〜数十年という歳月が経過します。その間に寄付先の団体が解散してしまったり、活動内容や組織体制が変化して遺贈の受け入れができなくなったりするリスクがあります。近年では遺贈寄付の担当者がいる団体なども増えてきていますので、そのような窓口があると安心かもしれません。
寄付先を選ぶ際には、活動の継続性の高い団体を慎重に選定する必要があります。特定の1団体に絞り込むことが難しい場合には、複数の団体に分けて寄付をすることもできますし、万が一の場合に備えて、寄付先の第二希望を遺言書で指定する等の年月の経過による状況の変化に対応できるような工夫が必要です。
さいたま幸せ相続相談センターでは、ご希望の方に「遺贈寄付」に関する情報誌「えんギフト」もご紹介させていただいております。寄付先の選定の参考となさってください。
不動産や株式を直接寄付する「みなし譲渡所得税」に注意
購入時より値上がりした不動産や株式等の含み益のある資産を法人に遺贈すると、所得税法第59条に基づき「時価で売却して得た利益」とみなされ、被相続人(亡くなった方)に「みなし譲渡所得税(準確定申告)」が課税されるリスクがあります。
この場合、資産を受け取らない相続人がみなし譲渡所得税の納税義務を承継することになるため、多額の税金負担が発生してしまうことになり、トラブルになる可能性があります。このような余計な税負担が発生しないよう、ご不安な場合には専門家にご相談ください。
遺言による寄付以外の形をとられる場合には、相続税や所得税等の負担が発生しますので、注意が必要となります。
遺留分への配慮
配偶者や子ども、親などの法定相続人には、法律上最低限の取り分としての「遺留分」が保障されています。その為、仮に遺留分を考慮せず全財産を特定の団体等へ寄付するという内容の遺言書を作成した場合にはトラブルになってしまう可能性がございます。
遺留分侵害請求は法定相続人に認められた権利ですので、将来寄付先の団体と法定相続人間でのトラブルにならないよう、生前にご家族へお気持ちを伝え、理解を得ておくことが重要です。また、場合によっては家族に知られずに遺言書を遺したい方もおられると思いますので、その場合には遺留分の金額をしっかりと計算し考慮した上で、遺言書を作成されることをおすすめします。また、遺言の本文とは別に「付言事項」で遺言者様のお気持ちやご家族への感謝の気持ちを添えることで、残されたご家族の方へ想いを託すことも可能です。
おわりに
遺贈寄付は、遺言者様の最後の社会貢献につながる特別なものになると思います。
実際に遺贈寄付を検討され遺言書を作成されたお客さまは、社会とつながる一つのきっかけとなり、非常に充実したお気持ちになられたというご感想を頂きました。
このような活動が、多くの方に広まっていくことを私も切に願っております。
実際のお手続きに関しては、ご不安な点もあるかと思いますので、さいたま幸せ相続相談センターではそのような方に向けての遺言書作成等のサポートも積極的に行っています。
「こんな想いがあるのだけど、、、」というご相談だけでも結構ですので、お気軽にご相談ください。
遺言書作成サポートについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。





