埼玉県の県庁所在地「さいたま市」は県の南東部にある自治体です。平成13年に浦和市・大宮市・与野市、平成17年に岩槻市という4市合併によって現在の形となり、関東有数の中核都市として発展しています。

2025年10月時点で約135万人の人口を有するさいたま市で、相続手続きを進める場合にはどのようなステップで進めるべきでしょうか。そこで、本記事ではさいたま市で相続手続きを進める方向けに、わかりやすくご説明します。

大切なご家族が亡くなったら|相続手続きの準備を始める

大切なご家族が亡くなられたとき、悲しみの中で冷静に手続きを進めるのは簡単なことではありません。しかし、相続手続きは期限が定められているものも多く、早めに準備を始めることが大切です。では、相続手続きとは具体的にどのように進めればよいでしょうか。本章では基本的な相続手続きについて解説します。

そもそも相続手続きとは?

相続手続きとは、ご家族が亡くなられた後に行うさまざまな手続きを意味し、死亡届の提出や年金受給者死亡届の提出などご逝去直後から行う手続きも少なくありません。

ご逝去直後から行う手続きは被相続人の本籍地や届出人の本籍地などの市区町村役場にて行う手続きが多い傾向にあります。

また、遺言書の確認や相続人調査、遺産分割協議など被相続人の財産に関する手続きも進めていく必要があります。こうした手続きは相続人側がご自身で行う必要があり、時間がかかるケースも少なくありません。

場合によっては、相続税申告や不動産の名義変更(相続登記)も必要です。このように、相続手続きは多岐にわたり、順序を誤ると後々トラブルになることもあるため、計画的に進めることが重要です。

相続手続きは期限も多いため注意が必要

相続手続きには法定で定められた期限があるものも多いため、遅れないように準備しましょう。特に注意すべき手続きは以下のとおりです。

①遺産分割協議

遺産分割協議には法律上の期限はありません。しかし、誰がいくら相続財産を取得するか決める大切な協議であり、次に触れる相続税申告にも影響するため「できる限り早く」協議を終えることが望ましいでしょう。

②相続税申告

相続税申告は、相続の開始があったことを知った日(※)の翌日から10か月以内に税務署へ申告・納付することが義務付けられています。期限を過ぎると延滞税や加算税が発生する場合があるため注意が必要です。

③相続登記

相続登記は、2024年4月以降は不動産の取得を知った日から3年以内に申請する義務があります。正当な理由なく期限を過ぎると過料の対象となる場合があるため、早めの手続きが重要です。

押さえておきたい相続手続きの期限一覧図 

主な内容期限提出先等備考
死亡届の提出被相続人の死亡の事実を知った日から7日以内(国外で亡くなった場合は3か月以内)に提出死亡の事実を知った日から7日以内市区町村役場死亡届を提出しないと火葬許可証が交付されません
遺言書の有無の確認自筆証書遺言や秘密証書遺言が見つかった場合、家庭裁判所で検認が必要 (公正証書遺言、自筆証書遺言書保管制度除く) 期限の定めなし(遅滞なく)家庭裁判所検認を経ずに開封・執行すると過料の対象となる場合があります
相続人の確定・調査戸籍謄本等を取得し、法定相続人を確定期限の定めなし(速やかに)市区町村役場相続人全員の同意が遺産分割協議に必要です
相続財産の調査・目録作成預貯金、不動産や有価証券などのプラスの財産と、借金や未払金などのマイナスの財産(債務)を調査し、一覧にします期限の定めなし(速やかに)金融機関等相続放棄や限定承認の判断材料になる
相続方法の決定相続放棄または限定承認をするか決定相続の開始を知った日から3か月以内家庭裁判所単純承認(全て相続)の場合は手続き不要ですが、相続放棄または限定承認の期限を過ぎると原則単純承認とみなされます
準確定申告被相続人に事業所得などがあり、確定申告が必要な場合、相続人が代わりに申告・納税相続の開始を知った日の翌日から4か月以内税務署被相続人が亡くなるまでの所得に対する申告です
遺産分割協議と協議書の作成相続人全員で遺産の分け方を話し合い、合意内容を遺産分割協議書として作成期限の定めなし(速やかに)相続人全員不動産の名義変更や預貯金の解約手続きに必要です
相続税の申告・納税相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合相続の開始を知った日の翌日から10か月以内税務署期限を過ぎると延滞税や加算税がかかる場合があります
不動産の名義変更(相続登記)不動産(土地・建物)の所有者名義を被相続人から相続人に変更2024年4月1日より義務化 不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内法務局義務化の前の未登記不動産も今後は登記が必要です
預貯金・株式等の名義変更/解約金融機関や証券会社で所定の手続きを行います期限の定めなし(速やかに)各金融機関・証券会社遺産分割協議書や相続人全員の印鑑証明書等が必要です

さいたま市で亡くなられたら|6つの相続手続き

さいたま市でご家族が亡くなられた際、どこで手続きを進めればよいでしょうか。先述のとおり相続手続きは多岐にわたり、提出先も異なります。

そこで、本章ではさいたま市で被相続人が亡くなられた場合について、重要な6つの手続きにおける提出先を解説します。

死亡届提出

さいたま市でご家族が亡くなられた場合、まず行うべきは死亡届の提出です。死亡届は死亡者の死亡地・本籍地又は届出人の所在地の市区町村役場で手続きを行います。

浦和区、大宮区、岩槻区など、各区役所の窓口で提出可能です。死亡届時には死亡診断書(死体検案書)が必要で、死亡を知った日から7日以内の提出が原則です。提出しないと火葬許可証が交付されず、火葬や埋葬の手続きができませんので注意が必要です。

