~本記事は2023年1月17日現在の情報を元に執筆しています。~

 

2022年12月23日に政府・与党が2023年度税制改正大綱を発表しました。

政府は今回の相続税および贈与税の改正で、

より早く若い世代へ財産引き渡し、経済の活性化を狙っています。

 

さっそく、今回の改正におけるポイントを確認しましょう。

大きく分けて以下の3点が重要です。

 

  • 1.暦年課税は3年以内加算から7年以内加算へ変更

生前贈与加算が、3年から7年に延長されました。

実際に適用されるのは、2024年1月1日以降の贈与からです。

 

  • 2.相続時精算課税制度に110万円の非課税枠が新設

相続時精算課税とは、2500万円までの贈与の場合、

贈与税がかからないものとし、相続のタイミングで過去に贈与した分も相続財産として合算し、

相続税を計算する制度です。

 

これまでは少額の贈与でもすべて申告しなければいけませんでした。

しかし今回の改正で、2,500万円とは別に毎年110万円までは贈与を受けても、

相続時に申告しなくても良くなります。

 

  • 3.教育資金一括贈与の特例は3年延長、結婚子育て資金一括贈与の特例は2年延長

教育資金1,500万円まで非課税の特例は、期限が2023年3月31日でしたが、

今回の改正で3年延長となり2026年3月31日までとなる方針です。

結婚子育て資金1,000万円まで非課税の特例は、

期限が2023年3月31日でしたが今回の改正で2年延長し、2025年3月31日までとなる方針です。

 

本記事では「暦年課税」や「相続時精算課税制度」など

よくわからないという方に向けて、一つずつわかりやすく解説していきます。

 

そもそも相続税・贈与税とは

相続税とは、亡くなった親などから、

財産(不動産や現金など)を受け継いだ場合に、その受け取った財産にかかる税率です。

一方、贈与税は親などが生きている間、

贈与により財産を取得した場合に、その取得した財産にかかる税率です。

 

贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」がある

贈与税には暦年課税と相続時精算課税があり、贈与を受けた方が贈与をした方ごとに選択できます。

例えば、父と母からそれぞれ贈与を受けた子どもがいるとします。

その子どもは、父からの贈与は暦年課税を選択し、

母からの贈与は相続時精算課税を選択することができます。

 

暦年課税とは

暦年課税とは1月1日~12月31日の1年間に受けた贈与の額に対して、贈与税が課される制度です。

なお、暦年課税制度を利用して生前贈与をおこなうことを「暦年贈与」といいます。

 

生前に贈与を受けた財産は、毎年110万円までは贈与税がかかりません。

しかし、亡くなる前3年(※)以内に贈与した財産分については、

無効となり相続税がかかる仕組みになっています。

※今回の改正で、この3年という期間が7年に変わり、2024年1月1日からの贈与に適用されます。

 

改正後の注意点は、以下のとおりです。

・亡くなってから3年以内の贈与金額については、すべて相続財産に加算される

・亡くなってから4年~7年以内の贈与額については贈与額から100万円を控除した額が相続財産に加算される

 

孫は暦年課税の7年以内加算の適用対象者にならない

暦年課税の7年以内のもち戻しルール

(亡くなる前7年以内に贈与した財産分については無効となり、相続税がかかる仕組み)は、

相続または遺贈により財産を取得した人のみに適用されます。

 

つまり、親から生前に贈与を受けた子どもには、暦年課税のもち戻しルールが適用されます。

孫は通常法定相続人とはならないため、暦年課税のもち戻しは適用されません。

 

子どもの配偶者も7年以内加算の対象にはなりませんが、

子どもと子どもの配偶者が離婚すると、

すでに贈与した分は子どもの配偶者の財産になってしまうため、暦年贈与は孫に対しておこなう方が多いです。

 

暦年贈与をおこなう上での注意点

・「孫に財産を贈与する」と書いた遺言書を残した場合、孫も7年以内加算の対象になる

・生命保険の受取人を孫にした場合、孫も7年以内加算の対象になる

 

相続時精算課税とは

相続時精算課税とは2500万円までの贈与の場合、贈与税がかからないものとし、

相続のタイミングで過去に贈与した分も相続財産として合算し、相続税を計算する制度です。

 

