皆さんこんにちは。
相続コンサルタントの久保田です。
3月24日付日本経済新聞で、
京都市が空き家税について総務省の同意を得たとのニュースがありました。
出典:“京都市長「空き家新税で活性化」 26年度にも導入決定”日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF247KY0U3A320C2000000/(参照2023.4.11)
空き家税は正式には「非居住住宅利活用促進税」といい、
京都市に居住を希望する方への住宅の供給を妨げる
空き家、別荘、セカンドハウスへの対応を目的として創設された
日本では初めて導入される税金です。
また、昨年12月には、今後特定空き家に指定された場合に
固定資産税が6倍になるというニュースを見た方も多いかもしれません。
今回は、埼玉県でも可能性のある、
固定資産税が6倍になってしまう仕組みをまとめていきたいと思います。
【特定空き家とは?】
平成27年2月26日に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、
以下の状態と認められた空き家のことを特定空き家といいます。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれ著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を残っている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
2018年時点で、全国の空き家件数は約850万戸まで増加しており、
20年間で1.5倍になっているとされています。
相続の場でも度々既に空き家になっている不動産や、
今後利用する方がいないことで空き家になってしまう不動産のご相談を
お受けすることも多く、相続を機に空き家になってしまうことも多いように感じています。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」は、
上記のように空き家の中でも特に周囲に悪影響を及ぼす状態の不動産を、
最終的には行政で除却等を行えるようにするために作られた法律です。
【固定資産税が6倍になる理由】
通常住宅地の固定資産税・都市計画税は、
特例措置によって下記のように
「小規模住宅用地」や「一般住宅用地」として、固定資産税・都市計画税が軽減されています。
区分 |
固定資産税 |
都市計画税 |
|
小規模 住宅地 |
住宅用地で住宅1戸につき 200㎡までの部分 |
評価額×1/6 |
評価額×1/3 |
一般 住宅用地 |
小規模住宅用地以外の 住宅用地 |
評価額×1/3 |
評価額×2/3 |
特定空き家に指定されてしまうと、
上記の軽減がなくなるため、
固定資産税・都市計画税が増加してしまうことになります。
そのため、単純にどんな特定空き家でも固定資産税が6倍になるわけではなく
市街化区域内の空き家では下記のように、約5倍前後の税額になります。
<評価額1,000万円の場合>
・軽減がある場合の固定資産税・都市計画税額
固定資産税:1,000万円×1/6×1.4%≒2.3万円
都市計画税:1,000万円×1/3×0.3%≒1万円
合計:約3.3万円
・軽減がない場合の固定資産税・都市計画税額
固定資産税:1,000万円×1.4%=14万円
都市計画税:1,000万円×0.3%=3万円
合計:17万円
【特定空き家に指定されるとすぐに税金が増額するの?】
特定空き家に指定されたからといっても
すぐに固定資産税・都市計画税の軽減がなくなるわけではなく、
以下の段階の中で対応ができなかった場合に軽減がなくなります。
- 特定空き家に指定
- 行政からの特定空き家の措置に関する指導又は助言
- 行政からの特定空き家の措置に関する勧告
- 賦課期日(1月1日)までに対策が講じられていないことを確認
- 特例措置の除外
固定資産税・都市計画税が増額するまでには段階がありますが、
厳しい言い方をすると空き家によって周囲に悪影響を及ぼす可能性がある以上、
税金が増えることとは別の観点でも早めに何かしらの対策を講じていただきたいと思います。
尚、上記の段階を経ても対策が講じられない場合は、
命令(50万円以下の過料)・行政代執行(代執行に要する費用の徴収)と進み、
哀愁的にはご自身で対策を実施するよりも高額な費用を負担することにもなりかねませんので、
やはり特定空き家に指定される以前から空き家の対策をご検討いただくことをお勧めします。
【結局空き家をどうしたらいいの?】
特定空き家に指定される要件を見ると、
どなたかが居住していなくてもしっかりと管理がされていれば
特定空き家に指定されることはないかと思われます。
相続の場でも、ご両親様のご自宅を利用する相続人様がいらっしゃらず
管理についてのご相談をお受けすることもありますが、
一番費用がかからない方法はご自身で定期的に空き家に行っていただき、
空気の入れ替えや清掃を行っていただくことになります。
お時間がない方は、空き家の近隣で空き家管理を行ってもらえる専門業者に
相談するのも一つの手だと思います。
また、賃貸募集を行いどなたかに貸し出すことで、
空き家の対策にもなり賃料収入も得られるため、こちらも空き家対策といえるでしょう。
とはいえ、第三者に対して賃料を得て不動産を貸し出すことになりますので、
入居前には修繕も必要になることも多く、まとまった修繕費の負担が必要になります。
いずれの方法も難しい場合は、空き家を売却してしまうことも一つの方法だと思います。
相続した空き家を売却する場合は、
要件を満たすことで譲渡所得から3,000万円を控除できる特例もありますので、
売却を検討する際はこちらの特例も並行してご検討いただくことをお勧めします。
当センターでは相続から空き家の活用・売却までワンストップで対応をしていますので、
相続した空き家でお困りの際はお気軽にご相談ください。