皆さん、こんにちは。

一級建築士、相続・不動産コンサルタントの城和です。

 

本日は遺産分割前の相続預金の払戻し制度についてお話をしたいと思います。

 

 

遺産分割前の相続預金の払戻し制度とは?

 

今まで、亡くなられた方の預金が遺産分割の対象となる場合、遺産分割が終了するまでの間、預金の払戻しや解約といった手続きをすることができませんでした。

そのため、葬儀費用の支払いや相続人の生活費などお金が必要になったときに相続預金の払戻しが受けられるよう、平成30年7月の民法改正により、相続預金の払戻しをすることができるようになりました。

 

払戻しができる金額は?

 

各相続人は相続預金のうち、「相続開始時の預金額×1/3×払戻しを行う相続人の法定相続分」まで払戻しを受けることができます。

ただし、払戻しは金融機関1行につき150万円が上限になります。

 

例えば、相続人が配偶者、長男、次男の3名で、相続開始時の預金額が1口座の1,200万円あった場合。

長男が単独で払戻しができる金額は、「1,200万円×1/3×1/4=100万円」となります。

※法定相続分の計算についてはこちらをご参照下さい。

相続の基本 ~誰が相続人になるの?相続の割合は?~【相続コンサルタントコラム】

 

制度利用の際に必要な書類は?

 

各金融機関によって必要な書類が異なる場合がございますが、概ね以下の書類が必要となります。

 

1.被相続人(亡くなられた方)の除籍謄本、戸籍謄本(出生からお亡くなりになるまで連続したもの)

2.相続人全員の戸籍謄本

3.払戻しを希望される相続人の印鑑証明書

 

※詳しくはお取引金融機関にお問い合わせ下さい。

 

 

遺言書がある場合は注意が必要

 

相続預金の払戻しを利用するという方は、遺産分割が整う前に利用をすることになると思います。

しかし遺言書があるといった方は、遺言書を利用して預金の払戻しをすることができます。

遺言書で預貯金を相続できると記載がある相続人は払戻し制度を利用する必要がありません。けれども遺言書に記載がない相続人はどうでしょうか?

遺言書に記載されてない相続人の方が金融機関に行って払い戻しの請求をしても、金融機関は遺言書があることは知らなければ払い戻しの請求を受けてしまう可能性があります。

他の相続人が遺言書の存在を知らないといった場合や、揉めてしまっているといった場合など、制度を利用して払戻しをしてしまう可能性があります。

 

まとめ

 

遺産分割前の相続預金の払戻し制度が施工されて1年ほど経ちましたが、まだ施工されて間もない制度になりますので、制度があることを知らないといった人もいらっしゃるかと思います。

いざ相続が発生して葬儀費用や家賃、生活費の支払いで引き落としができないと困ってしまいますよね。

金融機関によって対応が違ってくると思いますので制度を利用をする際は事前の確認が必要となりますが、この制度を利用することにより少しでも相続人の皆さまが安心して相続をすることができればと思っております。

さいたま幸せ相続相談センターでは相続お手続きのサポートをしておりますので、どうぞお気軽にご相談下さい。

 

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