例えば生まれて間もない子が養子に行くと、

その養子に行った子は実親の戸籍を抜けて養親の戸籍に入ることになります。

同時に、その養子に行った子の苗字は養親と同じものになります。

 

田中太郎さん・田中花子さん夫婦の間に生まれた子・

田中陽向(たなかひなた 1歳)くんが、鈴木和男さんの養子となったときは、

田中陽向くんは鈴木和夫さんの戸籍に入り、鈴木陽向くんと苗字が変わります。

 

さてこのとき、田中太郎さんが亡くなった場合、

鈴木陽向くんには田中太郎さんの財産に対する相続権はあるのでしょうか。

 

別のケースではどうでしょう。

 

佐藤太郎さん・佐藤花子さん夫婦の間には子・

佐藤陽葵(さとうひまり 28歳)さんがいましたが、

今年高橋次郎さんと結婚をし、夫を筆頭者とする新しい戸籍を作り、

苗字は高橋の姓を選択することにしたため、高橋陽葵さんと苗字が変わりました。

 

さてこのとき、佐藤太郎さんが亡くなった場合、

高橋陽葵さんには佐藤太郎さんの財産に対する相続権はあるのでしょうか。

 

答えは、両方のケースにおいても相続権はある、となります。

(前者につき、普通養子縁組の場合に限ります。後記参照)

 

相続分についても、田中太郎さんに他に子がいた場合でも、

佐藤太郎さんに他に子がいた場合でも、

養子に行ったからあるいは嫁いだからという理由で他の兄弟姉妹より、

鈴木陽向くん・高橋陽葵さんの相続分が少なくなるということはありません。

 

なお前者のケースでは、

鈴木陽向くんは養親である鈴木和夫さんの財産に対する相続権も持っています。

実親・養親両方の財産に相続権があることになります。

 

但し、鈴木陽向くんが鈴木和夫さんと普通養子縁組ではなく特別養子縁組をしている場合は、

実親である田中太郎さんの財産に対する相続権はなくなりますので

相続人を特定する際にはご注意ください。