最近「身体が思うように動かない」「気持ちが沈みがちだ」ということはありませんか?
もしかしたらそれは「フレイル」かもしれません。
フレイルとは加齢により身体的、精神的な機能が低下し、社会的なつながりが薄れている状態です。
本記事では、フレイルとは何か、フレイルを予防・改善するためにどんな努力をすれば良いかわかりやすく解説します。ぜひご一読ください。
長寿大国日本の課題は健康寿命を延ばすこと
令和4年の平均寿命は、男性が81.05歳であり、女性は87.09歳でした。
参考:“令和4年簡易生命表”厚生労働省ウェブサイト(参照:2023.10.12)
世界の男女合わせた平均寿命が最も長い国は日本とされています。
このように長寿大国として有名な日本ですが、令和元年の平均寿命と健康寿命の差は男性が8.73年、女性が12.06年となっていて、平均寿命と健康寿命で約10年近くの差が生じています。つまりこの統計では、人生の後半で介護を必要とする生活が何年も続くことを示しています。
参考:“健康寿命の令和元年値について”厚生労働省ウェブサイト(参照:2023.10.12)
健康寿命を延ばすことが課題となっている日本では「フレイル」というキーワードが注目を集めています。
フレイルとは加齢により心と身体の働きが低下し、社会的なつながりが希薄になった状態です。
フレイルを予防することが、健康寿命を延ばす大きな一歩となるでしょう。
フレイルとは
フレイルとは簡単に説明すると「健康と要介護の中間の状態」です。
加齢により身体的、精神的な機能が低下し、社会的なつながりが薄れている状態をフレイルといいます。
「虚弱」や「老衰」を意味する英単語の「Frailty」がフレイルの語源となっています。
フレイルは進行すると要介護状態となり、やがて死に至ります。
フレイルになったとしても、適切な対応をとれば、衰えの進行を遅らせることや、さらには元の健康な状態に戻ることができるのです。
フレイルの種類3つ
フレイルには大きく分けて3種類があります。この3種類のフレイルが連鎖していくことで、自立した生活を送る力の低下が急速に進みます。
老いるということは決して身体の問題だけではなく、身体的・精神的・社会的な問題が複雑に絡み合っているのです。
それでは、フレイルの3種類について詳しく解説します。
1.身体的フレイル
身体的フレイルとは運動機能の低下や、筋肉が衰えることをさします。
高齢期になると筋肉は自然と低下していきます。
また、身体的フレイルの中にはオーラルフレイルも含まれています。
オーラルフレイルとは加齢に伴い、硬いものが食べにくくなることや、飲み物でむせるなど口の働きが低下することをさします。
2.精神的フレイル
高齢者になり、定年退職や、配偶者を失ったりすることで引き起こされるうつ病や軽度の認知症の状態のことを精神的フレイルといいます。
3.社会的フレイル
社会的フレイルとは加齢に伴って社会とのつながりが薄くなることで生じる孤独や経済的困窮の状態をいいます。
フレイルとサルコペニアの違い
フレイルの中でも近年注目されているのが、「サルコペニア」です。
サルコペニアとは、年齢とともに筋肉量が減っていく現象です。
フレイルはサルコペニアよりも広い範囲を含む概念で使われています。具体的には以下のとおりです。
サルコペニア:加齢にともない筋肉量が減少していくこと
フレイル :加齢に伴い身体的・精神的・社会的能力が低下していくこと
高齢者の中には以下のような状態の方をよく見ますが、これはサルコペニアによる筋肉の衰えが原因です。
・前かがみの姿勢
・ゆっくりとした歩き方
フレイルのセルフチェック
「自分はフレイルなのだろうか」と心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。厚生労働省では、ご自身がフレイルなのかを判断するためのチェックリストを公表しています。ぜひチェックしてみてください。
すべての回答が青色の状態になるよう、定期的にチェックすることをおすすめします。
出典:“食べて元気にフレイル予防”厚生労働省ウェブサイト(参照:2023.10.12)
フレイルの予防と改善ポイントをご紹介
要介護状態になると、元の状態に戻すことはとても難しいですが、フレイルであれば元の状態に戻せる可能性があります。
フレイルの予防・改善を目指す方は、次のことに取り組みましょう。
1.運動をしよう
フレイルを予防するには運動が効果的です。
しかし、普段運動していない方がいきなり無理な運動をしてはいけません。転んでしまったり、身体に痛みなどが出てしまうことがあるため、自分に合った運動を習慣づけましょう。
日常の買い物を少し遠くのスーパーまで歩いていく、散歩をするなど日常生活にプラスアルファで運動を取り入れていくことをおすすめします。
高齢の方は1日約5,000歩を目安にウォーキングし、座りがちな生活にならないように気を付けることでフレイルを予防・改善できますので、ぜひ試してみてください。
2.食生活・口内環境に気を付けよう
フレイルの予防と改善には、バランスの取れた食事を三食きちんと取ることが大切です。
特に筋肉をつくるたんぱく質を十分に取りましょう。先述した運動とともに、たんぱく質を積極的に摂取することで、筋肉量をアップさせることが出来ます。
また、お口の健康で次のような気になることはありませんか。
・かたいものが食べにくくなった
・飲み物を飲みときにむせやすくなった
・食べこぼしが増えた
・歯が抜けたままになっている
・口の乾きが気になる
このような症状があると、オーラルフレイルの可能性があります。
オーラルフレイルの予防には、毎食後の正しい歯磨きや定期的な歯科検診、お口をしっかり動かすことなどを心がけましょう。
3.社会とのつながりをもとう
社会的なつながりを持っている方の方が、健康寿命が長いと言われています。
買い物や散歩など外出する機会はありますか?毎日、誰かと会話をしていますか?
精神的なフレイル予防には、他者との関わりがとても重要です。
新型コロナウイルスの影響で外出を控えていた方も多いと思いますが、少しずつ新型コロナウイルスに関連する制限も緩和され始めてきている今、外に目を向けてみませんか?
家族や知り合いの方と会話する、買い物や散歩に行く、趣味をもつなど、まずは自分ができること、興味があることから始めてみましょう。
まとめ
本記事では、フレイルの種類や、フレイルの予防・改善には、運動・食事・口内ケア・社会参加がポイントとなるとご紹介しました。
人生100年時代といわれています。
できるなら、介護を必要とする期間は短くしたいですよね。
フレイルを知り、予防・改善することで、歳を重ねても自立した生活が送ることができます。
10年後も20年後も笑顔で元気に歩く自分でいるために、今からできることを始めてみましょう。
さいたま幸せ相続相談センターでは、生前整理など終活についてもサポートしております。ぜひお問い合わせください。
執筆:成田春奈