こんにちは。相続コンサルタントの山中です。

本日は相続不動産を鑑定するメリットについてお話を致します。

 

相続を取り巻く環境

 

2015年の1月から相続税法が改正され、基礎控除額が6割に引き下げられました。

この結果、課税される人の割合は2014年の4%台から8%台に急増しました。

課税があった被相続人1人に対する相続税額の平均は約1,800万円(平成30年)となっています。

平成30年における相続財産の金額の構成比は、土地約35%、現金・預貯金等約30%、有価証券

約15%の順となっています。

 

また、家庭裁判所への相談件数は年々増加の一途を辿っており、2012年の遺産分割事件数は約

11,000件であるのに対し2017年は16,000件を超えるまでになりました。

これに伴い、各相続人の税負担に密接に関係する遺産分割がこれまで以上に重要な問題になって

きます。

 

本コラムでは、これまで以上に重要な問題となる遺産分割における不動産鑑定士のかかわり方、

相続不動産を鑑定するメリットについてお話したいと思います。

 

 

相続と不動産鑑定士の関係

 

円満な相続は、その大前提として「平等ではなく、公平」※であるべきだと考えます。

 

※平等:各々の事情や状況にかかわらず全てが均等であること。

 公平:各々の事情や状況から見て偏っていないこと。

 

不動産を平等に分割しようとするならば、どのような不動産であっても相続税評価額を基準とし

て法定相続分で相続すれば平等に分割できるといえます。

しかし、不動産は、人間が使用する他の財と異なって多くの特徴(不動産の地域性、個別性、用

途の多様性、固定性や併合や分割の可能性など)を持っており、不動産の価格とは本来それらの

特徴を反映して形成されるものであります。

 

前述の分割方法では、それら不動産の特徴を十分に反映した価格を基準とした分割はできないと

いえます。

 

また、不動産の価格とは、時間の流れの中で変動するものであり、どの時点の価格を求めるかに

よっても評価額は変わってきます。

 

相続人間での「公平」な遺産分割を実現するためには、財産の中でも高額にもかからわらず価格

がわかりにくい不動産の価格を算定することが必須です。

 

 

不動産鑑定士が必要な状況とは

 

不動産鑑定士が相続案件で登場する場面は、遺産分割・遺留分侵害額請求権の行使に係る不動産

の時価の算定です。

 

遺産分割において基準とすべき不動産の価格は時価です。相続税評価額でも固定資産税評価額で

もありません。

ちなみに、時価を100とすると相続税評価額は約75、固定資産税評価額は約65の水準で設定され

ています。

 

代償分割において、時価より低いことが多い相続税評価額を基準に遺産分割を行えば、不動産を

取得しない相続人がその代わりに受け取る代償金の金額は実態より少なくなってしまいます。

また、駐車場を相続人2人で現物分割する場合に相続税申告用に使う相続税評価額を面積比で分

割するのでは、面積・形によって異なるべき時価を反映できず、公平な分割とは言えません。

 

このような例をみても公平な遺産分割を実現するためには時価の算定が必要であるといえます。

ですが、不動産の適正な時価を求めることは、先述した通り、不動産の複雑な価格の成り立ちに

より一般の方には非常に困難な作業であります。

 

そこで、専門家としての不動産鑑定士による鑑定評価活動が必要となってきます。

 

不動産鑑定士はその遵守すべき鑑定評価基準により専門家として誠実な鑑定評価活動の実践、依頼

者に対して鑑定評価の結果をわかりやすく誠実に説明することを義務付けられております。

 

我々さいたま幸せ相続相談センターでは、わかりにくい不動産の時価算定について、高度な知識と

豊富な経験及び的確な判断力を備えた練達堪能な鑑定士によるわかりやすく誠実な説明をさせてい

ただいております。

 

わからないまま、言われるがままの相続ではなく、皆様が分かり合える円満な相続を実現するため

の一助となれば幸いです。

 

 

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