こんにちは、司法書士の石川です。

 

相続という場面において誰が相続人となるのかは法律で定められています。

 

さて、被相続人の配偶者は、常に相続人となります(民法第890条)。

ところで、配偶者は常に相続人となりますが、必ず遺産を相続することができるわけではありません。

 

例えば妻が、夫が亡くなればその財産を自分が相続できると考えて、遺産目的で妻が夫を殺害した場合はどうでしょうか。

 

一定の事由に該当する相続人は、被相続人の財産を相続することができません。この事由のことを相続人の欠格事由といいます(民法第891条)。

相続人の欠格事由の一つに、「故意に被相続人を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者」というものがあります(民法第891条1号)。

妻が夫を殺害した場合、「故意に」殺害して「刑に処せられた」のであれば夫の遺産を相続することはできないことになりますね。

 

故意ではなく、たまたま死なせてしまったり、故意に殺害しても刑に処せられなかったのであれば遺産を相続することができるということになります。

 

 

妻が相続人の欠格事由に該当して相続人とならなかった場合は、妻は当初から相続人でなかったものとして遺産が相続されます。

 

妻と子(1人)が法定相続人であったときに、妻が相続人の欠格事由に該当するのであれば、子が遺産の全てを相続します。

妻と被相続人の兄と弟が法定相続人であったときに、妻が相続人の欠格事由に該当するのであれば、遺産のうち兄が2分の1、弟が2分の1の割合で相続することになります。

 

自分の利益のために人を殺害しておいて、自分がその利益を得ることはできないということですね。