皆さん、こんにちは!
税理士の大塚英司です。

 

唐突ですが、相続時精算課税制度ってご存知でしょうか?
簡単に言うと、
『 祖父母や親から成人した子や孫への贈与は2,500万円まで贈与税は払わなくていいですよ。ただし、祖父母や親が亡くなった時にちゃんと相続税で精算してくださいね(贈与した財産を相続税の対象に含めて下さいね) 』
ということです!

 

この精算課税制度も導入されて、もう15年近く経ちます。
来年の1月1日には、広大地の改正が迫っており、この精算課税制度を利用して現状の広大地評価を用いて贈与するケースも年末にかけて増えるのではないでしょうか?
そこで、今一度、この制度のデメリットを確認しておきましょう。

 

1.暦年課税贈与には戻れません
 一度精算課税を適用すると年間110万円の非課税枠が用意されている暦年課税贈与には戻れないのです。すなわち、精算課税選択後の贈与はすべて相続財産を構成することとなります。暦年課税であれば相続財産を構成するのは死亡前3年だけなので大きな違いですね。

 

2.小規模宅地等の特例の適用ができない
 精算課税贈与により取得した財産は、小規模宅地等の特例の適用が受けれません。したがって、小規模宅地等の特例の適用が受けられる財産は、精算課税贈与ではなく、相続時に移転したほうが有利なケースが多いでしょう。

 

3.子や孫が先に死亡した場合は二重課税!?
 精算課税の適用を受けた子や孫が、贈与した親よりも先に死亡した場合には、その精算課税適用財産は、子や孫の相続財産にも含まれ、親の相続財産にも含まれます。すなわち、二重課税となるのです。

 

4.贈与財産が値下がりした場合には不利に!
精算課税により贈与した財産が、贈与時から相続時にかけて値下がりした場合であっても、相続税の計算上、相続財産に加算する金額は贈与時の時価となります。値下がりしてしまったら「贈与しないほうが相続税の負担が少なかった!」なんていうことになるのです。

 

次に、デメリットばかりではなく、精算課税を適用することによりメリットを享受できる人も紹介します!

 

1. 将来、相続税がかからない人
相続税がかからない人は、そもそも相続時に精算する必要がないので、この制度は有効です。両親の財産のうち、子供が保有していた方がいいような財産(例えば、事業用財産や生活用財産、居住用不動産等)や金融資産(親が持っているより、若い子供に使ってもらった方がいいですもんね)は、この制度に向いているでしょう。
相続税で精算しないので、結果的に無税で2,500万円を子供に移すことが出来るのです。
なお、相続税がかからない人とは、親の財産の合計が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下の人をいいます。

 

2. 将来、価値が上がる財産を保有している方
土地や有価証券で、将来価値が上がると思われる財産を持っている方もこの制度は有効です。
なぜかというと、相続時精算課税により贈与を受けた財産は、贈与時の時価により精算されるからです。もし、相続時精算課税による贈与をしていなかったとしたら、相続時の高い時価で評価されてしまいます。贈与をしていれば、贈与時の低い時価を基に相続税を計算するので、その時価の差の分だけ得を出来るのです。

 

3.収益物件を保有している方
不動産で収益物件を保有している方は、相続時精算課税により当該収益物件を子供に贈与で移すことで、今後、その物件から生じるであろう収益(果実)も合せて次世代へ移転することができます。
このことにより、将来の相続財産の増加を抑制することが可能となり、かつ、相続人の相続税に関する納税資金の確保につながります。

 

「さいたま幸せ相続相談センター」では、「我が家は、精算課税制度を適用した方が良いの?」「広大地に該当するか分からない?」など、初回のご相談やご面談を無料で承っております。どうぞお気軽にお電話(048-782-8922)ください。