皆さんこんにちは。
相続コンサルタントの久保田です。
前回のコラムで特定空き家についてまとめてみましたが、
今回は空き家の方針が決まり、解体する際の注意点をまとめてみたいと思います。
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1.空き家の解体費用
一番気になる費用ですが、一般的に木造戸建では3万円/坪~5万円/坪が相場と言われています。
解体を予定している空き家の床面積に上記の坪単価をかけた金額でおおよその費用が計算できます。
ただし、以下のような要因で解体費用が変動しますので、あくまで金額の目安としてください。
・基礎の構造(布基礎かベタ基礎か)
・外構の解体範囲(ブロック塀等)
・前面道路の幅(前面道路幅が狭いと重機やトラックが利用できないため費用が追加されます。)
・アスベスト(古い建物には少なからずアスベストが含まれていることが多く、
含有量によって処分費用が追加されます。)
実際には解体業者の見積もりを取っていただくことをお勧めします。
その際に、1社だけで決めてしまわず、
複数社に見積もりを取っていただき、妥当な金額なのかを確認してください。
また、空き家をそのままの状態で解体できるわけではなく、
家財等のお荷物がある場合は事前にお荷物を処分する必要があります。
昔は廃棄物の分別がさほど厳しくなかったので、
家財がある状況でもそのまま解体してしまう解体業者もいましたが、
現在は分別が非常に厳しくなっていますので、
家財がある状態でそのまま解体する業者はほとんどいないと思います。
解体業者でお荷物の処分も一括して任せられる場合もありますが、
ここもできれば別途処分業者の見積もりを取っていただくことをお勧めします。
2.空き家の解体に必要な期間
木造戸建を解体する場合、一般的に解体工事に2週間~3週間ほどの期間がかかります。
とはいえ、見積もりを依頼する解体業者を探す期間もありますし、依頼先を検討する時間も必要です。
そのため、空き家を解体する方針が決まってから実際に空き家を解体して更地になるまでは
余裕を持って1ヶ月半~2ヶ月ぐらいを想定していただくと良いと思います。
3.空き家を解体する際の注意点
解体業者に依頼したからといって、すべてを手放しにするわけではなく、
下記のように色々ご注意いただきたい点もあります。
①解体する範囲に間違いが無いか
よく問題になるものとしてブロック塀があります。
古いブロック塀は隣地と共有になっているものや、隣地との境界線上にご自身に権利が無いものがあります。
ブロック塀を解体してしまった後に本来ブロック塀の権利がないことがわかり、
隣地の方と揉めてしまうケースもありますので、
事前に隣地の方とブロック塀の所有権やブロック塀を立てた当時の経緯を確認して、
状況に合うように覚書を締結するようにしてくだい。
②解体する時期
前回のコラムでは特定空き家に指定された場合固定資産税・都市計画税が約5倍前後になると書きましたが、
建物が無い土地も同様に固定資産税・都市計画税の軽減がなくなり約5倍ほどになります。
建物を解体するため建物分の固定資産税・都市計画税は課税されなくなりますが、
ほとんどの場合建物を解体することによる固定資産税・都市計画税の減少よりも、
軽減が無くなった土地の固定資産税・都市計画税の増加の方が大きくなるため、
建物を解体する時期にも注意が必要です。
固定資産税・都市計画税は毎年1月1日の不動産の状況をもとに課税されますので、
1月1日時点で空き家が建っている状況が良いと思います。
建物を解体してもその年分の建物に対しての固定資産税・都市計画税が返還されるわけではありませんが、
上記のように土地の軽減が無くなる状況と比較して固定資産税・都市計画税を節約できると思います。
③解体する目的
以前、お客様ご自身で解体業者に依頼して建物を解体した後の更地のご売却をお手伝いしたことが
あったのですが、
譲渡所得税申告の際に解体費用が譲渡費用として控除できなかったと伺ったことがありました。
その方はご自身で譲渡所得税の申告を行ったのですが、
もともと建っていた空き家を解体した時期とご売却の時期が離れすぎていた事から、
土地を売るために空き家を解体したと認められなかったとのことでした。
このような状況では税理士に譲渡所得税申告をご依頼いただいても
必ずしも解体費用を譲渡費用として計上できるわけでは無いと思いますので、
解体した後にその土地を活用するのか・売却するのかといった目的を明確にしてから
解体を進めるようにしてください。
④解体した空き家の滅失登記
不動産は法務局で登記簿謄本でその不動産の概要や権利がわかるように管理されています。
建物については、建築したときも解体したときも自動で登記されるわけではなく、
建築したときは表題登記、解体したときは滅失登記という手続きが必要になります。
解体後更地の状態を条件として売却する場合は仲介業者が滅失登記までを手配するかと思いますが、
解体後新たな建物を建築してご自身で利用する場合は、滅失登記が漏れてしまうことがあります。
その後世代が変わりその不動産を売却しようとした際に、
過去に解体した建物の登記が残ったままになっている不動産を目にすることもあります。
万が一解体済みの建物の滅失登記が漏れてしまっていても、
売却に合わせて滅失登記を行うことは可能ですが、
必要な書類が多くなったり、費用が増えてしまったりとご負担が大きくなってしまうこともありますので、
できる限り建物の解体と滅失登記は同時期に行っていただくようにしていただきたいと思います。
5.まとめ
解体業者によっては上記のような注意点を教えてくれることもありますが、
事前知識として頭の片隅に入れていただくと、
いざ空き家を解体するとなった際に後から想定していなかった問題が発生することも少なくなると思います。
相続でもいえることですが、建物の解体も人生の中で何度も経験することがなく、
慣れるものでもないので、空き家の解体でお困りの際はお気軽にご相談ください。
空き家を解体した先の活用方法も含めご提案をいたします。