初夏の訪れを告げるホタル。

 

 埼玉県には自然発生のホタルを観賞できるスポットがいくつもありますが、その中でも、今回は癒しの効果が科学的に認められた「森林セラピーロード」としても認定されている「埼玉県自然学習センター」(北本市)をご紹介します。

 埼玉自然学習センターは、約33ha(東京ドーム7個分)の面積に、雑木林・草はら・湿地などが広がり夏のヘイケボタルを始めとした多くの生きものが生息しています。季節ごとの様々な展示やイベントの他、クイズに答えながら自然を学べる施設もあり、専門知識を持った自然学習指導員の方も常駐しているので自然や生き物についてとても詳しく教えてくださります。

 

 私達はホタルその物というよりも、ホタルの「光」を観賞しに行くわけですが、さてこのホタル、そもそも何故光るのでしょうか。

ホタルはオスもメスも光りますが、オスは光りながら飛び回ることで存在をアピールし、一方、メスは葉の上で光ってオスに応えます。そして、メスを見つけたオスは葉の上に降りて行きパートナーになるそうです。あの光はオスとメスが出会うためのコミュニケーションツールであり、まさに、光で会話をしているというわけです。 私達人間が、夜中も昼間のように生活できるのは明るい光があるからですが、ホタルにとってはお互いが発光する「光」は私達以上に種の存続にも関わる重要なものだったのですね。

 

 皆さんは「光害」(ひかりがい)という言葉をご存知でしょうか。私はホタル観賞に行ったときに知った言葉なのですが、光害とは、過剰、または不要な人工照明によって生態系を混乱させたり動植物の生育や人間の諸活動に及ぼす影響のことだそうです。 
 SDGsにも「生物の自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止」とありますが、実際、ホタルが発光して飛ぶ時期に外灯などの照明があると交配相手が見つけられにくくなるそうで、ホタルが減ってしまった原因のひとつにもなっているようです。

 各地でホタルを守る活動がされていますが、ホタルの優しい光が少しづつでも戻ってくるといいな、と思います。

 

 

埼玉自然学習センター  https://saitama-shizen.info/

北本森林セラピー  http://kitamoto-forest-therapy.com/