皆さん、こんにちは!
不動産鑑定士、相続・不動産コンサルタントの森田努です。
今回も前回に引き続き、地価公示に関する話題です。
前回、地価は上昇している旨の内容を書きましたが、もしかすると実態は少し異なるかもしれません。
というのも、地価公示で発表される価格にはタイムラグがあるからです。
まず、公示価格は発表年の1月1日時点の価格となっています。それを3月に発表するのですから、少なくとも2カ月以上のずれがあります。
また、公示価格は不動産鑑定士の鑑定評価に基づき判定されるのですが、この鑑定評価に使用される資料はまた少し前の時点のものとなっています。不動産の取引事例やその他の市況データは調査・分析を経て後付けで整備されるので、タイムラグが生じてしまいます。
以上のような理由から、公示価格はリアルタイムのものではなく、タイムラグがあるものといえます。2018年の後半以降、某金融機関の不正融資やレオパレス等の不動産業界に関するネガティブなニュースが多く、実際に金融機関による不動産投資向けの融資がかなり減少しているという影響も出てきており、不動産価格にも変調が見られてきています。
今回の公示価格については上記のようなタイムラグにより、こういった変調の影響までは反映させていないと思われます。地価公示は不動産鑑定士の私からしても、土地価格の水準を把握する上でとても有用な仕組みであると思われますが、必ずしもリアルタイムで市場を反映しているものではないということに注意する必要があります。