こんにちは、司法書士の石川です。

 

さて、相続財産に不動産が含まれるケースは少なくありません。

 

相続した不動産に価値があればいいのですが、もし市場価値がないのであればその処分をすることも大変です。
相続した不動産に市場価値がなく、維持、管理、売却にお金がかかってしまうのであれば、その不動産もプラスの財産ではなくマイナスの財産(負債)となり得ます。

 

賃料収入もなく固定資産税だけ払い、定期的に不動産の状況を見に行くのは楽ではないでしょう。
特に、地方の不動産を相続された方に、このようなお悩みは少なくないようです。

 

相続した土地と建物が空き家で、近隣の方に危害を与えてしまいそうなケースもあります。
庭に生えている草や木が隣の家に侵入してしまっていることもあるかもしれません。

特に今、問題視されているのが倒壊の恐れがある建物ではないでしょうか。
いつ倒壊するのか分からない建物があるとしたら、隣の家の人は安心して暮らすことができません。
通学路にあれば、通学中の子どもの安全も確保できませんし、また街の景観を損なうことになっているかもしれません。

 

先日、次のような記事がありました。
空き家倒壊の恐れ、強制撤去へ 孫に費用800万円請求(朝日新聞デジタル)

倒壊の恐れがある空き家を行政が強制撤去して、その費用を相続人である孫に請求したというものです。

 

行政には空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、所有者の費用負担によって、空き家を強制撤去することができることになっています。
そして、上記記事にあるとおり、その撤去費用は所有者である相続人(孫)に請求されています。

 

それでは市場価値のない不動産を相続したくないことを理由に相続放棄をするとどうでしょうか。
相続放棄をしても、自分のものと同等の注意義務をもって管理しなければならないため(民法第940条)、不動産の管理義務から簡単には解放されるわけではありません。
相続放棄した結果、他に相続人がおらず、相続財産を管理する相続財産管理人を選任するにも費用がかかります。

 

平成28年の税改正によって、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例が創設されたことにともない、一定の条件を満たした空き家の譲渡に特別控除が認められることになりました。

専門家に相談をすれば、何か解決策が見つかるかもしれません。

 

空き家の問題は、今後も増え続けていくものと思われます。そのため、国もその対策に力を入れています。
空き家に対する法律や税金について、最新の情報を取り入れていきたいと思います。