こんにちは、司法書士の石川宗徳です。

梅雨は明けたのに雨の降る日が続きますね。

 

さて、本日はおひとりさまの相続について考えてみます。

ここでは、「おひとりさま」を相続人のいない一人暮らしの方のことを指すことにします。

 

生涯未婚率の上昇により、亡くなるときに一人暮らしの高齢者は増加傾向にあります。

加えて、人口のボリュームゾーンの方々の高齢化が進んでいますので今後はますます増えていくことになることが予想されます。

 

おひとりさまが亡くなったときに、その方の財産はどうなるのでしょうか。誰がその相続手続きをするのでしょうか。

 

<おひとりさまの相続人は誰か>

相続人がいない一人暮らしの方を「おひとりさま」とここでは定義しましたが、相続人がいないとはどういうことなのでしょうか。

 

相続人となる人は民法で定められており、配偶者、子・孫などの直系卑属、父母・祖父母などの直系尊属、兄弟姉妹が相続人になり得ます。

兄弟姉妹にも代襲相続が発生しますので、本人から見て配偶者、直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹、甥・姪がいらっしゃらない方は、「相続人がいない」に該当します。

 

上記の中で唯一、一度も会ったことのない甥や姪がいらっしゃる方は、ご自身の財産は全て甥や姪が相続することになります。

 

<相続人のいない相続財産はどうなるか>

相続人のいない相続財産は、一定の手続きを経た後に、借金があれば債権者へ相続財産から返済され、特別縁故者がいれば財産が分与され、それでも残った財産は国庫に帰属します。

 

つまり国のものとなるということになります。

 

相続人のいない相続財産に関する手続きについては、ここでは割愛させていただきます。

 

<おひとりさまの相続手続きは誰が行うか>

相続人のいる方が亡くなった後の手続きは相続人が行うことになりますが、おひとりさまが亡くなった後の手続きは誰が行うのでしょうか。

 

市区町村などの自治体が火葬をしてくれますが、葬儀、残った自宅やマンションの片づけ、遺品整理、病院等の退去手続き、お墓の手配などは自治体はしてくれません。

 

利害関係人が相続財産管理人の選任を申し立てるにしても、申立てに数十万円の費用がかかりますので申立てをするにも一苦労です。

 

<取り得る対策>

■遺言

何もしなければ相続財産は相続人(相続人がいなければ国)のものとなりますが、遺言に相続財産の分配方法を書いておけば、第三者にも譲ることができます。

 

お世話になった方や、ご自身が応援している法人・団体にも相続財産を遺贈することが可能です。

 

※遺言には要件が定められており、一人で作成する遺言(自筆証書遺言)はその要件を満たしていないと無効になってしまいます。亡くなった後に修正をすることはできませんので、遺言の作成は専門家にご相談ください。

 

■遺言執行者の選任

責任をもって遺言の内容を実現してくれる遺言執行者を、遺言の中で選任しておくこともできます。

特に、遺言執行者として弁護士や司法書士などの専門家に選任しておくと、しっかりと手続きをしてくれるためより安心できるのではないでしょうか。

 

■任意後見契約

元気なうちに、自分が認知症になったときに後見人となってくれる人を選んでおくことができ、この契約のことを任意後見契約といいます。

 

後見人は、本人が認知症になったあとの財産管理や、必要に応じて施設への入所手続きなどを本人の代わりに行ってくれます。

 

■死後事務委任契約

亡くなった後の家の片づけ、遺品整理、葬儀やお墓の手配など、亡くなった後の手続きを委任する契約を死後事務委任契約といいます。

亡くなった後の手続きについては、後見人が基本的には取り扱うことができず、また遺言では不十分ですので、亡くなった後の手続きも誰かに頼むのであれば死後事務委任契約をしておくことは必須となります。

 

<おひとりさまの相続相談>

相続に関するお悩みは、単に遺言や契約といった法律的な側面だけで解決することはほとんどありません。

 

さいたま幸せ相続相談センターには多数の専門家が在籍・提携しているので、法律的な側面はもちろんのこと、お金のこと、不動産のこと、税金のこと、葬儀のこと、お墓のこと、介護施設のことなど、多くのことをご相談いただくことができます。

 

相続に関するお悩みや、さいたま幸せ相続相談センター(048-871-7283)へお気軽にご相談ください。