今回はご好評いただいている終活をテーマとして
より深掘りした内容をお届けします。
ご興味のある方はこちらの記事もご覧ください。
【終活ってなに?】やることリストを公開 終活のポイントをわかりやすく解説
終活の目的は
「過去とこれからの自分と向き合い、残りの人生を充実させること」
です。
終活をおこなう上で「老後どこで暮らしたいか」については
しっかりと考えていただくことをおすすめします。
「家族に迷惑をかけたくない」と老人ホームで暮らす選択をする方もいれば、
できる限り住み慣れた自宅で過ごしたいという方もいるでしょう。
政府は高齢の方を地域ぐるみで支えるためのサービスを推進しています。
これを「地域包括ケアシステム」といいます。
地域包括ケアシステムにより、
高齢の方が住み慣れた地域で
自分らしい生活ができるよう地域内で助け合う体制が整備されました。
そして、老後の生活を住み慣れた自宅で送りたい方には、
ぜひ知っていただきたい機関があります。
それは「地域包括支援センター」です。
地域包括ケアシステムを推進していくうえで
設置された「地域包括支援センター」ですが、
どのような役割があるのか、どのような相談ができるかなど、
わかりやすく解説します。
地域包括支援センターとは
地域包括支援センターとは、
わかりやすくいうと「地域で暮らす高齢の方の相談窓口」です。
高齢になっても住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、
介護や高齢の方の生活全般について相談できます。
各市町村に設置されているので、
ご自身の管轄の地域包括支援センターを調べてみましょう。
地域包括支援センターには以下の特徴があります。
・無料で相談できる
・介護について相談できる
・要介護認定、要支援認定の申請方法について教えてもらえる
・介護保険サービスの利用の説明をしてもらえる
・成年後見制度についての相談受付
・高齢の方が楽しめる地域のイベントやサークルの紹介
・高齢の方の生活の悩みを相談できる
・地域によって呼び名が異なる
(「シニアサポートセンター」などと称している自治体もあるため、
市町村のウェブサイトで確認してみましょう。)
地域包括支援センターの4つの役割
地域包括支援センターには大きく分けて以下の4つの役割があります。
1.総合相談支援
2.介護予防ケアマネジメント
3.高齢の方の権利を守る
4.包括的、継続的ケアマネジメント支援
一つずつ詳しく解説していきます。
1.総合相談支援
地域包括支援センターは、高齢の方が暮らしの中で困っていることに対して、総合的に相談できる場所です。本人だけでなく、高齢の方のご家族も相談することができます。
例えば、以下のような悩みを相談することができます。
・在宅介護の悩み
・高齢の方の健康づくり(地域の介護予防イベントなどの紹介)
・医療、金銭管理
・日常生活の不安など
2.介護予防ケアマネジメント
地域包括支援センターでは、介護予防といって介護状態になるのを防ぐサポートをしています。
例えば、介護になる前の「支援が必要な段階(要支援1,2)」になると
「介護予防ケアプラン」の作成支援をしてくれます。
3.高齢の方の権利を守る
地域包括支援センターでは高齢の方の持つ様々な権利を守る活動をしています。
具体的には以下の業務をおこなっています。
・高齢の方への虐待の防止
・詐欺や悪徳商法などの消費者被害の相談
・成年後見人制度の手続き支援
4.包括的、継続的ケアマネジメント支援
地域包括支援センターに所属している主任ケアマネージャーが、
地域のケアマネージャーのサポート・指導業務をおこなっています。
具体的には以下のようなサポートすることで、地域の高齢の方へ質の高いサービスを提供しています。
・ケアマネージャーを対象とした研修会を実施
・ケアマネージャーのネットワークづくりの支援 など
地域包括支援センターを利用できる方
地域包括支援センターを利用できるのは以下の方です。
・65歳以上の高齢者、またはその家族
公立中学校の学区と同じ規模で設置されているため、
ご自身の管轄の地域包括支援センターを調べてみましょう。
地域包括支援センターで相談できる専門スタッフ
地域包括支援センターでは、専門スタッフが在籍しています。
・主任ケアマネージャー
主任ケアマネージャーには地域のケアマネージャーをサポート・指導する役割があります。
老人ホームやデイケアサービスの利用の相談もおこなうことができます。
・社会福祉士
福祉制度のプロフェッショナルであり、
高齢により日常生活に支障がある方の福祉に関する相談に乗っています。
相談内容を把握し、ディサービスや医療機関との調整をおこないます。
・看護師、保健師
高齢の方の体調面の相談に乗っています。
医療機関や関連機関への紹介等もおこなっています。
地域包括支援センターに相談できること
実際に地域包括支援センターで相談できる内容について、事例を解説します。
以下のような内容の相談をすることができます。
また、具体的に支援してもらいたいサービスがわかっていなくても、
困っていることを伝えると解決策を教えてもらえるため、
高齢の方が生活するうえで困っていることがあれば、
まずは地域包括支援センターに相談してみましょう。
【相談内容①】
・怪我をして家事が一人でできなくなった、介護について相談したい
【解決策①】
・ディサービスの紹介、介護保険についての案内
【相談内容②】
・身体が不自由でゴミ出しに苦労している
【解決策②】
・玄関先までごみ収集に来てくれるサービスの提案・調整
【相談内容③】
・近所に高齢の方が家族と暮らしているが、
怒鳴り声が聞こえていて虐待されているような気がする
【解決策③】
・相談員が該当する家を訪問し、介護サービスや老人ホームの提案
まとめ
地域包括支援センターは、地域で生活している高齢の方の相談窓口です。
介護が必要となってから相談する方も多いですが、
介護が必要となる前に地域包括支援センターに行ってみることをおすすめします。
なぜなら地域包括支援センターの担当者との相性があるため、
介護が必要など時間的・精神的に余裕がない状況で、
担当者に自分の求める対応をしてもらえないと、
地域包括支援センターを利用することが嫌になってしまうからです。
まだ元気なうちに地域包括支援センターと接点を持っておくことで、
介護や認知症の相談などいざという時に、
ご自身のことをよくわかってくれている担当者がいれば、
納得できる提案をしてもらえる可能性が高まります。
また、「介護予防の体操」や「高齢の方同士の交流会」など
イベントやサークルの案内もしてくれるため、
老後の趣味や健康な身体づくりにもつながります。
終活を進めていく中で、
「老後はできる限り住み慣れた自宅で過ごしたい」と思った方は、
まだ元気なうちに地域包括支援センターへ訪れてみてはいかがでしょうか。
執筆者 成田春奈