不動産鑑定士・相続コンサルタントの森田努です。

 

 珍しく、不動産鑑定士の話題がネットニュースになっていました。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190228-00000010-pseven-life&fbclid=IwAR1VJTfs-L9hb8fNOqo3C1FT6GP6gvZNvxa4p6rsNVosCkyU0Jr5AIN72l0

 

 遺留分減殺請求に関する不動産鑑定評価のお問い合わせは非常に多くあります。

 例えば、相続人は2人兄弟で、被相続人が「長男にすべて相続させる」旨の公正証書遺言を残していた場合、次男は全財産の4分の1を遺留分として取得することができます。このようなケースにおいて、相続財産の多くを不動産が占めている場合、その不動産をどのように評価するかが問題になるのです。

 記事にも書いてある通り、現金を支払う側の長男は、支払う現金を少なくすませることができるので、不動産の評価が低い方がありがたいでしょう。逆に次男はもらう現金が増えるので、不動産の評価額が高い方がありがたいでしょう。

 ここで、相続税の申告で税理士が計算する相続税評価額を用いる際は注意が必要です。というのも、相続税評価額と市場価格とは乖離することが多く、通常でも1.2倍から1.5倍、場合によっては2倍以上の開きが出ることもあるからです。

 例えば、相続財産が相続税評価額1億円、市場価格が1億5,000万円の土地のみであった場合、上記の2人の兄弟のケースにあてはめると、相続税評価額を基準にすると、長男が次男に支払う金額は2,500万円ですが、市場価格を基準にすると長男は次男に3,750万円支払わなければならなくなるのです。差額が1,250万円も生じるので、どのような価格を基準にするかが大きな論点となります。

 やはりこういったケースでは不動産鑑定評価を使って、適正な価格を把握し、フェアな協議をすることが望ましいと思います。