こんにちは、司法書士の石川です。
今年も10月になり、残すところ今年もあと3ヶ月ですね。時間が経つのは早いです。

 

本日は、父が会社の取締役している場合、その子は取締役の地位を相続するのかどうかというお話です。

 

例えば父が自分で会社を立ち上げ、自分だけが取締役(役員)であるような会社を経営していたとします。

相続人が子1人だけのような場合、子が父の取締役という役職を相続して、この会社の取締役となりそうな感じがします。

しかし、子は父の取締役の地位を相続することはありません。

 

取締役という地位は、父個人の能力や適性を見込んで会社が父に委任していたものであり、そのような個人に属していた地位は相続の対象にならないとされています(民法第896条)。

取締役の地位のように、その人個人に属している権利は一身専属権などと呼ばれています。

 

なお、取締役は株主総会の決議によって選びますので、父が株式を100%保有しているようなケースでは、株式を相続し、株主となった子が自分を取締役として選ぶことは可能です。

当然に取締役の地位を相続することはできませんが、結果として、取締役としての地位を相続したような形にすることはできるということです。

 

ところで、この会社に対して、子が取り得る方法としては次のようなものが考えられます。
 ・自分を取締役として選任し、会社を運営していく。
 ・自分以外の誰かを取締役として選任し、会社を運営してもらう(株式は子が保有したまま)。
 ・会社を誰かに買い取ってもらう(株式譲渡、合併)。

 ・会社の事業を誰かに買い取ってもらい、会社は解散させる。
 ・会社を解散して、残余財産を得る。