こんにちは、相続コンサルタントの山中です。
本日はその路線価評価の歴史と不動産鑑定士の関わりをお話ししたいと思います。
路線価は時価?
相続税の申告において基準となるのは、国税庁が決めた財産評価である路線価評価というのはご存じの方も多いと思います。
相続税法では、財産評価は当該財産取得時の時価で評価するとしています。
では、路線価評価は時価でしょうか?
答えは、時価です。
ただし、この路線価による価格は相続税評価においては時価なのですが、不動産鑑定士が考える時価とは異なるものになります。
路線価評価の歴史
路線価は現在地価公示価格の約80%と認識されています。
ただ制定されてからずっと同じ割合であったわけではなく、下のような変遷がありました。
昭和60年頃:公示価格×30~50%程度
平成3年:公示価格×70%程度
平成4年:公示価格×80%程度
これを見て驚かれた方もいるのではないでしょうか。
昭和60年頃であれば不動産を買った瞬間にその不動産の評価が買った金額の30~50%の評価に下がったわけですから、皆さん無理をしてでも土地を買いますよね。
この結果、不動産の価格はどんどん上がっていっていき、日本は未曽有の好景気(バブル)に突入していったのです。
平成4年~5年にかけてバブル崩壊
総量規制により不動産に対する貸金が規制された結果、不動産が買えなくなってしまい、不動産の時価が平成4年から2年間で約3割も下がることになりました。
このような時に路線価は80%まで引き上げられてしまったため、時価と路線価の逆転現象が起きてしまいました。
路線価評価と鑑定士
平成4年までは相続税の評価において不動産鑑定士が登場することはほとんどなかったそうです(国税庁の財産基本通達※すら知らない方も多かったそうです)。
※財産基本通達:国税庁が財産評価示した価額の計算方法を示した、多種多様な財産の評価を行うための基準
となるもの。
迅速性簡便性のため制定したもので、評価通達によって評価したものが時価であるとして、
執行時の内部規範としている。
国税庁が路線ごとに定める路線価を基準とすることになっている。
ところが、この平成4年に今後の不動産鑑定士と相続税評価との関係性に重大な影響を与える時価と路線価の逆転現象に対する事務連絡が国税庁から出されました。
当該事務連絡によると、相続税路線価評価で算出した価格が適正な時価を大幅に上回る場合(相続税路線価>適正な時価)、必ずしも路線価評価で申告しなくてもよいとされています。
つまり、適正な時価で申告することを認めたことになります。
この事務連絡が出る以前はすべてが通達評価(路線価評価)でした。
この事務連絡以降、時価を適正に証明するために不動産鑑定士の鑑定評価が使用されるようになりました。
ただし、路線価を下回る価額で申告や更正の請求があった場合には、その価額が時価として適切であるかどうか適正な判断を行わなければならないとされていて、これは当然、やみくもに路線価より低い価額を時価として認めるわけではありませんよ、ということになります。
では時価として適切である、妥当であるという根拠を示すためにはどうしたらいいでしょうか。
これは不動産鑑定士の鑑定評価書で示すしかありません。
ですので、この事務連絡が出されたことにより適正な時価を証明するために不動産鑑定士の評価が使用されるようになったのです。
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本コラムが皆様が分かり合える円満な相続を実現するための一助となれば幸いです。
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