私たちの生活は、デジタルと深く結びついています。SNSアカウントからオンラインバンキング、電子メールに至るまで、デジタル世界には私たちの大切な記録が数多く残されています。しかし、これらのデジタル資産は私たちが亡くなった後、どうなるのでしょうか?

 

この記事では、デジタル資産を放置した場合に起こるデメリットや、デジタル終活の手順について詳しく解説します。SNSアカウントの削除方法についても説明しているため、ぜひご一読ください。

 

デジタル終活とは?

デジタル終活とは、亡くなった後に残されるデジタル資産を適切に管理することをいいます。具体的には、パソコンに保存している動画や画像を整理したり、デジタル上のIDやパスワードをエンディングノートに記録したりといった活動を行います。

 

デジタル資産とは?

デジタル資産とは、主に次のような資産を指します。

・オンラインバンキング

・SNSアカウント

・電子メール

・オンラインストレージサービス など

 

デジタル終活をしないとおこるトラブルとは?

デジタル終活が広まる背景には、次のようなトラブルが近年多く発生しているからです。

 

・スマホのパスワードがわからず、故人の友人に訃報が連絡できない

 

・ネットバンキングやネット証券の存在を、遺族に気づいてもらえない

 

・故人が亡くなってからパソコンのデータを見たら、浮気相手との写真が出てきて遺族が悲しい思いをした

 

・故人のインスタグラムやFacebookを放置していたら、乗っ取られて犯罪に使われてしまった

 

このようなトラブルが起きないためにもしっかりとデジタル終活を行いましょう。

 

デジタル終活の3ステップ

この章では、デジタル終活の進め方について、順を追ってご紹介します。

 

ステップ1 データを整理しよう

不要なデータは削除したり、見られたくないデータを一つのフォルダにまとめたり等、データの整理をしましょう。データを整理すると、パソコンの動きも良くなりますし、秘密にしておきたいメールや画像を、遺品整理の時に見られてしまう可能性が低くなります。見られたくないデータの保存方法は後述します。

 

ステップ2 エンディングノートにデジタル情報を記録しよう

不要なデータを削除した後は、よく利用するサイトのログインIDとパスワードなどをまとめて、エンディングノートに書き写す作業を行いましょう。

具体的には、次の表にある情報をエンディングノートにまとめておくと、遺族の負担が軽減されます。

 

Instagram、XなどのSNSやブログを、死後にどうしてほしいのか希望も記しておきましょう。アカウントを削除してもらいたい場合は、削除方法がわかるウェブページをプリントアウトしておくなど、遺族の負担が少しでも軽くなるような工夫をしましょう。

 

ステップ3 見られたくないデータの保存先を考えよう

家族には見られたくないけど、削除したくないデータがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。このようなケースでは、データを残しながら、家族に見られないように隠す、または、万が一の時に自動的に削除されるようにしておく方法があります。

 

具体的には次のとおりです。
・クラウド上に、見られたくないデータを保存し、保存先のクラウドは遺族には秘密にしておく

・パソコン端末上のごみ箱内にいれて完全削除せずに残しておく

・データを自動的に削除する機能のあるアプリやサービスを利用する

 

クラウド上に見られたくないデータを保存する、パソコンのゴミ箱に残すといった方法は、完全にデータを隠すことはできず、死後に遺族がデータを見つけてしまうかもしれません。完全にデータの削除をしたい場合は、データを自動削除する機能があるアプリやサービスの利用も検討してみましょう。このようなサービスを利用すると、特定の期間が過ぎた後にデータを自動削除するように設定できます。

 

SNSのトラブル回避 アカウント削除方法をご紹介

故人のSNSが放置されると、犯罪に利用されたり荒らされてしまったりとトラブルに発展します。自分が亡くなったら、SNSをどうするか考えて対策を取りましょう。この章では、X、Instagram、Facebookのアカウント削除方法をご紹介します。

 

Xのアカウント削除方法とは?

Xを利用している方が亡くなった場合、権限のある遺産管理人または故人の家族の申し出があった場合に、アカウントの停止をすることができます。
ユーザー削除の申し出をすると身分証明書のコピー、故人の死亡証明書のコピーなどの詳細の提供を求められるため準備しましょう。

参考:“亡くなられたユーザーのアカウントについてのご連絡方法”Xヘルプセンター

 

Instagramのアカウント削除方法とは?

Instagramでは、追悼アカウントへ変更することができます。故人の近親者の場合は、アカウントの削除をリクエストすることも可能です。アカウント削除を希望する場合は、出生証明書、死亡証明書、自分が法的代理人であることを示す法的文書が必要です。詳しくは、以下をご確認ください。

参考:“亡くなった方のInstagramアカウントを報告する”Instagramヘルプセンター

 

 

Facebookのアカウント削除方法とは?

Facebookでは、追悼アカウント管理人を指名してアカウント管理を任せるか、Facebookからアカウントを完全に削除するかのいずれかをあらかじめ選んでおけます。

 

追悼アカウントにするには、自分の死後にアカウントを管理する人を指定する必要があります。

 

参考:“亡くなられた場合にFacebookアカウントがどうなるかについて”Facebookヘルプセンター

 

まとめ

今回は、デジタル終活の手順やSNSアカウント削除方法について詳しくご紹介しました。

デジタル情報を整理しないと、死後に思いもよらないトラブルが発生してしまいます。遺族に悲しい思いをさせないために、デジタル終活をしてみませんか?

 

執筆:成田春奈