皆さんこんにちは。相続コンサルタント・行政書士の稲垣です。

相続税対策や資産運用として土地活用や、収益不動産の購入を検討される方は多くいらっしゃると思います。また、その際は金融機関の融資を利用するケースが多いかと思います。

私は過去に信用金庫に10年以上勤務していた経験があり、以前の記事(相続対策として収益物件を建築する際に、金融機関との対応で重要な3つのポイント【相続コラム】)において、金融機関の選び方を中心にお話させていただきました。

今回は融資の条件や組み方について3つのポイントをお話したいと思います。

① 変動金利か固定金利か

まず気になるのが変動金利を選ぶか、固定金利を選ぶかという点です。
簡単にそれぞれの内容とメリット、デメリットについて解説をさせていただきます。

変動金利

変動金利はその時の政策金利に応じて金利が変わる商品です。

一般的には4月と10月の年2回見直しをする金融機関が多くなっています。返済額については借主保護の観点から5年に一度、現状の返済額の125%までしか増額できないケースが多く、125%を超過した分の利息については最終期日に一括返済するという方法が一般的になっています。

メリット

初回の金利が固定金利より低く設定されていることです。昨今は日銀の政策の影響で金利を引き上げる金融機関も出てきていますが、依然として固定金利より低く設定されています。

デメリット

短期金利が上昇すると固定金利でローンを組んだ場合よりも支払い利息が多くなる可能性があることです。

固定金利

固定金利は、最初に決めた金利が、変わらない商品であり、厳密に言うと5年、10年等の指定した期間のみ金利が固定される固定再選択型と、借入期間中金利が変わらない全期間固定型があります。

メリット

返済額や利息の支払い分が確定し、資金計画を立てやすくなることです。また将来インフレにより金利が上昇しても、返済額の増加を防ぐことができます。

デメリット

変動金利に比べ、金利が高く設定されていることです。仮に将来政策金利が下がった場合においても、返済額と支払い利息は変わりません。

変動金利と固定金利どちらを選ぶのが正しいのかというのは結果論であり、明言することができないのですが、現在は金利が低いこともあり、変動金利を選ぶ方が圧倒的に多くなっています。

金利が上昇し始めた現在においても、変動金利と固定金利の差を埋めるような上昇は考えにくいとされており、仮に変動の利率が固定の利率に追いつくことがあったとしても、その頃はローン残高も減っているだろうと考え、変動金利を選ばれる方が多いようです。

しかし、変動金利は常に「金利と返済額が変動するというリスク」を内包している状況であり、これにどうしても心理的なストレスを感じてしまうという方は固定を選ばれた方が安心してアパート経営ができるかと思います。

② 融資率

次に検討したいのが、融資率です。融資率とは、事業資金全体における借入金の比率であり、言い換えればどれだけ自己資金を出すことができるかということになります。

金融機関側の視点からすると、頭金は多ければ多いほど融資は出しやすくなり、最低1割は頭金が必要だと言われるケースもありますが、実際はフルローン(頭金なし)で融資をするケースもあります。

例えば、土地活用において、すでに土地を所有しており、そこに建物を建てるというケースの場合は頭金を求められないケースもあります。また本人や家族に潤沢な資産がある方や、すでに不動産投資をしており、そちらが成果を出せている方もフルローンが通りやすいと思われます。

頭金が少なければ、思わぬ修繕費用が発生した時に備え、自己資金を手元に残すことができ、空室ができたときや、家賃を長期間滞納する入居者がいたとしても、自己資金を毎月の返済に充当することで資金繰りに余裕を持たせることができます。

しかし、借入が多くなるということは、支払い利息が増え、毎月の返済額も多くなることになります。特に変動金利で借り入れをした場合は、金利の上昇に伴い支払い利息も多くなるので注意が必要です。

また、借り入れが多くなると、返済期間も長期になる可能性がある為、建物の減価償却期間を過ぎてもローンの返済期間が残っている状況になる可能性があります。そうなると融資の元本返済はしつつも、減価償却費を経費として計上できない為、帳簿上の所得が増え、それに課される税金も増えて赤字経営になる状況にもなり得る為注意が必要です。

③ 団体信用生命保険に加入するかどうか

団体信用生命保険とは、本人が死亡したときに保険金によってローンの残債を全額返済できる生命保険のことです。自分に万が一のことがあっても、遺族にローン返済負担を負わせることがないのは大きなメリットになります。その為不動産投資を検討する際に、不動産投資に対して家族の賛成も得やすくなります。

しかし、相続税対策として不動産を購入する場合は注意が必要です。

相続税対策としてアパート経営をする場合はあえてローンを残すことにより、相続財産からローンが債務として控除され、相続財産を圧縮する効果があります。その為相続税対策としてアパート経営を行うのであれば、あえて団体信用生命保険には加入しないことがポイントになります。

まとめ

今回は、土地活用や不動産購入にかかる融資のポイントを3つお話させていただきました。

アパート経営を始める際は、物件やハウスメーカーの選定から、金融機関の選定、融資条件の選定等多くの検討事項があり、初めて不動産経営をする方にはかなりハードルが高いかと思います。

当社では物件やハウスメーカー、金融機関の選定についてお客様の状況やご意向をお聞きし、中立的な立場でアドバイスをさせていただいております。是非一度ご相談ください。