こんにちは。
司法書士の石川です。
本日もそうですが、突然の雷雨があるため傘がなかなか手放せませんね。
今回のテーマは、公正証書遺言でも無効になり得る?です。
最近下記のような高等裁判所の判決がありました。
杉原千畝の妻の遺言「有効」 遺産相続で高裁逆転判決<日本経済新聞 2017.6.27>
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG26HFF_X20C17A6CC0000/
記事の内容は、2001年に公証人が作成した遺言(公正証書遺言)が、有効なのか無効なのかが、遺言者の相続人により争われているというものです。
公正証書遺言とは、公証人が本人の意思や希望をもとに作成する遺言であり、公証人は弁護士や裁判官の方が就任することが多いため、法律のプロフェッショナルが作成する遺言が無効になることがあるのかと思われますが、無効になる可能性はゼロではありません。
多くのケースにおいて、遺言の形式やその内容で無効となることはほとんどないと言えます。
ではどの点が争われるのかと、本人の意思に基づいて遺言が作成されたのかどうか、という点です。
そして、上記裁判では遺言作成時に遺言者に意思能力があったのかどうかが争われています。
意思能力を欠いている状態で作成された遺言は無効となりますが、遺言作成時に意思能力が有ったのか無かったのかの判断は非常に難しいものです。本件遺言を作成した公証人は遺言者に意思能力があると判断して作成したものと思われます。
意思能力の有無については、明確な基準がないため難しい問題ではありますが、遺言の効力をめぐって将来争いにならないよう、遺言作成時の医師の診断書を用意する等して意思能力を担保するような証拠を用意しておくような対策が考えられます。