こんにちは、不動産コンサルタントの山中です。
今回のテーマは相続不動産の時価評価(分割の場面)についてです。

 

不動産は一物四価

相続における3つの場面「分割・納税・節税」の中の「分割」の場面で、公平な遺産

分割を実現するためには、不動産の時価を基準とした分割を行うことが重要です。

 

不動産の価格は値札がついている訳でもないですし、一物四価または五価※

といわれているとおり様々な捉え方をした価格が存在する訳ですが、現実的に不動産

にはその特性としての個別性のため、一つとして同じものがありませんので、特定の

不動産についてその個性を十分に反映した時価を評価することによって、その不動産

の適正な価格を決定することができます。

 

 

※「地価公示(公示価格)」、「地価調査(標準価格)」、「相続税路線価」、

 「固定資産税路線価」、「実勢価格(時価)」

 

 

「分割」の3つの方法

遺産分割については、「現物分割・代償分割・換価分割」という方法があります。
それぞれの分割方法の中で適正な時価を把握することはどのように活用されるでしょうか。

 

現物分割

 <一筆の土地を複数の筆に分割するケース>
  

  一筆の土地を複数筆に分割するケース(相続不動産について価値的に任意の割合で分割する

  ケース)は、分割した後の各不動産について同じ地積であっても、間口・奥行や形状、接道

  条件、日照等の個別性が違えば価値はそれぞれの土地の価値は変わってきます。こうした場

  合には不動産鑑定士による鑑定評価を活用することにより公平な分割が実現できます。

 

 

 <複数の不動産について相続人がそれぞれ別の不動産を取得するケース>
  

  このケースではそれぞれの不動産についてその個性を反映した適正な時価を把握することに

  よって、公平な分割が実現できます。

 

  例えば、相続によって取得する不動産が市街化区域における地積規模の大きな土地で、形状

  が不整形であったり、間口が狭かったり、奥行きが極端に長かったりといった特徴を持って

  いたとします。

  路線価を基準とした評価においても地積規模が大きな土地やその土地の間口・奥行の関係に

  よって補正率を計算し適用できるのですが(評価を下げられるのですが)、それでも路線価

  基準で考えてしまうと適正な価格との比較において高く価格が算出されることがあります。

  つまり現実的にはその不動産はもっと低い価値である場合もあるのです。

 

 

代償分割

以前のコラムにもこの点書かせていただきましたが、代償分割において、時価より低いことが多

い相続税評価額を基準に遺産分割を行えば、不動産を取得しない相続人がその代わりに受け取る

代償金の金額は実態より少なくなってしまいます。

この場合も公平な相続のためにも不動産鑑定士による鑑定評価が有効です。

 

換価分割

この分割では、相続不動産のどれを換価(お金に換える)のかが非常に重要です。
相続人の方の意向を汲み、必要な金銭を準備できるように、不足のないように換価する不動産を

選定しなければなりません。
また、不動産の適正な価格とは時の経過によっても変動するものです。

 

なので1月1日時点の価格を示す路線価をベースに考えることはこの点からも適正な時価を示して

いるとは言えないのです。不動産鑑定士は市場の動向にも精通している専門家です。

この場合も不動産鑑定士の鑑定評価による適正な時価の把握が有効であると言えます。

 

まとめ

 

不動産は所有していた方の思いがつまった大切な資産です。その不動産には歴史や思い出があり、

その不動産だけの価値を持っています。残念ながら適正な時価にこれらの価値を加味することは

できません。しかし、不動産鑑定士は、そのように大切な不動産を取り扱う専門家として、不断

の勉強と研鑽によって不動産鑑定の進歩改善に努力することが義務付けられており、自己の専門

性を常に磨き続けています。

 

我々さいたま幸せ相続相談センターでは、わかりにくい不動産の時価算定について、高度な知識

と豊富な経験及び的確な判断力を備えた練達堪能な鑑定士によるわかりやすく誠実な説明をさせ

ていただいております。

 

本コラムが皆様の円満な相続を実現するための一助となれば幸いです。

 

 

 

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