皆さんこんにちは。相続スタッフの成田です。

先日、私の自宅近くにある空き家で空き巣被害が発生しました。
車通りの多い道路に面している立地にもかかわらず、玄関のガラスが割られ、室内に侵入された形跡があったのです。とても怖く感じました。

近年、空き家の増加に伴い、「空き巣」や「不法侵入」といった被害のご相談をいただく機会が増えています。
空き家は人目が届きにくく、侵入に気づかれにくいため、空き巣や不審者にとって“狙いやすい場所”になりやすいのです。
また、放置された空き家が犯罪に利用されたり、近隣トラブルの原因になったりするケースも少なくありません。

そこで本コラムでは、空き家を守るための空き巣対策を、具体的な方法とともにわかりやすくご紹介します。

なぜ空き家は空き巣に狙われやすいのか?

空き家が空き巣や不法侵入の被害を受けやすい理由は以下の通りです。

  • 人の出入りがない(無人状態)ことが明白
  • ポストに郵便物が溜まっているなど、「不在」が分かりやすい
  • 夜でも明かりがつかない(生活感がない)
  • 防犯対策が甘い(カメラやセンサーがない)
  • 敷地内が雑草や落ち葉で荒れており、「管理されていない」と分かる

空き家が「誰も管理していない」と判断された時点で、空き巣は下見を始めます。
その後、日中や夜間に侵入し、内部の残置物や金品、あるいは配管金属などを持ち出すケースが実際に報告されています。

空き家について詳しく知りたい方はこちらのコラムもご一読ください。

空き家の防犯対策は「3つのステップ」で考える

空き巣対策には、以下の3つの観点から防犯策を講じることが大切です。

  1. 人が住んでいるように見せる工夫
  2. 侵入を物理的に防ぐ対策
  3. 記録・見張り・警告する仕組みを導入

それぞれの具体策を詳しく解説していきます。

ステップ1:人が住んでいるように見せる工夫

空き家であることを悟らせない工夫は、空き巣対策の第一歩です。

・郵便物を溜めない

ポストにチラシや郵便物がたまっていると、空き家であることが一目瞭然です。
遠方に住んでいる場合でも、知人や管理会社に定期的に取りに行ってもらうか、郵便局に転送手続きをしておくとよいでしょう。

・室内に照明タイマーを設置する

暗くなると自動で室内照明がつくタイマーを活用すれば、「夜に電気がついている=住人がいる」と思わせることができます。

・カーテンやブラインドは適度に開閉を

すべての窓がカーテンで閉め切られていると、生活感がありません。
逆に、部分的にカーテンを開けておくことで、「誰か住んでいるかもしれない」と思わせる効果があります。

・草木の手入れをする

雑草が伸び放題、落ち葉が積もっている状態では、管理されていないことが一目で分かります。定期的に清掃・草刈りを行いましょう。

ステップ2:侵入を物理的に防ぐ対策

空き巣は「侵入に時間がかかる家」や「目立つ音が出る家」を避ける傾向があります。
以下の対策を組み合わせることで、侵入をあきらめさせることができます。

・補助錠を設置する

玄関ドアや窓に補助錠(サブロック)を取り付けると、ピッキングやガラス破りの時間がかかり、空き巣のリスクが下がります。玄関や窓に鍵が2つある場合は、必ず2つとも施錠しましょう。

・防犯ガラスや防犯フィルムを使う

窓ガラスの破壊による侵入を防ぐには、防犯ガラスや飛散防止フィルムの活用が有効です。特に面格子のない1階窓には設置しておきたいところです。

・防犯砂利を敷く

庭や通路に「踏むとジャリジャリ音がする防犯砂利」を敷いておくと、夜間の侵入者を音で威嚇できます。
これにより、空き巣が下見段階で警戒して退散する可能性が高くなります。

・面格子や雨戸を設置する

1階部分の窓には、視覚的な防犯効果が高い面格子やシャッターを設置しましょう。
「侵入しにくそう」と思わせるだけで、防犯効果が上がります。

ステップ3:記録・見張り・警告する仕組みを導入

「見られている」「録画されている」という意識を与えることが、空き巣の大きな抑止力になります。

・防犯カメラの設置

玄関や駐車場など、人目につきやすい場所に防犯カメラを設置しましょう。
最近ではスマートフォンと連動して映像を確認できるWi-Fiカメラも普及しています。
録画機能つきなら、侵入の証拠としても有効です。

