こんにちは、司法書士の石川宗徳です。
暖かい日と肌寒い日が繰り返しており、もうすぐ春がやってきますね。
桜が好きですので、春が来ることが楽しみです。
さて、今日は遺産分割協議に関するお話です。
遺産分割協議は相続人全員が行うことによって初めて効力が生じることになります。
預貯金や不動産等の相続手続きをする際に遺産分割協議書を提出する場合は、そこに相続人全員の記載がない限り手続きを進めることはできません。
相続人全員が記載されているのかどうかは戸籍を見ることにより分かりますので、相続手続きには戸籍等の提出も求めらます。
相続人の中に、行方不明者がいて連絡が取れない場合はどうでしょうか。
行方不明者であっても相続人は相続人ですので、行方不明である相続人を除外して遺産分割協議を成立させることはできません。
まずは行方不明である相続人の関係者に聞いてみる等して、連絡が取れるようにしてみることが第一ですが、それでもどうしても連絡が取れないという場合もあります。
それでは、そのような場合に取り得る手段はあるのでしょうか。
①不在者財産管理人を選任することと、②失踪宣告の申立てをすることの2つが挙げられます。
①不在者財産管理人とは、行方不明である相続人の代わりにその財産を管理する人で、利害関係人が家庭裁判所にその選任を申し立てることにより、家庭裁判所によって選任されます。
行方不明である相続人の代わりに不在者財産管理人が、家庭裁判所の許可を得て遺産分割協議に参加することになります。
相続財産における行方不明である相続人の取得分は、原則として法定相続分を下回ることはありません。
②失踪宣告の申立てをすると、その行方不明である相続人は死亡したものとみなす効果を生じさせることができます。
行方不明である相続人の生死が7年間明らかでないとき、または震災などの死亡の原因となる危難に遭遇し、その危難が去った後その生死が1年間明らかでないことが申立ての条件です。
申立てをしてからも終わるまでに期間はかかります(すぐに失踪宣告されるわけではありません)。
また、行方不明である相続人が生きていることが分かり、当該相続人の失踪宣告の取り消しが認められれば、他の相続人は承継した遺産のうち、まだ残っている遺産については(一部または全部)返還をしなくてはならない点にも注意が必要です。