民事信託の活用について、事例を用いて簡単にわかりやすく解説します。
相談内容
相談者Aさんは先祖代々受け継いだ土地に建物を建てて、奥さん(B)と一緒に住んでいます。
子どもがいないため、自分が亡くなった後に土地がどうなるか心配です。
先祖から受け継いだ土地なのでできるだけ血の繋がりのあるもの弟の子(D)に引き継いでいってほしいと考えています。
このまま対策をしないとどうなるの?
相談者Aさんの相続が起こると奥さん(B)がこの土地を相続する。
その後、奥さん(B)が亡くなった時には奥さん(B)の親もしくは兄弟に相続される。
→Aさんが代々引き継いできた土地が血のつながりがない方へと受け継がれてしまう。
対策①
Aさんが甥(D)に相続させる旨遺言書を書く。Aさんが亡くなった後、甥(D)が所有者に。
※ただし!奥さんが(B)生存している間は、奥さん(B)の住む場所を確保したいので、自分が亡くなってすぐに甥(D)に移転させるのは不安。
対策②
Aさんが亡くなった後、奥さん(B)が所有者に。
奥さん(B)に甥(D)にあげるよう遺言書を書いてもらう。
※ただし!遺言書を書くか書かないか・内容は遺言者の自由意志。遺言書を書いてくれる保証はなく、遺言の撤回されてしまった場合には、Aさんの意向には沿えない・・・
そこで登場するのが民事信託
受益者連続型信託
◆委託者 財産の所有者。財産を託す人=A
◆受託者 財産を託され、管理・運用・処分する人=D
◆受益者 財産の運用・処分で利益を得る人=第1A、第2B
Bが亡くなったことを信託終了事由として、帰属権利者(財産帰属先)をDとしておく。
結果
Aさんが亡くなった後も奥さん(B)はその土地建物に住み続けることができる。
奥さん(B)が亡くなった後は奥さん(B)の兄弟に受け継がれるのではなく甥(D)が相続できる。
このように遺言書では次の世代の承継までしか決めることができないが民事信託を使うと次の世代までではなくさらに次の世代の承継先を決めることができるのです。
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