2024年6月2日の日本経済新聞によると、生存の可能性が極めて低い行方不明者の「失踪宣告」の申立が増加しており、制度の硬直性とその見直しの必要性が浮き彫りになっています。

失踪宣告とは、行方不明となった方を法的に死亡とみなす制度です。被相続人の生死が不明の場合,配偶者や相続人等の利害関係人は,家庭裁判所に失踪宣告の申立を行うことができます。申立があった場合,家庭裁判所は,期間を定め,不明者に生存の届出を行うことや不明者の生死を知る者は届出を行うことを公告します。期間が経過すると失踪宣告の審判がなされ,不明者は死亡したものとみなされ,相続が開始されます。

失踪宣告には、7年間生死がわからない場合の「普通失踪」と、戦争や災害後1年間行方不明である場合の「特別失踪」があります。

皆さんは、生きていたら153歳の方や215歳の方の失踪宣告を行うことに意味があると思いますか?失踪宣告の手続きは煩雑で、弁護士に依頼すると費用もかかります。国内の最高年齢が116歳なのにそれを大きく上回る年齢の方の失踪宣告を行うのは、遺族の方の負担になってしまいます。

しかし、法務省民事局参事官室によると「制度の見直しは検討していない」とのことです。

120歳を超える方の失踪宣告の手続きを簡略化することや、申立人となる利害関係者を国や自治体に広げることで所有者不明土地の解消につながる可能性もあるため、今後の動きに注目していきたいと思います。

※参照 2024年6月2日日本経済新聞 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD118K20R10C24A4000000/