こんにちは。相続コンサルタントの馬渕です。
相続対策としての土地活用と一言で言っても、幅広く非常に奥が深いものです。
今回は相続対策としての土地活用を成功させるために必要な5つのポイントをご案内します。
1.土地の特性を掴み活用方法を見極める
不動産には、一つとして同じものがありません。土地に対しての活用方法は多岐に渡ります。ある土地において最大の効果・利益をもたらした方法も、別の場所ではまったく効果がなかった、逆にマイナスになってしまったなんてことも十分にあり得ます。
また、数年前に近隣でうまくいった土地活用も同様の結果になるとは限りません。不動産は生ものであるということを念頭に置く必要があります。周辺環境の変化、需要と供給のバランスの変化等々環境要因で家賃相場が一変するなんてこともよくあります。その他、人手不足や建材不足等による建築費の高騰、税制の変化、為替など政治的・経済的な変化にも大きな影響を受けるものです。
プロの視点からでも、間違いなく成功するという定石はなく、土地活用における価値創造というのはとても難しいものです。
2.リスクと収益性のバランスを見極める
株式でもさまざまな投資スタイルがあるように、土地活用のスタイルも様々です。
・収益性の高い活用方法を行いたい
・安定性を重視したい
・経済的なリスクや労力をできる限り避けたい
などの様々なニーズがあるかと思います。
不動産投資のメリットとして、安定収入が期待できる、安全性が高いなどと言われることが多々あります。一般論としてそのように定義されることが多い不動産投資・土地活用ですが、初期投資が必要であったり、建築費の高騰、空室リスク、災害リスクといった想定外のできごとの影響も受けます。売却したいときにすぐ売却できるかという視点においても、株式などよりも難易度が高いことは想像に容易いと思います。
不動産投資=不労所得というイメージが強いためか、想像よりも手間と労力がかかるといったことから思っていたより大変だったというお声を聞くこともあります。
自分に合わない選択をしてしまった場合のマイナスの要素も大きく、あらゆる事態を想定しリスクとバリューを見極めることがポイントです。
3.土地活用の効果は攻守ある
前2つのポイントは、主に土地活用という視点において考えるべきポイントについてご紹介しました。3つ目のポイントとして、収益を上げることだけが、土地活用の効果ではないという点をご説明します。
肝となるのは、相続税です。
相続が発生した際、不動産は相続税評価が現金と比較し低く算定されます。土地には、「一物四価」と言われるように、4つの価格があります。相続税を計算する際に用いられる相続税評価額は、実勢価格(実際の取引価格)より2~3割低くなると一般的に言われています。(※対象地により逆転現象が起こっている場合もあり、全ての土地に該当はしませんのでご注意ください。)また、賃貸物件であればさらに評価額が下がる制度や小規模宅地の特例といった税の優遇制度などもあります。こういった事例が、相続における土地活用の守りの戦略とも言えます。
4.人×土地×方法 無数の活用パターンから自分に合った選択をする
土地活用をしたい方自身が何を求め、どうありたいのかを明確にすることがとても重要となります。退職後の生活費の備えとなる収入を得たい、最大効果の収益を上げる方法を検討したい、管理が大変にならない方法を選択したい、最低限の相続対策は考えたいが子供世代に負担はないようにしたい等々、土地活用で何を求めるのかは十人十色。
さらに土地の活用方法のイメージが付いたら、次は実現のためのパートナーとなる業者の選定のステップ。例えば、土地活用で賃貸経営を検討しようと決まった場合でも、戸建て賃貸にするのかアパートにするのか。アパートなら、RCなのか木造なのか。では、施工業者はどこにしようか?検討すべきことが無数にあります。
無数の選択肢から自分にあった選択肢を見極めるのが土地活用の一番大事なポイントとなります。そして、必ず複数のプランを比較検討してみるようにしてください。初期費用だけでなく、維持費や利用できる税の優遇制度なども含めて長期的な視点で見極める作業が大切です。
5.信頼できるプロを見つける
【人】×【土地】×【方法】通りの、無数の選択肢があること。無数の選択肢から長期的な視点で見極める作業が必要ということについて、お分かりいただけるかと思います。
土地活用は非常に複雑で、不動産・建築・投資・税務など専門知識と経験が必要とされます。自社の製品のメリットだけを共有するなどといった場合は、本当に自分に合っているのかしっかりと検討する必要があります。1つの視点によらず多角的な視点、かつ長期的な目線で判断材料を提供してくれるのが土地活用のプロとしてあるべき姿です。
相続において土地活用が有効な選択肢になるということをお伝えしました。その一方で、不動産は簡単に分けることができません。相続人が複数人いる場合など、その分け方を巡って「争族」に発展してしまうということが残念ながら近年多く見受けられます。家族の為を思って土地活用をしてみたものの、逆に家族間のトラブルの種になってしまったということではうかばれません。相続税対策になるからといって、容易に土地活用を選択してしまうと後々揉めてしまったなんてことにならないよう慎重に検討をする必要があります。
相続時の分け方や土地活用の先の先まで、将来を見据えたることができるかが、重要なポイントにもなります。
専門家が長期にわたってご家族が幸せになる方法まで一緒に親身になって考えているか、信頼できる専門家を見つけることも重要なポイントです。
土地活用を通して、将来にわたってご家族が幸せになる方法をみるけることに重点をおいた、5つのポイントをご紹介しました。是非参考になさってください。