皆さんこんにちは。

相続コンサルタントの久保田です。

 

相続した不動産を今後どうするか?

今までのコラムで、空き家はご自身で利用する、第三者に貸し出す、売却する、のいずれかになることを説明してきましたが、今回は第三者に貸し出す際の注意点を説明していこうかと思います。

 

【空き家を貸し出すためには】

相続した不動産で貸し出す方針になるものの多くは、ご両親様のご自宅や元々空き家だった不動産が多いかと思います。

新しい不動産であればクリーニング程度で貸し出すことも可能ですが、基本的には一度修繕を行っていただくことをお勧めしています。

その不動産によってどこまで修繕が必要かは異なりますが、主に以下のような修繕が必要です。

 ・屋根の修繕

 ・外壁塗装

 ・設備(浴室、キッチン、トイレ、給湯器等)の交換、修繕

 ・給排水管の更新

・・床の貼替え

 ・壁紙の貼替え

すべての修繕を行ってしまうと、賃料に見合わない費用がかかってしまうので、不動産があるエリアの相場賃料を把握して、どこまでの修繕を行うのかをご検討頂くと良いと思います。

ただし、賃料相場が低いエリアだから修繕をしなくても良いというわけでは無く、貸主様としてのリスクを回避するためにも最低限行わなければならない修繕があるということもご認識いただきたいと思います。

 

【貸主様としてのリスク】

不動産を貸し出すというと自動で賃料をもらえる不労所得の様なイメージもあるかもしれませんが、意外とやることも多く、リスクもあることだとご認識頂く必要があります。

例えば、必要な修繕を行わなかったために借主様に損害を与えてしまった場合、所有者として損害を賠償しなければなりません。

所有者賠償特約付きの火災保険である程度カバーはできますが、場合によっては命に関わる事故にも繋がりますので、最低限不安なくお住まいいただける状態までに修繕していただくことは必要だと考えています。

また、事故に繋がらなかった場合でも、2020年4月1日の民法改正から、賃貸不動産の設備が故障した場合は賃料が減額されることになりました。故障の原因が借主様にある場合を除いて、故障した設備の種類や修繕までに要した期間によって賃料の減額割合が定められていますので、空き家を貸し出そうとお考えの方は確認してみてください。

 

出典:“貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン” 公益社団法人 日本賃貸住宅管理協会ウェブサイト

https://www.jpm.jp/wp-content/uploads/2020/03/gengakuguide2.3.19.pdf

(参照2023.6.6)

 

【空き家を貸し出すときの注意点】

貸主様としてのリスクはもちろんご注意いただきたいですが、他にも以下のご注意いただきたい点があります。

 

・確定申告が必要になる

 賃料を受け取ると翌年確定申告が必要になります。

 元々確定申告をしている方は問題ないのですが、確定申告をしていなかった方は手間が増えてしまいますのでご注意ください。

 

・扶養から外れてしまう

 ご家族の扶養になっている方が賃料を受け取ると、扶養から外れてしまうことがあります。

 そのため、扶養から外れた場合に増加する各種税金等と期待できる賃料とを比較してメリットがあるかを検討してみてください。

 

・管理に手間がかかる

 貸し出す前にしっかりと修繕を行っていればさほど手はかかりませんが、十分な修繕ができていないと度々設備が故障して都度対応をする必要が出てきてしまいます。

 賃貸管理会社に管理を任せることで大体の手間は解消されますが、修繕等の最終判断等で賃貸管理会社とのやり取りはありますので、現在の生活リズムの中で対応ができるかを考えていただきたいと思います。

 

【それでも空き家を貸し出すことをお勧めしています】

リスクや注意点を書きましたが、私は空き家を貸し出すことをお勧めしています。

相続した不動産を売却して現金化することも方法の一つですが、ご両親様から受け継いだ不動産を手放してしまうことはやはり寂しさを感じると思います。

相続した不動産を大切にしながら賃料も得られる空き家の賃貸は一度ご検討いただきたい方法だと考えています。

ただ、自動で賃料をもらえるものと考えるのではなく、借主様にできる限り満足して頂けるよう、しっかりと修繕や管理を行っていただきたいとも考えています。

空き家の賃貸だけでなく賃貸不動産全体にいえることですが、外を歩いていると十分な管理が行き届いていないアパートやマンションを目にすることがあり、非常に残念な気持ちになります。

相続した大切な不動産がその様な状態にならないよう、しっかりと準備をしていただき、空き家を素敵な賃貸不動産にしていただきたいと思います。

当センターでは相続した不動産の活用もワンストップでお手伝いができますので、お気軽にご相談ください。

 

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