ご相談いただいた内容
お母様がご逝去され相続が発生しましたが、主な財産がご実家であったため、ご兄妹でどのように分割すればよいか分からず、さいたま幸せ相続相談センターへお問い合わせいただきました。
初回面談で詳細をお伺いすると、お母様が亡くなられてからすでに1年が経過しており、ご実家にはご長男様ご一家がお住まいの状況でした。預貯金などの金融資産については話し合いの中で分割ができたものの、相続財産の大部分を占めるご実家については現在もご長男様一家が住んでいるという事情があるため、簡単には手続きが進められずにいました。
さらにご実家が遠方にあることから、ご兄妹で集まって話し合う機会も少なく、相続登記も手つかずのまま時間が過ぎてしまっていることに不安を感じられていました。
そのような折、さいたま幸せ相続相談センターのホームページをご覧になり、「専門家が間に入ってくれるなら相談してみたい」と今回ご相談いただきました。
当センターにご相談いただいた結果
ご面談では、まずこれまでの事例を交えながら、現状で考えられる選択肢やリスクを整理しました。具体的には、
・法定相続分通りに相続登記を行う
・土地を分筆し、それぞれが単独で所有する
・ご実家を売却して金融資産化し分割する
・登記をせず放置した場合のリスク
・遺産分割協議書の作成
・さいたま幸せ相続相談センターからご長男様へご連絡
などです。
それぞれのメリット・デメリットを分かりやすくご説明し、まずは「どんな解決策があるのか」を知っていただくことから始めました。
その上で最も大切にしたのは、「ご相談者様ご自身がどうしたいのか」というお気持ちです。面談を重ねながらヒアリングを続け、少しずつ方向性を固めていきました。
妹様としては「兄妹仲が良く、相続で揉めたくない」というお気持ちが強くある一方で、このまま話が進まなければご自身の相続権が曖昧になってしまうのではないか、という不安を抱えておられました。
気持ちが整理できず、お兄様に具体的な提案もできないまま時間だけが経つ、もどかしい状況にいらっしゃいました。
そこでさいたま幸せ相続相談センターからご長男様へ直接ご連絡を差し上げ、まずはご長男様の本音やお考えを伺うことにしました。
ご面談の結果、ご長男様も「相続財産である実家に自分が住み続けていることを気にしているが、すぐに生活を変えることは難しい」と感じておられることが分かりました。加えて、以下のような具体的な事情も見えてきました。
・受験を控えたお子様がいるため、落ち着くまでは現在の生活を続けたい
・実家は老朽化が進んでおり、修繕費がかかる上、今もローンの返済が残っている
妹様にこれらの内容を共有し、住み続けることのデメリットも含めて整理してお伝えしたことで、お二人の間に少しずつ共通理解が生まれ、最終的に、ご兄妹の間では以下のような内容で合意に至りました。
・土地は法定相続分通りに共有で登記
・建物はご長男様単独名義で登記
・修繕費や固定資産税はご長男様が負担
・ご長男様のお子様が成人した後、実家の売却も検討
・遺産分割協議書を作成
この方針が決まった段階で、さいたま幸せ相続相談センターのメンバーである相続に強い司法書士と共に遺産分割協議書の作成と登記の手続きを進めました。
結果として1年以上止まっていた遺産分割が無事に完了し、ご相談いただいた妹様もとても安心されたご様子でした。
今回のケースでは、「相手の気持ちが分からない」ということが話し合いを進められなかった大きな原因でした。お互いが心の中で抱えていた不安や希望を伝え合うことができず、結果として時間だけが過ぎてしまっていたのです。
さいたま幸せ相続相談センターが第三者として間に入ることで初めて相手の想いが見えてきて、「揉めることなく解決につなげる」ことができました。妹様からは「安心して任せられた」「もっと早く相談すればよかった」と感謝のお言葉をいただきました。
相続において不動産が主な財産となる場合、預貯金のように単純に分けることが難しいため、今回のように停滞してしまうことは珍しくありません。こうしたケースでは、専門家が間に入り、冷静に整理しながら当事者同士のコミュニケーションをサポートすることが大切です。
今回のポイントをまとめると、
・相続の中心が不動産の場合、分割が難しく話し合いが進まないケースが多い
・お互いの気持ちを直接確認できないことが、停滞の原因になることもある
・第三者が間に入ることで、初めて双方の想いを整理し、円満解決につながる
といった観点が見えてきます。
今回のご相談のように「相続で揉めたくない」という気持ちと「自分の権利を守りたい」という気持ちの間で悩んでいる方にとって、今回の事例がご参考になれば幸いです。