みなさん、こんにちは!
不動産鑑定士、相続・不動産コンサルタントの森田努です。

 

 近年は遺留分の取り扱いに関する改正が多く認められますが、今回のコラムもその遺留分に関する民法の改正についてです。

 

 個人事業を後継者に承継するとき、現行の制度下では、遺留分の関係で事業用の資産の権利が他の相続人にまで分散してしまう可能性があります。その場合、本来後継者が事業の為に使うべき資産を分割しなければならなくなったり、相当の金銭を支払わなければならなくなったりします。そのため、せっかく後継者が事業を引き継いでも、実質的に事業の継続が困難になるケースも生じてきてしまいます。
 今回の改正案では、「遺留分」について、相続開始前の10年間の基礎財産から算定するとのことです。つまり、相続開始10年より前に贈与された資産については遺留分の対象には入れないということです。ですので、相続開始10年より前に事業資産を贈与すれば、遺留分によって当該資産を分割背ざる負えなくなったり、相当金銭の支払わなければなくなるようなケースを避けることができるということになります。
 この改正案は、先代が生きている間に事業を承継すれば相続税や贈与税の支払いが猶予される、事業承継税制と合わせて事業承継を促進させるものと期待されています。

 

2018.3.26 日経新聞記事 「中小の事業承継 「遺留分」見直し円滑化めざす」

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28494690T20C18A3TCJ000/