本日は自筆証書遺言の書き方についてお話をしたいと思います。書き方についてきちんと理解をして頂き、より良い相続にして頂ければと思います。
自筆証書遺言の作成ルール
自筆証書遺言はその遺言書が有効となるために民法によってその書き方が定められています。
************
(民法第 968 条第 1 項)
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
************
・遺言書の全文を遺言者が自分自身で書く必要があります。
・日付は、遺言成立時の遺言能力の有無や遺言の前後を確定するため、正確に書く必要があります。西暦でも元号でも良いのですが、○年○月○日までしっかりと書きましょう。○月吉日などと記載をしてしまうと有効な遺言書として認められず無効になってしまいます。
・氏名についてですが、フルネームで書きましょう。漢字についても戸籍に記載されているとおりの漢字を書きましょう。例 斉藤→齊藤など
どこの誰が書いているのか出来る限り正確に書いたほうが良いためです。
・押印は認印でも問題ありませんが、実印での押印が望ましいです。また、明確性の点から、拇印はなるべく避けましょう。遺言書が数枚になる場合は契印もしたほうが良いでしょう。
・住所については書かなければいけないというルールはありませんが、どこの誰が書いているのかわかるように記載をすると良いでしょう。
・用紙や筆記用具は、法定されていませんが、長期保管に耐えられるものを使用しましょう。また、鉛筆は消えやすいことや改ざんの恐れがあることから、避けましょう。
相続財産の目録がパソコン・ワープロ作成可能に
先程お話したとおり自筆証書遺言は本人がすべて自筆をしなければなりませんでしたが、2019年1月13日より相続財産の全部もしくは一部の目録を添付するときは、その目録について自書しなくても良いこととなりました。
あくまで自書しなくても良いのは財産目録のみになりますので、その他の部分はすべて自分自身で書きましょう。スマートフォンなどで録音や録画が簡単にできる時代ではありますが、しっかりと自筆で遺言書を書く必要があります。
法改正についてはこちら
付言事項について
遺言書には「誰に」「何を」「どのように」相続させるかを記載しますが、遺言書の最後に残される家族に対してのメッセージや遺言書を作成しようと思った理由・経緯を書くことをおすすめ致します。法律的な拘束力はありませんが、このようなメッセージのことを「付言事項」といいます。
例えば「長女は私が入院をしている間、介護でとてもお世話になったので自宅と預貯金を残すことにしました。次女は海外に住んでいて頻繁に戻ってくることが難しかったですが、預貯金の一部を残すことにしました。仲の良いあなた達と過ごせたことは良い思い出です。これからも変わらず仲良く助け合って過ごしてくれることが最後の望みです。今まで本当に幸せでした。どうもありがとう。」
このように残された家族に対して付言事項を書くことによって最後の思いを伝えることができます。また、相続人間のトラブルを未然に防ぐ効果も期待できます。
付言事項は法律的な拘束力がありませんが、遺言書の内容についてどういった思いで書いたのかが伝わるのではないかと思います。
まとめ
自筆証書遺言は自筆により、「日付」「氏名」「押印」をすることにより、誰もが作成をすることができます。考えにくいことではありますが、押印する位置が遺言書の裏面にあったり、名前がペンネームだったりすると、正しい遺言書として判断が難しくなってしまいます。財産の不動産が特定できないような内容の場合もきちんと相続ができなくなってしまうこともありますので、書き方をしっかりと理解してトラブルのない相続となるよう気をつけましょう。
■こちらの記事もおすすめです。
1月13日施行 自筆証書遺言の何が変わった?【司法書士コラム】