「相続人同士で財産を争っている。誰に相談すればいい?」
「相続が始まったけど、手続きに不安がある。弁護士に相談するべき?」
「弁護士に相続の相談をするなら、どのようなケースがおすすめ?」
相続に関する相談先の1つとして知られる「弁護士」ですが、一体どのような相続相談に応じているのでしょうか。この記事では弁護士が受けている相続トラブルのよくあるケースや、相談時の注意点を詳しく紹介します。
弁護士に相談できる相続の悩みとは?
相続にはいろんな悩みが発生することが多く、相続人だけでは解決が難しいケースもあります。では、弁護士に相談する場合には、どのような悩みが適しているでしょうか。この章では弁護士に相談できる相続の悩みを詳しく説明します。
相続人間で争いがある
弁護士はトラブルを解決できる士業です。相続に関しては、司法書士や行政書士、税理士も相談に応じていますが、弁護士が得意とする分野は「争い」についてです。
たとえば、遺産分割協議を進めようとしても、すでに相続人間で遺産の内容や分け方などで口論が続いている場合は、弁護士に相談することがおすすめです。
遺産相続の使い込みが予想される/疑われている
弁護士が携わることが多い相続相談の1つに、「使い込み」も挙げられます。亡くなられた被相続人を介護していた方や、同居していた方が被相続人の財産を使い込んでいたケースは多く、同居・非同居の相続人間で争いが発生することがあります。
弁護士は、「使い込みを疑っている方」あるいは「使い込みが疑われている方」のいずれからであっても、相談に対応しています。長年一生懸命母を介護していたのに、非同居の相続人から使い込みが疑われた、と言う場合も、弁護士に相談できます。
■使い込みを解決するための方法とは
使い込みの相続トラブルを解決するためには、当人間で話し合いを重ねることもありますが、遺産分割調停の中で一緒に解決を図るケースもあります。それでもまとまらない場合には、最終的には、「不当利得返還請求」や「不法行為に基づく損害賠償請求」を立てて裁判で解決していくことになります。。使い込みに納得がいかない場合は、弁護士に相談をすることがおすすめです。
遺留分に争いがある
相続人の第3順位である兄弟姉妹(甥姪)を除く相続人には、民法上で保障されている相続の取り分があります。この取り分を「遺留分」と言います。
遺留分を超える内容の遺言書があった場合には、侵害された遺留分について金銭の支払いを求める「遺留分侵害額請求」が可能です。(2020年4月1日以前は遺留分減殺請求でした)こちらの請求についても、弁護士は対応できます。
円満な相続、生前対策など相続全般の相談も可能
弁護士への相続相談は、被相続人の死去後に起きる争いに対応することが多いですが、円満な相続や生前対策についても対応している弁護士も多くなっています。ただし、弁護士によっては生前対策を扱っていない場合もあるため、相談時に確認されることがおすすめです。
【弁護士に相談できる生前対策の一例】
①事業承継
事業承継が相続時に発生する場合は、経営・株式を含む会社の資産を円満に次世代に承継させるために、さまざまな対策を講じておく必要があります。遺言書や贈与なども活用することが多く、紛争に備えて弁護士相談をしておくことが望ましいケースがあります。
②遺言書
生前の相続対策である遺言書の作成に関してもアドバイスを行っています。
よくある弁護士への相続トラブル相談とは
ここからは、実際に弁護士に相談する相続トラブルの内容について、さまざまなケースを通して紹介します。
相続人の中に面識のない方がいるケース
相続人の中に、面識がない方がいる場合には、遺産分割協議が難航するおそれがあります。例として、亡父に離婚歴があり、前妻との間に子が居る場合は前妻の子も相続人となるため、遺産分割協議に参加してもらう必要があります。このようなケースでは、弁護士に遺産分割協議を取りまとめてもらうことで、円満に協議が進む可能性があります。
また、「限定承認」(※1)を急ぐようなケースも弁護士に相談をすることがおすすめです。限定承認は相続人全員で行う必要があるため、面識のない相続人がいる場合も連絡をし、協力をしてもらう必要があります。
(※1)限定承認とは
マイナスの財産があった場合、相続するプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を承継する手続きです。相続放棄のようにすべての財産を放棄しないため、守りたい財産を残すことができます。
相続財産清算人の申立てをしてほしいケース
相続財産の管理義務を終えたい、特別な縁故がある人が財産を受けたいなどの事情がある場合は、裁判所に対して「相続財産清算人」(相続財産管理人)の申立てが必要となる場合があります。こうした手続きは複雑であり、弁護士に依頼することが多くなっています。
【相続財産清算人が必要となる一例】
①相続人全員が相続放棄をし、相続財産の管理義務を終えるために財産の処分や管理を一任したいケース
②亡夫の母(義母)を長年介護していたが亡くなった。相続人ではないが、その他の相続人がすでに亡くなり、いないため特別縁故者として義母の財産を求めたいケース
被相続人に債務が発覚、対応をしてほしいケース
被相続人に高額の債務が発覚した場合、相続放棄や限定承認を検討する必要があります。相続人はプラスの財産だけではなく、マイナスの財産も相続する必要があるからです。相続放棄や限定承認の申立てはご自身で行うこともできますが、債権者への対応を要するケースもあり、弁護士への依頼がおすすめされることも多くなっています。
遺言執行者になってほしいケース
遺言執行者が必要な場合、弁護士への依頼も可能です。
・子の認知や推定相続人の廃除がある遺言書を託したい
・事業承継などがあり、スムーズに遺言を執行してほしい
・相続人の間で揉めずに財産を分配してほしい
このようなケースでは、遺言書の作成と遺言執行者を定めておくことで、円満な相続が遂行できます。
弁護士に相続相談をする際の注意点
弁護士に相続相談をする際の注意点には、一体どのようなことが挙げられるでしょうか。以下の点を確認の上でご依頼されることがおすすめです。
費用が高額になることがある
弁護士に業務を依頼する場合、着手金や報酬金などが発生するため、事案次第では費用が高額になることもあります。事前に見積もりを取得し、確認するようにしましょう。
弁護士以外に相談する方が良いケースもある
弁護士は相続相談に幅広く対応していますが、別の士業への相談が適している場合もあります。相談したい内容に応じて、相談先を検討することもおすすめです。
・司法書士…不動産がある相続の場合、相続登記に対応。
・税理士…相続税申告に対応。相続財産の評価にも応じている。
・行政書士…遺言書の作成や紛争性のない遺産分割協議書の作成に対応。
まとめ 相談先選びに悩んだら|お近くの弁護士や当センターへ
今回の記事では、弁護士に相談できる相続の悩みについて、よくあるケースにも触れながら詳しく解説を行いました。弁護士は「相続人間で争いがある」相談に対応することが多いですが、遺言執行者などのご相談に対応することもあります。まずはご負担の低い無料相談などの機会を活用しながら、自分に適した相談先を見つけることがおすすめです。
相談先選びに悩んだら、ワンストップであなたの相続をサポートする、「一般社団法人 さいたま幸せ相続相談センター」にご相談ください。
執筆:岩田いく実
監修:CLOVER法律事務所 中島 一郎 弁護士