相続時精算課税の特徴は以下のとおりです。

・2,500万円までは贈与税がかからない

・2,500万円を超えた分は一律20%の贈与税がかかる

・相続のタイミングで、すでに支払った贈与税がある場合は相続税から控除できる

・改正後は、毎年110万円までは贈与を受けても相続時に申告しなくても良くなる

 

相続時精算課税の注意点は以下のとおりです。

・相続時精算課税制度を選択すると、暦年課税制度に戻すことができない。

・年齢制限がある(60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫に対して贈与する)

 

基礎控除額(非課税ライン)を確認しましょう

財産が一定額以下なら相続税を払わなくてよいことになっており、これを基礎控除額といいます。

基礎控除額(非課税ライン)の計算方法は以下のとおりです。

 

3,000万円  +  法定相続人  ×  600万円

 

【具体例】

相続人が子ども3名の場合

3,000万円+3名×600万円=4,800万円は基礎控除

つまり、相続人が子ども3名の場合は遺産が4,800万円までの場合、相続税はかかりません。

 

相続税はいくらかかるのか計算してみましょう

相続税の計算方法は以下のとおりです。

 

財産(現金、不動産など)  ー  負債(借金)  =  純資産 

 

 純資産  ×  相続税率  =  相続税 

 

【具体例】

財産1億円、負債1,000万円の場合

1億円-1,000万円=9,000万円(純資産)

9,000万円×相続税率=相続税

 

相続税の計算方法について詳しく知りたい方はこちらを合わせてご覧ください。

相続税の仕組みを知ろう | さいたま幸せ相続相談センター (saitama-shiawasesouzoku.jp)

 

相続税の配偶者控除

相続税の配偶者控除を利用すると1億6,000万円までは相続税がかかりません。

非常に大きな節税効果があるため、ぜひ活用しましょう。

 

贈与税はいくらかかるのか計算してみましょう

贈与税は1月1日から12月31日の1年間に110万円を超える財産をもらった場合に

その財産をもらった人に対してかかる税金です。

贈与税の計算方法は以下のとおりです。

 

( その年にもらった財産合計額  -  基礎控除(110万円) )×  税率 =  贈与税
 

贈与税の税率については、国税庁のホームページをご確認ください。

No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁 (nta.go.jp)

出典:” No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)” 国税庁ウェブサイト

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm (参照2023.1.17)

 

改正後の相続税・贈与税対策

  • 1.生前贈与を受ける人を工夫する

暦年贈与の7年以内もち戻しルールの対象者は法定相続人です。

生前贈与する場合は、贈与額110万円までで、

法定相続人に該当しない孫に行うことで、相続税対策になります。

ただし、遺言書で孫に財産を渡す(遺贈)する場合は、

孫も相続税の対象になり暦年贈与7年以内加算が必要となるため注意しましょう。

 

  • 2.2023年に駆け込み贈与する

暦年贈与の7年以内加算が適用になるのは2024年1月からです。

つまり2023年12月31日までの贈与は今までどおり、亡くなってから3年以内の贈与の場合に相続税が発生します。

2023年のうちに生前贈与をおこなうことは、相続税対策としておすすめです。

 

  • 3.教育資金贈与非課税の特例を活用する

30歳未満の子どもおよび孫などに教育資金として贈与する場合、

1500万円までは非課税となる特例があります。

教育資金贈与非課税の特例は、期限が2023年3月31日でしたが、

今回の改正で3年延長となり2026年3月31日までとなる方針です。

ただし、子どもが教育資金を使い終わる前に親が亡くなると、

遺産総額が5億を超えている場合、未使用分はすべて相続財産に加算されるため注意しましょう。

 

  • 4.結婚子育て資金一括贈与非課税特例を活用する

結婚や子育てにかかる資金を親や祖父母から援助してもらう場合、

1000万円までは非課税となる特例があります。

結婚子育て資金一括贈与非課税の特例は、

期限が2023年3月31日でしたが今回の改正で2年延長し、2025年3月31日までとなる方針です。

利用を検討されている方は、2025年3月末までに活用するとよいでしょう。

 

まとめ

相続税対策は最新の情報を取り入れ、現行制度と改正予定の制度を比較しながら、節税対策することをおすすめします。

 

相続税の計算方法について詳しく知りたい方はこちらを合わせてご覧ください。

相続税の仕組みを知ろう | さいたま幸せ相続相談センター (saitama-shiawasesouzoku.jp)

 

 

 

執筆:成田春奈

監修:税理士法人トゥモローズ 髙畑 光伸 税理士

 

 

 

 

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