不動産鑑定士の森田と申します。
読んで字のごとし、幸せ相続のかたちにおいては不動産の適正価格の評価を担当しています。
最近は遺言や遺産分割の参考など、相続対策のための不動産鑑定評価を受注することが多くなってきました。
また、広大地判定に関するお問い合わせも多くなってきています。
相続財産の約半分は不動産です。不動産の適正価格を判定することで、皆様の相続問題の解決に少しでもお役に立つことができれば幸いです。
さて、今回は私が取り扱った中で、印象的だった事案をご紹介いたします。
ご家族の構成
・相続人:長女(ご依頼者様)、次女のお二人
・被相続人(母)
・お父様は既にお亡くなりになっていました。
ご依頼者様のお母様がお亡くなりになり、その遺産分割について。
お父様は数年前にお亡くなりになっており、相続人は長女(ご依頼者様)と妹様のお二人でした。お母様がお亡くなりになるまでは、同居はしないものの妹様がお近くにお住まいになり、日常的な面倒を見ていらっしゃったとのこと。
お母さまは遺言を残しており、遺産のうち不動産については妹様、金融資産についてはご依頼者様に譲るとの内容でした。
ある日、相続財産である不動産と金融資産の差額が大きいことから、ご依頼者様の遺留分が侵害されており、その減殺のため相応の額を支払う旨、妹様より税理士を通じて連絡が入りました。
その際の税理士の説明が不十分であったようです。
ご依頼者様にしてみれば、そもそも遺言の内容に不公平感を感じていたところに加え、当該税理士の説明が不足で、誠意が感じられなかったことで妹様への不信感が募り、税理士が提示した金額についても疑いを持つに至っていました。
ついては、税理士が提示した額が適正であるか否かを判断するため、その基礎となった不動産の価格を評価してほしいとのご依頼を頂きました。
鑑定評価をした結果、税理士の提示した額は適正であることが判明し、ご依頼者様は税理士が提示した金額については納得したものの、感情的にしこりを残すこととなってしまいました。
相続分に大きな格差があり、妹様とご依頼者様との関係が難しくなっている状況の中で、お二人の間に入った税理士が心情面にまで配慮できていれば、無駄に費用をかけて鑑定評価をする必要はなかった事案です。当該税理士にそのような認識がなかったとしても、結果として問題を大きくしてしまった可能性があります。
私も相続を取り扱うものとして、まずは相続人の皆様の感情に配慮して言葉を選ばなければいけないとの思いを新たにした事案です。
つい最近も似たような事案があり、お仕事をご依頼いただけるのはありがたい一方、複雑な心境となりました。