皆さん、こんにちは。

一級建築士、相続・不動産コンサルタントの城和です。

 

相続対策のひとつとして土地活用という言葉を聞いたことがあるかと思います。

土地活用には様々な方法があるのですが、きちんとした活用をすることにより相続税対策になったり、長期的な収益を手に入れることができます。一方で、間違った土地活用をしたことにより失敗をしてしまったというお話も耳にします。

本日は失敗をしない土地活用についてお話をしたいと思います。

 

 

 

土地活用はなぜ相続対策になるの?

 

相続対策として土地活用をすることにより相続税評価額を下げ、節税をすることができます。

 

例えば、現金1億円を使ってアパートを新築した場合、約40%~50%ほど相続税評価額を減少させることができます。

 

現金1億円の相続税評価額は1億円なのですが、建物については建築費のおよそ50%~60%が相続税評価額となります。つまり、1億円をかけた建物が約6,000万円の相続税評価額となり、評価額1億円の現金が建物になることによって約40%ほどの評価減になるという仕組みです。

さらにアパートなどの賃貸不動産はそこから30%評価を下げることができ、6,000万円から30%を引いた4,200万円が相続税評価額となります。

 

土地についても賃貸不動産が建っている場合、評価額を下げることができるため土地活用をすることによって相続税評価額の圧縮をすることができます。

 

相続税は相続税評価額が圧縮されることにより少なくなります。

相続税は全体の相続財産(基礎控除額を差し引いた)によって税率が10%~55%の累進課税になっており最高税率が55%になります。

そのため相続財産の評価額が高ければ高いほど支払う相続税も大きくなります。

そこで金額がそのまま評価額になる現金を不動産へ組み替えることにより評価額を圧縮して相続税を少なくすることができます。

 

また負債があった場合、相続財産から差し引くことができますので、あえてローンを組むことによって負債をつくるということも相続対策には有効になります。

※賃料による収入と返済による支出のバランスに注意が必要です

 

 

最有効活用の検証が必要

 

土地活用が相続対策になるということがお分かりいただけたかと思いますが、土地活用をする上で大切なことがあります。それはどのような活用をするかです。

 

有効活用をしようと思っている土地が駅から遠く需要も少ないところにアパートを建てても空室だらけで入居が決まらない。

近隣に駐車場が多く需要もあるため駐車場にしたが、収益性が悪く思っている収入が得られない。といった失敗例もございます。

 

土地活用をする際は、ご所有の土地がどのような場所にあり、どのような建物が建てられるのか、どのような需要があるのか、といったところなどしっかりと検証をする必要があります。

 

 

成功事例:アパート、賃貸戸建ての賃貸経営による土地活用

 

ここでひとつ土地活用の成功事例を紹介したいと思います。

 

【ご相談内容】

A様は先祖代々続く土地を所有されておりました。

ご所有の土地は面積が大きく、駅からも10分ほどの場所です。

以前は他にも土地を所有していたそうですが、相続のたびに相続税を支払うため少しずつ売却をしてきたそうです。

なんとか先祖代々から続く土地を守っていきたいという思いもあり、当センターにご相談に来られました。

 

【ご相談頂いた結果】

当センターではまずA様がご所有の土地がどのような場所にあるのかを調査させて頂きました。

A様からのお話のとおり駅からは10分ほどの場所にあり、途中にはスーパーやコンビニ金融機関などがありました。

最寄り駅は年々乗降車数も増えており駅前も様々な店舗が立ち並んでいます。

対象地の近隣にはアパートが建っておりましたが、単身者向けのアパートが多く、今後の需要を考えるとファミリータイプや2人が住めるような広めのお部屋がある賃貸マンションをご提案致しました。

それからいくつかの建設会社をご紹介させて頂き、それぞれの特徴やプラン、収益シミュレーションを比較してご検討を頂きました。

A様ご所有の土地は6階建てほどのマンションが建てられる土地だったのですが、周辺には低層の住宅が多く高い建物が建ってしまうと近所との関係性が悪くなってしまうのではと気にされていました。

そこで再度建設会社と議論を重ねた結果、賃貸戸建てと共同住宅を複合した賃貸物件を建築していただくこととなりました。

新築完成前にはすべてのお部屋の入居者様が決まり、相続対策としても相続税の評価減をすることができたと喜んでいただけました。

 

 

サブリースには注意をしましょう

 

昨今サブリースの問題がテレビやニュースで取り沙汰されておりました。

 

一見サブリースは空室が出ても安定して賃料がはいってくるため良いイメージがあるかと思います。

しかし10年間家賃が変わらないと書いてあったのに、家賃減額の話がきた、といったお話もあります。

 

30年間賃料を変わらず保証をしますといった会社もありますが、新築時から30年間賃料が変わらないということはありません

築年数が経つにつれて少しずつ賃料は下がっていきます。

 

賃料が変わらないというからローンを組んでアパートを建てたのに、賃料が減ってしまうとローンの返済ができないといって訴訟になっているケースもあります。

 

決してサブリースが悪いということではないのですが、サブリース契約をする際にはしっかりと話を聞き、また契約内容をきちんと確認することをおすすめします。

 

 

今後の土地活用について

 

現在新型コロナウイルスによる感染者数は減ってきているものの、経済へ与える影響は大きく、2008年9月に発生したリーマン・ショック以上との話も出てきております。

今後かつてないスピードで世界や国内の景気が悪化していくことも予想されます。

 

事務所や飲食店などの店舗物件ではテナントからの賃料減額や免除の要請、また閉店やテレワークによる事務所の縮小等、テナントの退去が出た場合、新たなテナントの入居が難しくなることも考えられます。

 

住宅系の賃貸も今後賃料減額要請が増えてくると考えられ、賃貸不動産の経営が厳しくなってくる可能性があります。

しかしながら、高齢者施設や物流関係等、需要のある業種もあり、近視眼的にならず様々な視点から土地活用の検討をすることができるかと思います。

 

このような状況だからこそ土地活用を失敗しないよう長期的な活用方法を検討することが重要ではないでしょうか?

 

さいたま相続相談センターでは土地活用のご相談や、セカンドオピニオンも行っておりますので、どうぞお気軽にご連絡下さい。