2012年のユーキャン新語・流行語大賞のトップテンに選ばれたことのある「終活」という言葉ですが、具体的に何をするかご存知でしょうか。
終活でやることを5つにしぼり、わかりやすくまとめたので、終活を始めるきっかけにしていただけるとうれしいです。
終活とは
終活とは「人生の終わりのための活動」の略語であり、自分の望む最後を迎えられるように準備することをいいます。
終活を通して人生を振り返ることで、新たな趣味を見つけるきっかけにもなります。
またお金の整理をすることで、老後の不安を解消し、残りの人生を自分らしく生きることにもつながります。
自身の過去と未来に向き合って、前向きに終活に取り組みましょう。
終活はいつから始めるか
終活はいつから始めるのが良いでしょうか。
身近な人が亡くなったタイミングや、定年退職をきっかけに終活を始める方もいます。終活を始める年齢は人それぞれですが、本記事ではまだ若くて元気なうちに終活をすることをおすすめします。
理由は以下のとおりです。
・認知症になってしまったら決められないことが増える
・足腰が悪くなると、不用品の整理をすることが大変になる
終活をスタートする年齢に決まりはないため、自分にあったタイミングで、少しずつ始めてみましょう。
終活 5つのやることリスト
終活のやることリストを紹介します。
終活に決まりはありませんが、基本的には以下の5つを行うことをおすすめします。
1.不用品を整理しよう
2.エンディングノートをつくろう
3.医療・介護について考えよう
4.葬儀について考えよう
5.資産について考えよう
それでは、一つずつわかりやすく説明していきます。
1.不用品を整理しよう
まずは、家の中のいらないものを整理することから始めましょう。
価値がないと思っていたものが、高値で売れることもあるので、不用品はリサイクルショップやメルカリで販売してみましょう。
不用品の販売で得たお金で、今後の人生で必要なものを買うことができたり、物を売る経験をすることで、趣味のハンドメイド作品を販売してみたり、新たな生きがいを見つけることができるかもしれません。
また、パソコンやスマートフォンの中身を確認し、いらないデータを削除する「デジタル終活」にも積極的に取り組みましょう。
データを整理すると、パソコンの動きも良くなりますし、秘密にしておきたいメールや画像を、遺品整理の時に見られてしまうことがなくなります。
いらないデータを整理した後は、よく利用するサイトのログインIDとパスワードをまとめて、エンディングノートに書きうつす作業も行いましょう。
2.エンディングノートをつくろう
エンディングノート(別名:終活ノート)は自分が亡くなったときに、残された家族への負担が少しでも軽くなるように、重要な情報を記載するノートのことです。
遺言書と違って、エンディングノートに法的効力はないため、必要があればエンディングノートと合わせて、遺言書も残しておきましょう。
介護や延命治療をどうするか、遺品の処分など大きな決断をする場面で、エンディングノートのような判断材料となるものがあると、残された家族の負担を軽減することができます。
また通帳の暗証番号や、知人の連絡先など日常生活に必要な情報を一つのノートにまとめると、物忘れが多くなってきても、エンディングノートを見れば大抵のことがわかるため、老後の生活を快適に暮らす助けにもなるでしょう。
一度にすべての情報を書くことは難しいので、少しずつ時間をかけてエンディングノートを完成させましょう。
エンディングノートに記載する内容
エンディングノートに決まった形式はありません。自分の好きなノートに書き残したり、市販のエンディングノートを活用したりと人によって様々です。
エンディングノートは何を書いても自由ですが、次の項目を満たしておくと、情報不足で困るということはなくなるため、参考にしてみましょう。
自分のこと
・個人情報(氏名、生年月日、現住所、本籍地、家族構成、マイナンバー)
・パソコンなどのID、パスワードのリスト化
・仕事、親戚、友人知人の連絡先のリスト化
医療・介護のこと
・介護や延命治療についての考え
・かかりつけ医やソーシャルワーカーの情報
財産に関すること
・貯金、保険、年金、株、クレジットカードなどの財産情報のリスト化
葬儀とお墓のこと
・希望の葬儀方法や規模
・葬儀業者や戒名について
・訃報の連絡をする人のリスト化
・お墓をどうするか決める
・遺影写真を決める
相続のこと
・遺言書がある場合は保管場所を記載しておく
残された家族へメッセージ
・大切な家族や知人に感謝の気持ちやメッセージを残しておく
3.医療・介護について考えよう
医療や介護についての考えを元気なうちに家族に伝えておかないと、以下の問題が発生します。
・いきなり倒れてしまった場合、延命治療をどうするか決断する家族に負担がかかる
・介護が必要になったときに、認知機能が低下していて自分で決めることができない
延命治療や介護の希望を考えて、元気なうちに家族に伝えておきましょう。
また同居している長男には延命治療の希望について伝えていたが、遠方で暮らす長女には伝えていなかった場合、治療方針に納得できない長女が、長男を責めてしまうケースもあります。トラブル回避のために、医療・介護について考えたら、エンディングノートに書き残し、さらに反対しそうな親族には自分で説明しておきましょう。
4.葬儀・お墓について考えよう
自身が亡くなった後の葬儀やお墓について考えておきましょう。
そして、希望の葬儀屋や戒名などがあればエンディングノートに書き残しておきましょう。
しかし、特に希望がなければ無理に決める必要はありません。
希望がないということだけでも残しておくと、遺族の負担を軽減できます。
5.資産について考えよう
以下の財産について、整理しておきましょう。
・預貯金(金融機関名、支店名、口座番号)
・クレジットカード(カード会社名)
・不動産(自宅など)
・車
・保険(保険会社名、保険証券)
・投資証券(株式、投資信託など)
・年金
・貴金属・骨董品
・債権・債務
自分の財産を整理しておくと、相続について考えやすくなります。
特に注意しておきたいものは、保険と投資証券です。
保険や投資をしていても、残された家族がその存在を知らなければ、相続することができません。
財産の整理をしたら、エンディングノートにまとめておきましょう。
遺言書を残しておく
財産の整理をしたら、相続トラブルを回避するために、遺言書を残しておくことをお勧めします。
遺言書の書き方についてはこちらの記事をご参照ください。
まとめ
エンディングノートは残された家族が困らないために作成するものなので、自分の希望を押しつけるような書き方をすると、叶えられなかったときに、残された家族が苦しむことになります。
すべてをしっかり決める必要はなく、これだけは譲れないということを家族や身近な人と相談しながら決めていくとよいでしょう。
すべてが叶えられなくても構わないと一言書いておくと、遺族の負担も軽減されます。
自分が亡くなるのは、まだ遠い先の未来だと思っていませんか。
そんなまだ遠い先の未来だと思っている今から、少しずつ準備しておくことが大切です。
残りの人生を充実させるためにも、過去とこれからの自分と向き合う終活をはじめてみませんか?
執筆:成田 春奈