みなさんこんにちは!

不動産鑑定士の森田です。

 

 秋も少しずつ深まり、食べ物がおいしい季節になりました。

先週末、兵庫県から丹波の黒枝豆を取り寄せました。大人の親指の爪ほどの大きな豆は、ふくよかな甘みとうま味が特徴でつい食べ過ぎでしまい、ついでにお酒も飲み過ぎでしまいます。

 

 さて、今回のコラムは借地権と底地の価格についてのお話。

 土地は売り手・買い手が誰なのかによって価格が異なります。

例えば、同じ土地でも、自宅用の敷地として一般の方が購入する場合と、不動産開発業者が一度購入して、その上に家を建て、一般の方に転売する場合とでは価格が異なります。不動産業者は一般より安く買って、利益を上乗せした価格で売却する必要があるためです。

  このような売買関係者の属性の違いによる価格の格差が、借地権や底地の場合はより大きくなる傾向があります。

 借地権は、売却する場合や建物の増改築をする場合に、地主の承諾(承諾料)が必要になったり、契約の更新時に更新料が必要になったりして、その度に出費が生じるととともに地主との煩雑な交渉が必要となります。

 底地は、せっかく土地を所有していても所有者が自分で使用することはできず、安い地代しか見込むことができません。さらに、旧借地権法の借地権は永久的に持続しうるもので、地主の都合で返却を要求することは困難です。

 このように、借地権や底地は色々と制限が多いので、一般市場では安値で売買されることになります。よく借地権割合が60%とか70%などと路線価図に記載されていますが、借地権を第三者に売却する場合、更地価格にその路線価割合をかけた価格で売れるようなことは稀で、実際にはもっと安い価格になってしまいます。

 ところが、借地権を地主が買い取る場合は違います。地主は借地権を買い取れば、今まで自分の好きに使うことができなかった土地を自由に使うことができるようになる、というメリットがあります。そのため、地主は他の第三者が買い取る場合より、そのメリットの分だけ高値でも買い取りを検討するでしょう。

 逆に、底地を借地権者が買い取る場合も同様です。底地をいったん買い取ってしまえば、地代だけでなくその後発生する各種の承諾料や更新料が不要になるので、借地権者にとっても権利関係がスッキリするメリットがあります。そのため、他の第三者が買い取る場合よりも、そのメリットの分だけ高値でもいいのです。

 

 以上のように、借地権と底地をそれぞれの地主や借地権者に売却する場合、第三者に売却する場合よりも、高値での売却を期待することができます。もし借地権や底地の売却を検討しているのであれば、まず、地主又は借地権者にご相談してみることをお勧めいたします。

 なかなか直接お話することが難しいということであれば、地元の不動産業者さんにご相談してみるのもいいと思います。
 当団体でも借地権・底地問題について多くのお取り扱いがあります。お困りの方は無料相談をご活用ください。