皆さんこんにちは。
相続コンサルタントの久保田です。
少し相続の話からは外れますが、「境界確認立会のお願い」がお手元に届いたことはありますか?
隣地の所有者様が土地建物を売却するときに売買対象の土地を確定測量する際に、隣接地の所有者様と土地の境界を確認する必要があるので、土地を所有している方ですと隣地所有者様が測量を依頼した土地家屋調査士や測量会社からお手紙を受け取ったことがあるかもしれません。
相続の相談の場でも、稀に「境界確認立会のお願い」が来たけどどうしたらいいかわからないといったご質問が出てくることがありますので、今回は「境界確認立会のお願い」が届いたらどのような対応をすればいいかをご説明したいと思います。
境界立会いは協力すべき?
結論からになりますが、「境界確認立会のお願い」が届いたらよほどの事情がない限り境界確認の立会や書面への署名・捺印にご協力いただきたいと思います。
隣地のことだから直接は関係ないかもしれませんが、将来ご自身が土地を売却することになり確定測量が必要になったときには、逆に境界確認の立会をお願いする立場になります。
過去に境界立会に協力をしなかったとしたら、隣接地の所有者様に協力しないと言われても仕方がないことだと思います。
土地を売却する際に、引渡し前に確定測量を実施するかしないかで売買代金が変動することもありますし、買主様にとっては近隣の方と関係が良くない売主様の土地を買いたくないと考えてしまうこともあるでしょう。
ご自身は土地を売却する予定が無くても、将来土地を相続したお子様やお孫様が土地を売却することもあり、数十年経った後の確定測量でも過去に協力を断られたことを理由に境界確認に協力していただけないこともありますので、数十年先までを見据えて基本的には境界確認にはご協力いただくことをお勧めします。
境界確認の流れ
1、境界確認立会いの日程調整をする
「境界確認立会のお願い」が届いたら、差出人の土地家屋調査士や測量事務所に連絡していただき、境界確認立会の日程を調整することになります。
2、境界確認当日
境界確認の当日は土地家屋調査士や測量会社に実際に境界を示していただきながらご自身の認識している境界を確認していき、ズレがなければその日の対応は終了となります。
3、書類内容の確認・署名捺印を行う
土地家屋調査士や測量会社が他の隣接地所有者様とも同様の境界確認が終わったら、測量図と境界確認書を作成して、別途測量図の確認や境界確認書の署名捺印を行います。(署名捺印は郵送でのやり取りになることもあります。
よほど広い土地の境界確認や境界に疑義がなければ立会当日は30分ほどで立会いが終わると思います。
時間がかかるケースの一つに越境物があるケースがあります。
境界から軒、ブロック塀、樹木等がはみ出していることを越境といいます。
越境をすぐに解消できる場合は越境を解消して解決ですが、軒やブロック塀といった簡単に壊しにくいものが越境している場合は、期限を定めて越境の解消工事を行うか、将来越境物を工事(建て替え工事や解体工事)するタイミングで越境物を解消する覚書を締結するかで隣地所有者様と話し合いをする必要があります。
隣地で予定している工事に大きな影響がない場合は覚書の締結で完了する場合が多いかと思いますが、隣地の建築計画に支障があるほどの越境がある場合は越境を是正する工事が必要になり、基本的には越境している側の費用負担で工事を行うことになりますので、越境がある場合は注意が必要です。
境界線上にブロック塀がある場合
最近はブロック塀を構築する際にそれぞれの境界線内にブロック塀を構築するケースが多いのですが、複数棟を同時に販売する建売戸建や昔からあるブロック塀は境界線上に構築されていることがあります。
境界線の中心であればブロック塀は1つ構築すれば良く、それぞれ土地を有効活用できるのでメリットが大きいのですが、ブロック塀構築から月日が流れてブロック塀を構築した際の経緯が不明瞭になりブロック塀の所有権がわからなくなっていることがあります。
境界線上にあることから、それぞれが費用を折半して構築した共有物の可能性が高いのですが、何らかの事情で片方だけが費用を負担して境界線上にブロック塀を構築するケースもあるため、境界線上にあるブロック塀=共有物と決めつけず、境界立会のタイミングで隣地所有者様と確認し合うとブロック塀の所有権を明確にできると思います。
境界確認に協力しない方がいい場合
基本的には境界確認にはご協力いただきたいのですが、以下のような手紙が届いた場合は差出人に連絡しなくてもいいかと思います。
・差出人が隣地所有者様、土地家屋調査士、測量会社いずれでもない
・測量対象地の地番が記載されてない
通常境界確認立会のお願いの差出人は、土地所有者様と土地家屋調査士または測量会社の連名であることが多く、測量対象地の所在・地番が明確に記載されますが、それらがない場合は測量を目的とした手紙ではない可能性が高いため、差出人に日程調整の連絡は必要ないと思います。
また、ご自身が認識している境界と、測量結果の境界が大幅に異なる場合は何かしら原因があるはずなので、担当している土地家屋調査士や測量会社にしっかりと状況を確認していただきご認識とのズレをメモ書きでも残しておくことで将来お子様やお孫様が売却するタイミングのヒントになるかもしれません。
当センターは境界確認をお願いされる側でもお願いする側でもご相談をお受けしておりますので、境界確認の立会や確定測量でお困りの際はお気軽にご相談ください。