司法書士の石川です。

 

「予防法務」という考え方を大切にしており、今できる対策をもって将来のトラブルを少しでも減らしていくことを目標にしております。

 

不動産の登記簿

 

不動産の所有者が亡くなられた場合、その相続人が当該不動産を相続することになります。

 

ところで不動産の多くには、その1つ1つに、その土地・建物に関する権利関係、あるいは不動産の所在、地番、地積、床面積等の物理的現況の記載された登記簿というものがあります。

 

つまり登記簿を見れば、その不動産の所有者が誰であるとか、○○銀行の抵当権が付いている、などが分かることになります。なお、この登記簿は法務局で手数料を払えば誰でも見ることが可能です。

 

一般的に登記簿には、世帯主の方が所有者として登録されていることが多いかと思います。

 

相続登記とは

 

相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった際に、その不動産の登記名義人(所有者として登録されている人)を、その亡くなった人から相続人へ変更することをいいます。

相続登記にはその登記手続きをしなければならない期限が法律で定められていません。

ですので、相続登記をしなくても何か罰則があるわけではありません。

 

相続登記を申請するには、ケースによって異なりますが戸籍や住民票、印鑑証明書、固定資産評価証明書など色々な書類が必要となることが多く、ついつい後回しにしてしまったり、そのまま放置してしまったり、あるいはしようとは思っていたが忘れてしまったりということが起こります。登記簿の名義変更という手続き自体を知らないということもあります。

 

相続登記をした方がいい理由

 

では、相続登記に期限も罰則も無いのであれば、特にする必要はないのでしょうか。

 

以下の理由から相続登記をお早めにすることをお勧めしております。

 

①相続人が死亡すると、その相続人の相続人(の相続人・・・)の協力が必要となるケースがでてきます。

 例えば、父が亡くなったときに家族全員で話し合って長男が自宅を引き継ぐと決めたところ、遺産分割協議書も残さず相続登記もせずに放置してたケースでは、30年後にようやく不動産を長男名義にしようとしたとしても、次男の妻、子や長女の夫の兄弟など、長男とあまり接点の少なかった人の協力が必要となってしまいました。

 このような場合、長男のことを良く思っていなかった関係者からハンコ代を要求されてしまうこともあります。

 また、何十年も経つと利害関係人(相続人の相続人の相続人の・・・)が多くなりすぎてハンコをもらうのが非常に困難なケースも少なくありません。

 

②不動産の所有権を対抗できなくなる可能性があります。

 相続人の1人に借金があった場合、その債権者が不動産の当該相続人持分を差し押さえてくる可能性があります。

 

③相続した不動産をいざ売るとなった際に、売却前に必ず現在の所有者(相続人)名義にしなければならないため、スムーズに手続きを行うことができなくなります。上記①②に該当してしまう場合、不動産を売りたいのに売れないということもあり得ます。

 

自宅を誰が引き継ぐが決まったら、相続登記をして将来のトラブルを未然に防ぎましょう。