生活上でデジタルに触れることは、もはや世代を問わず当たり前になってきましたね。

デジタル化がこれだけ浸透している現在、相続においても「デジタル遺品」が登場することは避けられず、先月には政府が「デジタル遺言」制度の創設を目指すと発表したことも記憶に新しいかと思います。

 

デジタル化は日進月歩のため、デジタル遺品の種類も今後ますます増えていくと思われますが、だからこそ今のうちにその基本を押さえておくことが大切になってきます。

 

ここではおもにデジタル遺品の基礎からはじめ、その探し方や対処法について触れていきます。

 

デジタル遺品 カタチがあるものと無形のもの

デジタルというだけで存在が見えないため、対処法がわからず不安を抱きやすいかもしれませんが、従来の遺品の延長で捉えていくと理解しやすいです。

 

まず、デジタル遺品には「カタチがあるもの」と「カタチがないもの」があります。

「カタチがあるもの」は一般的な遺品と同じで、故人が所有していたパソコンやスマホなどのデジタル機器を指します。

 

「カタチがないもの」は、所有していたデジタル機器の中身として存在しているか、またはインターネット越しでのサービス(クラウド)上に存在しているかで2つに分かれることになります。

 

デジタル機器に入っている中身は、故人が残したスマホやパソコンといった「物」を介しているため把握しやすいのですが、故人が生前にインターネット上でのサービス(クラウド)を使用していた場合は、そのサービス上に残っているファイルや履歴などのオンラインデータ、アカウントなどもデジタル遺品になるので少し注意が必要です。

 

これらインターネットのサービス上にある「無形のデジタル遺品」は、まずはその存在を探すことからはじめなくてはいけません。

 

デジタル遺品の探し方

物として残るデジタル機器は他の遺品と同じように探しやすいので、まずは目に見えるデジタル遺品の把握からはじめることをオススメします。

 

デジタル遺品はリスト化が大事

故人が残したデジタル機器を洗い出し、リストにしてみましょう。

次に、それぞれのデジタル機器にログインできるかどうかを試し、紙に書き出してみます。アナログなやり方ですが、これが一番手っ取り早くデジタル遺品を把握する近道です。

 

(例1)

カタチがないものは優先順位をつけよう

カタチがあるデジタル遺品を洗い出し、それぞれにログインをして中身の確認ができる状態になったら、次はその中身をリスト化していきます。

 

パソコンやスマホなどのデジタル機器に保存されているものは、その機器にログインできれば中身にもたどり着きますが、故人が定額制のサブスクリプションのようなWebサービスを利用していた場合は、そのサービスの故人アカウントにログインをする必要がでてきます。

 

契約したままであれば、月額料金が発生してしまうので解約しなくてはいけませんし、そのWebサービス上に大事なデータや相続に関係する情報がある可能性もありますからね。

 

インターネット上で利用していたWebサービスを探す方法は、メールの送受信やパソコンであればインターネットエクスプローラーの「お気に入り」を開くといった方法があります。スマホならばアプリが残っているので見つけやすいです。そこに痕跡が残っていれば、簡単にアカウントにログインできることが多いでしょう。

 

分かる範囲でデジタル遺品を書き出してみたら、それぞれに対処すべき優先順位をつけていくことをオススメします。「カタチがない」デジタル遺品は、オンライン上とオフラインで別々に把握しておくことで、優先順位をつけやすくなります。

 

たとえば、(例2)の「B無形のものリスト」にある銀行や保険、○○Payなどの金銭的なデジタル遺品は、相続にも関わってくるので、早めに内容を把握しておきたいものになります。 

リストアップができたら、各デジタル遺品の対処のチェックを進めていきます。そうすることで、どこまで進んで何が手つかずになっているのかも把握していきやすくなります。

(例2)

                                                                     

デジタル遺品でやってはいけないこと

デジタル遺品のなかで一番困るのが、故人が残したスマホやパソコンはあるのにログインできず、その中にある大事な情報にたどり着けないといった状況になるでしょうか。

 

そんなときについやってしまいがちなミスがあるので、それぞれについて解説していきます。

 

禁止事項① デジタル機器の放置と破棄

 

スマホやパソコンにログインできないため、破棄したり、そのまま放置して、どこに置いたか分からなくなってしまうことは避けたいものです。なぜなら、その後ひょんなところからログイン情報が見つかる可能性がゼロではないからです。ログインできるかどうか試してみたくても、デジタル機器がないと後の祭りになってしまいます。

 

デジタル遺品に関しては、デジタル機器へのログインやサインインができないからといって、すぐにあきらめてしまわないことがポイントです。

 

禁止事項② スマホの闇雲なロック解除

 

スマホにロックがかかっているがパスコードが分からず、思い当たるものを何回も試してロック解除を試みる―。しかし、それが思わぬ落とし穴になってしまうことが少なくありません。

 

なぜなら、スマホは一定回数のロック解除に失敗すると、ロックの解除ができなくなったり、スマホの中身が初期化されてしまう場合があるからです。

 

とくにスマホ決済を利用していた場合は、スマホが初期化されてしまうとログイン情報が消えてしまうので、その残高がどれだけ残っているかも確認しようがなく、取り戻すことが不可能になってしまいます。

 

ロック解除はプライバシーに関わることから、スマホメーカーや通信キャリアも対応できないため、初期化だけは避けたいものです。この場合も「禁止事項①」のように、何らかのタイミングでパスコードが見つかったり、思いついたときのために、むやみやたらにロック解除を試みないことが重要になります。

 

iPhoneとアンドロイドでは、ロック解除のパスコードを間違えて入力できる最大数が違うので、前もってその回数を把握しておくことも重要です。

 

禁止事項③ 調査途中での通信契約の解約

 

デジタル機器の中身を調査中の段階で、スマホの契約やオンラインサービスなどを解約してしまわないようにしましょう。契約している以上、利用料金は発生しますが、契約していないとサービスを確認することができなくなってしまうので、必要な情報やデータを取得できるまでは契約しておく必要があります。

 

デジタル遺品にはアナログの対処法を残しておく

 

デジタル遺品のやっかいなところは、本人以外がパスワードなどの重要な情報を知らないといったことが起こりがちなことです。とくにスマホ決済など、便利なサービスが生まれてきている割には、その対策ができている人は圧倒的に少ないのが現状でしょう。

 

デジタル遺品の対策として重要なことは、大事なログイン情報はアナログで残しておくことになります。そして、その保管場所が分かるように家族に伝えておくことも大事ですね。

 

終活の一環の生前整理としても、現時点で自身のデジタル遺品となりうるものを把握しておくことはオススメです。その段階で、どれとどれのログイン情報が共通しているかも分かるので、今一度その整理をしておくことが対策の第一歩となるはずです。          

 

執筆 砂田嘉寿子