戸籍謄本や除籍謄本などの取得

次に行うのは相続人確定のための戸籍謄本・除籍謄本の取得です。さいたま市では各区役所で取得可能ですが、対象者が市外にいる場合でも広域交付制度を利用して取り寄せることができます。

ただし、広域交付制度は被相続人の兄弟・甥や姪、代理人(弁護士・司法書士など)が利用できません。

先述のとおり被相続人の戸籍謄本等は相続人調査でも必要です。出生から死亡までの戸籍を確認することで、法定相続人を確定できます。すべての相続人の確認が遺産分割協議の基礎となります。

広域交付制度については、以下の関連記事もご一読ください。

遺言書の有無確認

相続手続きにおいては、遺言書の有無を確認することも重要です。自筆証書遺言(自筆証書遺言書保管制度を利用したものを除く)や秘密証書遺言は家庭裁判所で検認が必要です。

公正証書遺言の場合は検認不要ですが、内容の確認や執行にあたっては速やかに対応しましょう。遺言書がある場合はその内容に従って財産を分割することになります。

相続財産の調査

相続財産の調査では、預貯金や不動産、有価証券、負債などすべての財産を確認します。

不動産の所在がわからない場合、固定資産税の納税通知書や登記事項証明書などを確認し、土地や建物を漏れなく把握することが大切です。

また、金融資産については、預貯金や株式の有無などを漏れなく確認します。

さいたま市内では都市銀行だけではなく埼玉りそな銀行や埼玉縣信用金庫の利用者も多く、預貯金通帳やカードなどもしっかりと探すことがおすすめです。

遺産分割協議

遺産分割協議は、相続人全員で財産の分け方を話し合い、合意内容を遺産分割協議書として書面化します。この協議書がないと、原則として預貯金や不動産の名義変更ができません。

話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることも可能です。

相続税申告・相続登記

期限についてもご紹介しましたが、相続手続きでは相続税申告や相続登記も漏れなく行う必要があります。

いずれも相続人自身で行うことが難しい手続きのため、相続税は税理士へ、相続登記は司法書士へご相談されることもおすすめです。

さいたま市で相続手続きに困ったらどうする?

さいたま市内で相続手続きを進める際に、手続き先や書類の集め方がわからないなどの悩みを抱えたら、一体どのように対処すればよいでしょうか。本章で具体的な対処法を紹介します。

おくやみ窓口を利用する

さいたま市では、相続手続きに関する負担を減らすために、各区役所内での死亡時に必要な手続きを一カ所で行える「おくやみ窓口」を設置しています。

ご利用いただけるのは亡くなられた時点でさいたま市に住民登録があった方のご遺族で、原則市内にある10区役所のどこでも利用可能です。

詳しくは以下のURLをご確認ください。

※参照 さいたま市 亡くなられた方のご遺族が行う区役所内のお手続きは「おくやみ窓口」をご利用ください

各自治体で実施の無料相談に相談する

さいたま市では、各区役所で相続相談会を開催しています。専門家(弁護士や税理士)が無料で相談に応じてくれる場合もあり、手続きの流れや必要書類の確認に役立ちます。

例として、さいたま市では弁護士・税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士による法律相談が行われています。

相続に関するご相談も可能ですので、気軽にご利用されることがおすすめです。実施日時や予約方法などについては、下記リンクをご参考ください。

※参照 さいたま市 市民相談 

広告やポータルサイトを参考に相談する

インターネット上には相続手続きに関する情報や弁護士・司法書士紹介サイトが多数あります。実績やレビューを確認して、信頼できる専門家を選ぶことが重要です。

知人や友人から紹介してもらう

知人や友人から直接専門家を紹介してもらう方法も有効です。実際に依頼した経験がある人からの紹介であれば、対応の丁寧さや説明のわかりやすさなど、リアルな情報を得られる点が安心につながります。

信頼できる人を通じて紹介してもらうことで、相談の際も心理的なハードルが下がり、安心して依頼に進めるでしょう。

相続手続きを相談できる!さいたま幸せ相続相談センターとは

さいたま幸せ相続相談センターは、相続手続き全般をサポートする専門窓口です。遺産分割協議や相続税申告、相続登記など、相続にまつわるお悩み全般に広く対応しています。

専門家がチームとなって全力でサポートしており、気軽にご参加いただける相続相談会やセミナーも実施しています。まずはお気軽にお問合せください。

まとめ

さいたま市で相続手続きを進める際は、死亡届提出から戸籍・財産調査、遺産分割協議、相続税申告、相続登記まで多岐にわたるステップがありますが、手続きによって期限や提出先が異なるため注意が必要です。

不明点や手続きに困った場合は、市区町村の無料相談や専門家への相談を活用しましょう。また、ワンストップで相続手続きができる「さいたま幸せ相続相談センター」のご利用も是非ご検討ください。

執筆:岩田いく実
監修:司法書士NK法務事務所 中嶋英憲 司法書士