皆さん、こんにちは!
不動産鑑定士、相続・不動産コンサルタントの森田努です。
 
 本日は不動産鑑定評価を使うと、相続税が下がるかもしれないというお話です。
 通常相続税の申告において土地の評価をする場合は、相続税路線価に所定の補正を行い、それに土地の面積を乗じることになります。この相続税路線価は一般的な市場価格よりも低めに定められているので、相続税路線価を用いて求められた評価額(相続税評価額)は市場価格よりも低めになります。
 しかし、特定の土地についてはその市場価格が相続税評価額を下回る場合があり、その場合は不動産鑑定評価を使うことで相続税を下げることができる可能性があります。
 というのも、相続税上の土地の評価においては、土地の形や規模による補正率が0.7~0.9程度にとどまるケースが多いのに対し、不動産鑑定評価では実際の市場を調査した結果によってより大きく補正されるケースがあるからです。
 例えば、相続税路線価が市場価格の80%で、その土地に対する補正率が0.8だった場合
  (相続税路線価) 80 × (補正率)0.8 = (相続税評価額) 56
 相続税評価額は56となります。

※実際の相続税評価とは異なる簡略したもので記載しています。

 
 ここで鑑定評価を行った結果、その土地は規模が大きく需要者が戸建分譲業者に限られることから、その開発リスクや金利、販管費を鑑みて仕入れ値は市場価格の70%と査定され、さらにその土地について戸建開発をするには道路を新設する必要があり、一般消費者に売却可能な土地が全体の70%にとどまる場合(有効宅地率70%)。
 (市場通常価格) 100 × (規模格差による補正) 0.7 × (有効宅地率による補正) 0.7 =(対象土地の市場価格)49
 鑑定評価額は49となります。

 このようなケースでは、不動産鑑定評価を使うことで相続税を下げることができる可能性が生じてきます。
 このように、不動産鑑定評価を使うことで相続税が下げられる可能性がある土地としては以下のものがあげられます。
 ・規模が大きな土地
 ・形状が著しく不整形な土地
 ・道路との高低差が大きな土地
 ・敷地内に大きな傾斜や高低差がある土地
該当するような土地をお持ちの方は、相続税を下げられるかもしれません。又はすでに相続税を支払ってしまったという方でも還付される可能性もあります。是非一度専門家にご相談されることをお勧めいたします。