みなさんこんにちは!
不動産鑑定士の森田です。

 

皆さま、急に寒くなり、体調を崩したりしていないでしょうか?
我が家の子供たちは保育園通いで、毎年必ず保育園で風邪をもらってきます。
まず、下の子、その次は上の子、そして妻、最後に私と順番で風邪がうつる傾向があります。
もちろん、最後が一番症状が酷くなります。
今年は風邪をひかないよう、しっかりとうがい、手洗いを励行したいと思います。

 

さて、今回のコラムは遺言についてのお話。
そして、恥ずかしながら私の実家の話です。

 

昨年、静岡市に住んでいた祖父が99歳で亡くなりました。
祖父は晩年物忘れが酷くなり、施設に入っていたのですが、離れて住んでいる父に代わり、近くに住んでいる叔父(父の弟)夫妻が色々と面倒をみていました。
祖父もその辺りを考慮して、生前のうちに自宅を叔父に贈与していました。
また、叔父の相続分が多くなるよう、公正証書遺言を残していました。
その遺言書には、「叔父には世話をかけるので、叔父の相続財産を多くする」との付記があり、具体的には下記のように遺産を分割するよう、記載してありました。
叔父:現金の7割、自宅以外に所有していた更地
私の父:現金の残り3割、築古の戸建貸家の土地・建物(当該貸家から生じる賃料を含む)
遺言書は約10年前に作成されたもので、当時の現金と各不動産の価値を比較検討した場合、叔父の相続分が多く、父も叔父も納得できるものでした。

 

しかし、この遺言に落とし穴がありました。
遺言書作成から10年経過する間に、貸家から発生する賃料が貯まり、その結果として父の相続財産が、叔父の相続財産よりも多くなってしまっていました。

 

相続財産の内容を確認して、叔父は怒ってしまいました。
それもそのはずです、最後まで一生懸命祖父の面倒をみたのにもかかわらず、結果として父の相続財産の方が多くなってしまっていたのですから。
判断力がかなり鈍っていた晩年の祖父の状況からすれば、10年前の遺言のことまで考えが及ばなかったことは致し方なく、また、父も叔父も遺言書の内容を知らなかったので、どうしようもなかったのですが、なんとも後味が悪い結末となってしまいました。

 

生前、判断力が衰える前に遺言を残すことは正しい選択だと思いますが、その遺言も、一度作成しただけで終わりにするのではなく、定期的に見直さなければ、かえって揉め事の原因になる場合があるという事例です。
遺言書は何度書き直しても手続き上問題ありません。最新の遺言書の内容が適用されます。
そのことを認識して、遺言書の定期的な見直しをお勧めします。