皆さん、こんにちは!

不動産鑑定士、相続・不動産コンサルタントの森田努です。

国税庁が、コロナ禍の影響等により地価が大きく下落した場合、「相続税路線価(以下路線価)」を減額修正する措置検討しているとのことです。

 

 

地域の道路に面する土地の1㎡ごとの価格をいいます。1月1日時点の価格を国税庁が毎年7月に発表することになっています。相続税や贈与税を算定するにあたって、不動産の価格を評価する場合にはこの路線価を用いることが多くなっています。

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  • 公示地価、基準地価

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民間の土地取引にあたって、適正な価格の指標とするため、国土交通省が毎年3月に当該年の1月1日時点の価格を公示地価として発表し、都道府県が調査のうえ国土交通省が毎年9月に当該年の7月1日時点の価格を基準地価として発表しています。

また、路線価は公示地価の概ね80%程度の価格水準とされています。

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  • 路線価と相続税

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相続にあたって、統計によると財産の約35%が土地となっていることから、相続財産に含まれる土地の評価額が相続税の額を大きく左右することになります。

そのため、その土地が高く評価されると相続税額は高くなり、逆に安く評価されれば相続税は安くなるという関係になります。

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  • 今回検討されているのはどのような措置か?

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上記の通り、路線価は毎年1月1日時点の価格となっています。しかし、今年はコロナ禍の影響で1月1日以降、大きく地価が下落しているエリアがあり、時価が路線価を下回るケースもあると予想されています。そこで、国税庁は時価の下落を適正に評価に反映させるため、7月1日時点の価格を表す基準地価に基づいて路線価の減額修正を認める方向で検討しているとのことです。

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  • 実際の影響について

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現在私が収集している範囲内では、埼玉県のJR沿線、大宮以南のエリア内において今年に入ってから、路線価(公示価格の80%)を下回るほどにまで地価が下落したという話はほとんど耳にしていません。よって、この措置が実施されたとしても当該エリア内での影響は小さいかもしれません。ただ、今後コロナの第2波も懸念される中、地価動向は不透明なものとなっていることから、念のため注意しておきたいところです。

 

※参考

6月24日 日本経済新聞 路線価の減額修正検討 国税庁、コロナで地価下落なら

 

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