・センサーライトを設置する

人が近づくと自動的に点灯する人感センサー付きライトは、夜間の侵入者に強い警告となります。
「光が当たる場所=見られるリスクがある場所」として、空き巣の心理に働きかけます。

・防犯ステッカー・ダミーカメラも有効

本物の防犯システムの導入が難しい場合でも、「防犯カメラ作動中」などの警告ステッカーや、見た目がリアルなダミーカメラを設置するだけでも抑止効果が得られます。

空き家管理サービスや防犯専門業者の活用も検討を

遠方に住んでいる場合や高齢で定期管理が難しい場合は、空き家管理サービスや防犯専門会社に依頼するのもひとつの選択肢です。

業者によってサービス内容は様々ですが、一般的には、以下のサービスを行っている業者が多いです。

  • 月1回の巡回・点検
  • 郵便物の回収
  • 室内の通風・換気
  • 防犯機器の設置と運用

また、市区町村によっては空き家対策の補助金制度が設けられている場合もありますので、地元自治体のホームページも確認してみましょう。

空き家を狙う犯罪を防ぐには「活用」が最も効果的

空き家の防犯対策には、補助錠や防犯カメラなどさまざまな手段がありますが、もっとも効果的なのは“空き家を空き家のままにしない”ことです。

つまり、空き家を「誰かが住んでいる」「管理されている」状態にすることで、空き巣や不法侵入のターゲットから外れる可能性が飛躍的に高まります。
その手段として有効なのが、賃貸に出す・売却するという2つの選択肢です。

空き家を「賃貸にする」という防犯対策

空き家を賃貸住宅として貸し出すことで、人が日常的に出入りする状態になります。これは最大の防犯効果です。

空き家を賃貸にするメリット
  • 空き巣・不審者が近寄らなくなる
     住人がいることが明らかなので、空き家特有の「侵入しやすさ」がなくなります。
  • 家賃収入が得られる
     防犯だけでなく、毎月安定した収入を得ることができます。固定資産税の支払いに充てられる点も大きなメリットです。
  • 建物の劣化防止
     誰かが住んでいると、通風・通水などが行われ、建物の状態が良好に保たれます。
空き家を賃貸にする際の注意点
  • リフォーム・修繕が必要な場合がある
     築年数が古い空き家の場合、安全性や住環境の面で改修が必要になることもあります。
  • 管理業務の手間やトラブルへの対応
     自主管理が難しい場合は、不動産管理会社に委託すると安心です。
  • 住宅用地の特例が継続される
     空き家を賃貸住宅として利用する場合、住宅用地としての固定資産税軽減措置が継続され、税金面でもメリットがあります。

空き家を「売却する」という防犯対策

空き家を売却すれば、その後の管理責任や防犯対策の心配から解放されます。
空き家を所有し続けること自体が負担となっている方には「売却=根本解決」の手段としておすすめです。

空き家を売却するメリット
  • 防犯・管理の責任から解放される
     空き巣や不審者の心配をしなくて済むようになります。
  • まとまった現金が手に入る
     相続税の納税資金や将来の生活資金に活用できます。
  • 相続人同士のトラブル防止にも
     空き家を現金化して公平に分けることで、遺産分割の争いを防ぎやすくなります。
空き家を売却する時のポイント
  • 「古家付き土地」として売るか、解体して「更地」にするかを検討
     築年数や状態によっては、解体した方が高く売れる場合もあります。ただし、解体費用が100万円~200万程かかります。
  • 不動産会社に「買取査定」も依頼する
     すぐに現金化したい場合は、一般仲介ではなく「不動産買取業者」に相談するのも有効です。
  • 「空き家バンク」「自治体の支援制度」も活用
     地方自治体によっては、空き家の売却・利活用に関する補助金制度や相談窓口を設けている場合があります。

まとめ:空き家を活用することが、最大の防犯対策になる

空き家は「無人の状態」が続くことで、空き巣や不法侵入などの犯罪リスクが一気に高まります。
最も効果的な防犯策は、空き家を“動かす”こと=誰かに使ってもらうことです。

  • 定期的に管理するのが難しい場合 → 売却して根本的に解決
  • 今後の活用や相続対策として残したい → 賃貸で人に使ってもらう

それぞれのご事情に応じた選択肢を、専門家と相談しながら検討してみてください。
空き家を放置せず、防犯と資産管理の両面から対策を進めていきましょう。

一般社団法人さいたま幸せ相続相談センターでは、相続した空き家の活用方法についてのご相談を受け付けております。

空き家について詳しく知りたい方はこちらのコラムもご一読ください。

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執筆:成田春奈