皆さんこんにちは。
相続コンサルタントの久保田です。
皆さんは何か仕事をお願いする際に、どれくらいの期間そのお願いをした方から連絡が無いとご不安になるでしょうか?内容にもよりますが私は、1週間~2週間ぐらいご連絡が無いとやや不安になるケースが多いです。
これも事前に「おおよそこれぐらいの時間がかかる」といったご説明をいただくと不安も解消されるかと思いますので、相続お手続きのサポートをさせていただく際は、段階ごとにおおよその所要期間をご説明させていただくようにしています。これからも、都度、所要期間のご案内をさせていただくものの、相続のそれぞれのお手続きでどれくらいの期間が必要になるかをご説明したいと思います。
1.準確定申告
準確定申告は相続の翌日から4か月以内に申告・納付が必要なお手続きです。毎年納税の確定申告をされていた方がお亡くなりになった場合は、準確定申告が必要になる可能性が高いので、準確定申告だけでも今まで確定申告をお願いしていた税理士の先生や相続税申告をお願いしようとしている税理士の先生に進めていただくと良いと思います。
準確定申告をご依頼いただいた場合、1ヶ月前後の期間が必要になります。今までお願いしていた先生であればご状況も把握しやすく、スムーズに申告書類を作成できると思います。
一方で、別の先生に相続税申告と一括して準確定申告をご依頼頂く場合は、今までお願いしていた先生よりは若干所要期間が延びるかと思います。ただ、準確定申告の内容は相続税申告にも影響があるため、今までお願いしていた先生とのご関係性や、準確定申告期限までの期日も含め総合的にご検討いただき、どの税理士に依頼するかをご判断いただくと良いと思います。
2.相続税申告
相続税申告は、お亡くなりになった方の相続財産が、基礎控除(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人様の数)以上であれば、相続の翌日から10か月以内に申告・納付が必要なお手続きです。財産構成(自社株式がある、土地の数が多い等)によっても変わりますが、税理士にご依頼いただいた場合のおおよその所要期間は下記のイメージになります。
相続税申告の所要期間イメージ(6ヶ月~7ヶ月)
(1)資料収集(1ヶ月~1ヶ月半)
相続税申告では、申告後税務署に疑義を持たれないよう、お亡くなりになった方の財産を詳しく調査する必要があります。その前提資料として、皆様の戸籍、通帳や金融機関の残高証明書、保険証券、不動産資料と数多くの資料を相続人様に集めて頂く必要があります。
中には、戸籍や不動産資料等税理士での代理取得ができるものもありますので、お仕事が忙しい方は代理取得が可能な資料は税理士にご依頼いただいた方がスムーズかもしれません。
(2)財産評価(1ヶ月~2ヶ月)
全ての資料が揃った後、相続財産の評価を行います。相続財産の中に未上場株式や不動産がある場合、一つずつ評価を行うことになりますので、財産構成によって期間が変動しますが、おおよそ2ヶ月~3ヶ月で税理士による相続財産の評価が完了します。
(3)遺産分割協議の内容決定(1ヶ月前後)
財産評価後に相続財産の評価が終わると、その相続財産を相続人様の中でどなたがどの財産を相続するかを決めていただきます。こちらは、財産評価後の税理士からの説明の場ですぐに決まる方もいらっしゃれば、争いになってしまい数年後に決まる方やまったく決まらない方もいらっしゃるので一概にはいえませんが、特段分け方で揉めない場合は1ヶ月前後で遺産分割内容が決まってくるかと思います。
(4)遺産分割協議書作成(1週間~2週間)、遺産分割協議書ご署名ご捺印(~1ヶ月前後)
遺産分割内容が決まった後、その内容を確定するために遺産分割協議書を作成します。それまでに決まったことを書面にまとめるので、通常1週間から長くとも2週間程度で作成が完了します。 遺産分割協議書の作成が完了次第、完成した遺産分割協議書に相続人の皆様にご署名ご捺印を行っていただきます。
