こんにちは、相続コンサルタントの山中です。
前回のコラム(2023年地価公示について)に続きまして、
地価公示に関する内容でお伝えしたいと思います。
地価公示価格は、不動産取引市場の動向や地域の特性によって大きく変動します。
今回は2013年~2023年の
「直近10年間の地価公示価格から見るさいたま市内の住宅地地価の変化について」
という内容で書いていこうと思います。
2013年の埼玉県さいたま市の住宅地の地価公示価格は、
大宮駅周辺や浦和駅周辺などの都市部が高い傾向にありました。
一方、郊外や住宅街などの地域には価格が安定している地域もありました。
2013年当時は、東京オリンピック招致決定やアベノミクスの発表により、
日本全体の不動産市場が活況を呈していました。
しかし、一方で物価上昇による家計への影響や、
景気回復の浸透による需給バランスの変化もあり、
地価公示価格には上下の動きが見られました。
(参考:大宮区平均約221,000円/㎡、浦和区平均253,000円/㎡、埼玉県平均約120,000円/㎡)
2014年のさいたま市内の住宅地における地価公示価格は、
前年度に比べて若干上昇が見られました。
2014年当時、日本経済はアベノミクスによる政策の効果で景気が回復し、
物価も上昇していました。
これにより、不動産市場も活況を呈していました。
さいたま市は、都心からのアクセスも良く、
商業施設や住みやすい環境が整っていることから、
不動産需要が高まっていました。
そのため、地価公示価格も上昇傾向にあったと考えられます。
(参考:大宮区平均約221,000円/㎡、浦和区平均273,000円/㎡、埼玉県平均120,000円/㎡)
2015年のさいたま市内の住宅地における地価公示価格は、ほぼ横ばい。
2015年当時、日本経済は世界的な景気減速により、不安定な状況が続いていました。
このため、不動産市場も消極的な傾向が見られました。
その中にあっても大宮区、浦和区等の中心地は価格が伸びていました。
(参考:大宮区平均225,000円/㎡、浦和区平均約273,000円/㎡、埼玉県121,000円/㎡)
2016年のさいたま市内の地価公示価格は、前年度に比べて若干の上昇傾向にありました。
さいたま市内においては、地価の上昇に伴い、不動産投資に注目が集まっていました。
住宅地では交通アクセスが良いエリアや、
自然環境に恵まれたエリアなどが高い評価を受け、地価が上昇していました。
例えば、南浦和や大宮などの駅周辺エリアは、
交通アクセスが便利で、商業施設も豊富にあり、
住みやすいエリアとして人気が高まっていました。
(参考:大宮区平均235,000円/㎡、浦和区平均約266,000円/㎡、埼玉県122,000円/㎡)
※浦和区は前年に比べ平均価格が下がっていますが、これは公示地点が新たに4地点追加されたことによります。
2017年のさいたま市内の住宅地における地価公示価格は、
首都圏の地価上昇の傾向から前年度に比べ上昇となりました。
前年度に比べて地価が上昇したエリアは、
南浦和や大宮、岩槻などの駅周辺エリアや、自然環境に恵まれたエリアが中心でした。
これらのエリアは、住宅地としての需要が高く、
交通アクセスや生活環境の良さが評価されているため、
地価が上昇する傾向が見られました。
一方で、地価が下落したエリアも存在しました。
これらのエリアは、住宅需要が低迷していたり、駅から遠く離れているため、
地価が下落する傾向にあったと考えられます。
例えば、緑区や北区などの一部のエリアでは、地価が下落する傾向が見られました。
(参考:大宮区平均239,000円/㎡、浦和区平均約302,000円/㎡、埼玉県123,000円/㎡)
2018年のさいたま市内の住宅地における地価公示価格は上昇傾向でした。
これは、さいたま市内での不動産取引が活発化しており、
中でも住宅需要の高まりが大きな要因でした。
首都圏での雇用機会の増加に伴い、
移住者や新築住宅を希望する家庭が増加したため、住宅需要が高まりました。
首都圏の経済状況の良さや住宅需要の高まりなどが地価公示価格を押し上げたため、
不動産市場は総じて堅調な状況が続いたと言えます。
(参考:大宮区平均245,000円/㎡、浦和区平均約310,000円/㎡、埼玉県124,000円/㎡)
2019年は、消費税の増税が実施された影響もあり、
エリア別に上昇、下落が分かれたものの
首都圏の経済状況の良さや住宅需要の高まりなどから上昇傾向となりました。
(参考:大宮区平均253,000円/㎡、浦和区平均約339,000円/㎡、埼玉県127,000円/㎡)
2020年のさいたま市内の地価公示価格は上昇となりました。
これは低金利政策の影響が大きく、
住宅購入においては低金利の影響が顕著になった年でもありました。
低金利により、住宅ローンの返済負担が軽減され、住宅購入を検討する人が増えたため、
地価公示価格の上昇につながったと考えられます。
(参考:大宮区平均262,000円/㎡、浦和区平均約352,000円/㎡、埼玉県130,000円/㎡)
2021年の地価公示価格は、
埼玉県全体では新型コロナウイルスの影響から価格が下落に転じました。
さいたま市内においては、都心部への通勤が比較的容易な立地にあり、
移住需要が高まったため、地価公示価格は堅調でした。
また、継続する低金利政策も追い風となりました。
(参考:大宮区平均261,000円/㎡、浦和区平均約352,000円/㎡、埼玉県129,000円/㎡)
2022年のさいたま市内の住宅地における地価公示価格は、上昇傾向にありました。
これは低金利が維持され、
自宅での過ごし方の変化により住宅需要が高まったこと等が
地価公示価格の上昇につながったと考えられます。
また、東京オリンピック・パラリンピックが開催されたことで、
周辺エリアの開発が進んだことも、地価公示価格の上昇に寄与したと思われます。
(参考:大宮区平均266,000円/㎡、浦和区平均約363,000円/㎡、埼玉県131,000円/㎡)
2023年のさいたま市内の住宅地における地価公示価格については上昇となりました。
2022年の取引事例を反映した価格ではありますが、
住宅需要の高まり、低金利政策などから堅調な推移を見せています。
(参考:大宮区平均313,000円/㎡、浦和区平均約378,000円/㎡、埼玉県135,000円/㎡)
いかがでしたでしょうか、10年前から遡るとその年ごとに上下の動きがあるものの
総じて地価は上昇傾向にあることが分かります。
弊センターの事務所がある大宮区の住宅地価の平均は
10年前(2013年)には221,000円/㎡であったのに対し、
2023年には313,000円/㎡となっています。
地価公示特有の反映時期のずれや実際の売買価格との差はありますが、
この10年間で上昇していることが分かります。
2023年地価公示までは上昇傾向となりましたが、
今後につきましては、
近年の地価上昇の追い風であった低金利政策の方針転換の可能性や世界経済情勢、
アフターコロナの日本経済の状況、不動産会社の在庫増等、
不動産をとりまく情勢は変化しておりますので、注視していくことが必要です。
さいたま幸せ相続相談センターでは日々の情報収集のもと相談者様への対応を行っております。
ご質問などありましたらお気軽にご連絡いただければ幸いです。
参考:【相続税・贈与税の改正】最新の相続税・贈与税対策をわかりやすく解説【相続コラム】