皆さんこんにちは。相続コンサルタント・行政書士の稲垣です。

 

昨年12月26日の日経新聞の記事において、借入をした企業が万が一返済できなくなった際に、経営者が私財を差し出して借金を返済する「経営者保証」に関する融資の実態調査の記事が掲載されていました。

 

※参照 2023年12月23日日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB269U20W3A221C2000000/

 

記事によると、金融庁が経営者保証を求める手続きを厳格化したことをきっかけに、昨年4月から9月に新規で無保証で融資した件数は57万4100件と前年同期比で41%増加。既存融資で経営者保証を解除した件数も80%増加したとのことです。

 

以前のコラムでも書かせていただきましたが、私は4年程前まで金融機関に勤務していました。私が金融機関に勤め始めた頃はどんな優良取引先であっても経営者保証を付けるのが当然であり、私自身そういうものなんだと考えていました。しかし、数年前から金融庁の方針で「担保、保証に依存しない融資」が求められるようになりました。言い換えればその企業の理念、事業の将来性、経営者の人柄・人脈などを適切に評価して融資をしましょうという方針に変わりました。しかしながら、ながらく続いていた融資姿勢を変えることは難しく、経営者保証を外した企業は取引の長いごく一部の優良企業のみであり、基本的には「保証を付けられるなら付けてもらえ」というのが融資担当部署の方針でした。私自身「どう考えても個人で保証できる様な金額じゃないのに、経営者保証を付ける意味があるのだろうか」と考えていました。そして日経の記事にも書かれているように、この経営者保証を後継者が重荷に感じ、会社を継ぐのをためらうというのはよくある話でした。

 

現在中小企業の後継者不足が深刻な問題となっていますが、今回の記事を読み、政府としても事業承継により力を入れ、金融機関も変わってきているのを感じました。当社としても事業承継支援に力を入れ、埼玉県の経済の活性化に寄与していきたいと思います。

 

執筆:相続コンサルタント・行政書士 稲垣一樹