こちらは一同に介して行う場合とご郵送でのやり取りの場合とで所要期間も異なりますが、ご郵送でのやり取りでも1ヶ月前後で相続人皆様のご署名ご捺印が完了するイメージです。
(5)相続税申告作成・申告・納付(1ヶ月)
相続人皆様のご署名ご捺印が完了した遺産分割協議書が揃い次第相続税申告書の作成を行います。状況によっては、遺産分割協議の内容が確定次第、相続税申告書の作成を進めて、遺産分割協議書が揃い次第、相続税申告を提出する場合もあります。
3.相続登記
相続登記は、お亡くなりになった方が不動産を持っている場合に、その不動産のご名義を変更する手続きです。相続税申告で収集した資料があればすぐに相続登記を行えますが、相続税申告を行わない場合の所要期間は下記のイメージになります。
相続登記の所要期間イメージ(2ヶ月~3ヶ月)
(1)戸籍の収集(1ヶ月~1ヶ月半)
相続人様の必要な戸籍は現在のものなので、すぐに収集できるかと思いますが、被相続人様の戸籍はお生まれになってからお亡くなりになるまで全ての戸籍が必要になります。
最後の戸籍から順に直前の戸籍を追っていくことになり、お引越しの回数が多い方や、過去の本籍地が遠方の場合は郵送でのご取得になるかと思いますので、その分期間が長くなります。また、過去の戸籍で手書きのものは読み解くのにも時間がかかりますので、状況によっては2ヶ月以上掛かる可能性もあるかと思います。
(2)遺産分割協議の内容決定、作成、ご署名ご捺印(1ヶ月~2ヶ月)
相続税申告での説明と同様に、被相続人様の相続財産を相続人様の中でどなたがどの財産を相続するかを決めていただきます。
相続税申告との違いは、これまでに相続財産の全体像を確認するタイミングが無いため、どの様な相続財産があるかを事前に調査し、相続人様同士で相続財産の全体像を統一していただくと、遺産分割協議の内容を決めていただきやすくなるかと思います。
(3)相続登記申請、登記完了(1週間~2週間前後)
被相続人様ご名義の不動産を相続人様のどなたかのご名義に変更する手続きです。
法務局への相続登記申請から通常1週間前後で登記が完了しますが、法務局の混雑状況によって登記完了までの期間が前後しますので2週間程度は余裕を持っていただくと良いと思います。尚、法務局が混雑していない状況であれば数日で完了する場合もあります。
4.金融機関の相続手続き
被相続人様ご名義の金融機関口座を解約して相続人様の口座に預貯金を移し替える手続きです。金融機関によって必要書類や所要期間が異なりますが、一般的に手続き開始から1ヶ月前後の期間が必要になります。郵送で手続きを行う場合はよりお時間がかかるため、余裕を持ってお手続きが良いと思います。
尚、金融機関には必要書類原本を提出する必要がありますので、一般的には相続登記後に金融機関手続きを進めることが多いと思います。
5.まとめ
相続のお手続きはご依頼いただいてから時間がかかることが多く、初めて相続のお手続きをされる方はどのお手続きにどのぐらいお時間がかかるかイメージができずご不安になる方もいらっしゃるかと思います。そのため、冒頭でも記載したように、ご相談を頂いた際に「この段階ではこれぐらいの時間がかかります」とご案内をさせていただいた上で、ご案内よりお時間がかかる場合は、都度ご報告をさせていただくようにしています。
また、相続ではご依頼いただいたお手続きを進める中で、「新たな問題」が見えてくることもよくあります。その新たな問題につきまして、お手続きの中での解決ができない場合は、その後どの様に問題解決を行っていくかも重要なポイントになります。
ご依頼いただいたお手続きの中で見えた「新たな問題」というものにつきましては、次回、事例とともにご説明したいと思います。
監修:司法書士法人T-リンクス 小川 直孝 司法書士
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